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日EU・EPA大枠合意を受け、EU農業団体は歓迎の意

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最終更新日:2017年7月11日

 欧州委員会は平成29年7月6日、日EU・EPAが大枠合意に至ったことについて、EUと日本に大きな利益をもたらすとともに、両者の関係に重要な一歩となるものであるとプレスリリースを発表した。
 ユンカー欧州委員会委員長は、同EPAは経済成長と新たな雇用をもたらすものであると評価した上で、「今回の大枠合意は、単なる自由貿易の枠を超えており、その影響は今後の開かれた公正な国際取引の規範となるものである」とコメントした。
 
 これに関するEUの農業団体の反応は、総じて歓迎の意を表している。
 
 EU最大の農業生産者団体であるCopa Cogeca(欧州農業組織委員会/欧州農業協同組合委員会)のメリルド会長はホームページで、「この野心的な協定の交渉が大枠合意したことは、EUの生産者にとって朗報であり、特に食肉、酪農、ワインとそして高付加価値の加工食品部門の利益につながる」とした。
 また、「日本とEUはともに、高品質かつ高い安全性の製品を生み出し、家族経営による持続可能な農業部門を守るという共通目標を持っており、今回の結果は双方の経済にとって良い影響を与えるだろう」とするとともに、日本がEUの地理的表示(GI)制度の尊重に同意したことを評価した。
 
 EUを代表する家畜・食肉団体であるUECBV(欧州家畜食肉取引業連合)のメリオー事務局長は、現地業界紙の取材に対し、今回の結果を「大歓迎」とした上で、「EUの食肉業界は、豪州やチリなど日本と貿易協定を締結している競合相手国と対等に競争することができる」とコメントした。
 
 デンマーク最大手の食肉事業者であるデニッシュクラウンのヴァラー社長は同社のホームページで、今回の結果について「我が社にとって有益なもの」とした上で、「これによって輸出拡大を図り、農家の利益を確保することができる」とし、今後100人から300人の新規雇用を創出できる可能性を言及した。
 また、交渉担当官らに感謝を示した上で「我々は素晴らしい機会を得た。今後は我々がこの機会を生かすかどうかだ」と期待感を表した。
 
 EUの乳業者で組織されるEDA(欧州酪農協会)のアントン事務局長はホームページで、交渉に当たったユンカー委員長らに感謝を示すとともに「EPAが酪農部門に与える新たな機会を歓迎している」とコメントした。
 
 その他、Eucolait(欧州乳製品輸出入・販売業者連合)は、EU域内の乳業者などの会員に対して、今回の結果の概要を知らせるとともに、乳製品の輸出拡大を見込めるものであり、特に、GI制度の保護がフェタチーズをはじめ伝統的なチーズ生産を有するEU乳業にとって重要であることにも触れ、歓迎すべきものである旨のコメントを発信している。



【大内田 一弘 平成29年7月11日発】
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:国際調査グループ)
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