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飼料原料高騰による対応(韓国)

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 我が国と同様に、畜産の飼料原料の多くを輸入に頼っている韓国では、米国の干ばつなどによる飼料原料の国際相場の上昇が、国内の配合飼料価格に直接反映する構造となっている。
 本年6月末以降のトウモロコシ国際相場の高騰による韓国国内の対策について、今回現地にて聴取してきたので、その概要を報告する。

 2008年の飼料相場高騰時、輸入飼料原料の価格上昇が国内の配合飼料価格に転嫁されたのは7か月後であった。今回も一定の期間後、影響が出ると見られており、2012年第2四半期(4〜6月)に比べ、2013年第1四半期(1〜3月)は8.8%上昇すると見込んでいる。
 また、今回の国際穀物価格上昇により国内の消費者物価指数(CPI)を0.2〜0.4%上昇させるとされている。

 現在、政府としては、(1)飼料購入費の支援、(2)飼料用トウモロコシの実行関税率ゼロ%の維持、(3)粗飼料の供給量拡大などを柱として対策を実施することとしている。
 この他、国会では飼料価格安定基金の創設についても議論されている。

1 韓国における配合飼料の概要

(1)配合飼料製造事業者

 韓国の配合飼料製造事業者は、2012年1月現在、68事業者(101工場)で構成されている。このうち農協系が16事業者(26工場)、民間の会社で構成する飼料協会(商社)系が42事業者(65工場)、独立系が10事業者(10工場)と3つに区分される。
 2011年、全国の1日当たりの配合飼料製造能力は3万トンである。また、各工場の製造能力は1日当たり10トン未満から650トン程度と規模は様々である。
 農協系と飼料協会系に属する製造事業者は、飼料原料の輸入は各々、農協本部と飼料協会が一元的に担っている。

配置図

(2) 配合飼料向け原料使用量及び輸入量

 2011年の配合飼料生産量は1670万トンで、そのうち、トウモロコシが572万トン(34.3%)、大豆かすなどの植物性タンパクが414万トン(24.8%)、小麦が231万トン(13.8%)、ふすまが212万トン(12.7%)という構成となっている。
 一方、配合飼料原料の多くを輸入に依存しており、穀物(トウモロコシ、小麦など)は9割以上が輸入されている構造である。
表1

(3) 畜種ごとの配合飼料量

 2011年のデータによると家きん類で年間4,748千トン(28.5%)、養豚で同4,482千トン(26.9%)、乳用牛で同1,240千トン(7.4%)、肉用牛で同4,792千トン(28.8%)となっている。
表2

(4)配合飼料価格

 2011年の韓国統計庁のデータによると生産費に占める飼料費の割合は、繁殖牛(韓牛:生体600kg)が1頭当たり47.2%、肥育牛(韓牛:生体600kg)が同40.2%、肉牛(生体600kg)が同57.8%、乳用牛(生体600kg)が同61.6%、養豚(生体100kg)が同50.0%、採卵鶏(卵10個)が同57.5%、ブロイラー(1kg)が同60.1%となっている。
 2012年6月の畜種別の配合飼料価格(工場出荷価格)は、肉牛で1kg当たり428ウォン(約30円)、乳用牛で同499ウォン(約35円)、養豚で同638ウォン(約45円)、ブロイラーで同529ウォン(約37円)となっており、2000年と比べるとすべての畜種で2倍以上になっている。
 2008年の飼料相場高騰時、輸入飼料原料が国内の配合飼料価格に転嫁されたのは7か月後であった。今回も一定の期間後、影響が出ると見られており、2012年第2四半期(4〜6月)に比べ、2013年第1四半期(1〜3月)は8.8%上昇すると見込んでいる。
 2012年7月20日現在、今年末までの配合飼料原料(トウモロコシ、不大豆、小麦)の総需要量見込991万トンのうち971万トン(98%)が民間の飼料会社などにより確保できていることから、今年末までは配合飼料価格を据置くこととしている。
 ただし、今年の猛暑の影響により、倉庫に保管してある配合飼料原料の品質の劣化が懸念されている。
表3
表4

2 飼料原料の国際相場高騰への対応

 政府は平成24年8月2日、現在の飼料原料の国際相場の高騰がアグフレーション(農産物インフレが食料インフレを招く現象)につながる影響を緩和する措置として、生産者および配合飼料メーカーに対して次の支援を行うことを決定した。

(1)飼料購入費の支援

 予算額は500億ウォン(約35億円)で生産者の半数が配合飼料購入費用を市中借入(年利12〜18%)で賄っていることに着目し、配合飼料を金利負担なしで購入できるよう現金で決済するための補助で2013年の予算に計上した。
 また、配合飼料メーカーの飼料原料購入資金の支援規模を2012年の600億ウォン(約42億円)から2013年は950億ウォン(約67億ウォン)に拡大し、2013年の予算に計上した。

(2)輸入飼料用トウモロコシの実行関税率ゼロ%の維持

 飼料用トウモロコシの輸入関税の基本税率は従価税で328%であるが、政府は8年前から飼料高騰対策として実行関税を0(ゼロ)%で運用してきており、今回もこの措置を当分の間維持することとした。
 また、飼料用大豆についても実行関税率0(ゼロ)%を維持する。

(3)粗飼料供給量の拡大

 政府は輸入粗飼料の関税割当数量を80万トンから100万トンに拡大、20万トンの国内産稲ワラの追加利用(計240万トン)支援および既存の未利用粗飼料の活用促進などにより配合飼料48万トンの削減効果を見込んでいる。

(4)その他

 飼料小麦を米国(350ドル/トン)より価格の安いインド(326ドル/トン)から5万トンの追加輸入を決定した。
 また、輸入穀物の価格変動を緩和する目的で、先物市場でトウモロコシのヘッジ取引の運用を検討している。

3 飼料価格安定基金について

 平成24年7月3日に超党派の国会議員16名により、飼料価格安定基金創設の法案が提出され、現在国会審議中で、この基金の創設には8000億ウォン(約56億円)を要し、基金の負担は生産者、農協及び飼料協会、政府がそれぞれ30%、30%、40%ずつ拠出する内容となっている。しかしながら、政府の財政難により成立の見通しは立っていない。
 韓国ではかつてこれと同様の基金制度は、1976年から1984年まで存在したことがある。1974年から対ドルの為替レートが大幅にウォン高に振れ、1976年に1トン当たり70〜80ドル台で推移していた飼料費が同180ドル台まで急上昇したこと。このため当時の政府と農協及び飼料協会で半分ずつ拠出し飼料価格安定基金を創設した。この基金制度の概要は同120ドルを基準価格と定め、その額を下回った場合は、基金に積み立て、上回った場合はその差額を生産者に補てんするというものであった。
 しかし、1980年代に入ると飼料価格も安定して推移してきたことを受け、1984年にその役割を終え、基金は解散した経緯がある。

4 国際社会への要請

(1)米国農務省(USDA)長官への要請

 平成24年8月13日、韓国飼料協会(以下、協会)は、国際穀物価格の高騰と関連して、トム・ビルサック米国農務省(USDA)長官に米国のバイオエタノール政策の見直しを要請する書簡を送付した。

(2) G20首脳への書簡

 平成24年8月23日に、韓国の李明博大統領は、米国中西部や黒海沿岸など主な穀倉地帯の深刻な干ばつと猛暑による農産物の被害は世界経済に威嚇を与える水準まで上がっていることを背景として、主要20カ国(G20)首脳に、国際穀物価格安定の強調を提案する書簡を送付した。
 この書簡の中で、バイオ燃料政策の変更により供給ショックを緩和すること、食糧輸出規制を抑止すること、農産物市場情報システム(AMIS)フォーラムなどの既存のチャネルを有効に活用することにより、国際穀物価格高騰の危機を打破する方法を議論する必要があると提案した。
【宗政 修平 平成24年9月14日発】
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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