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平成21年産でん粉原料用いも要件審査状況及び交付金支払い状況について

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最終更新日:2010年5月11日

平成21年産でん粉原料用いも要件審査状況及び交付金支払い状況について

2010年3月

特産業務部

 

はじめに

 でん粉原料用いも生産者交付金については、品目別経営安定対策の一環として、平成19年度から新たに導入され、当機構が生産者の方々に直接交付を行ってきたところです。
 
 今般、平成21年度の対象要件別生産者申請状況および生産者交付金の支払い状況(速報)を取りまとめたので報告します。
 

1.概況

 今期のかんしょ生産は、南九州地方が少雨傾向であったものの、概ね天候にも恵まれ、豊作となり、でん粉原料用かんしょの交付金支交付対象数量は、前年に比べて1万7000トン増の16万6000トンとなった。また、生産者への交付額は43億1000万円となった。
 
 かんしょ価格等について、工場からの原料代単価は、とうもろこし国際価格の高騰をうけて、トン当たり9,190円となり、生産者の手取り額は平成20年度と比べて1,172円増で、3万5150円となった。一方で、平成21年度に機構から支払われる交付金単価は、昨年同様2万5960円であった。
 

2.審査申請状況

 平成21年産の審査申請者は、全体で8,543人であった。平成20年産の実績に比べて452人(5%)減少している。平成19年産と比較すると1,993人(18.9%)の減少となっている。
 
 主要な産地である種子島では、より価格の良い他作物への転換(安納イモ)が進んでいることに加えて、高齢な生産者の多くは廃作する傾向が強い状況となっている。
 
 要件区分(表1の注3を参照)別にみると、B−1、B−2、B−4の要件の申請者者がそれぞれ増加している。
 
 そのうち、対象要件がB−1については、859人となっており、全体として小規模な高齢農家が多くB−1の要件である認定農業者への誘導が難しいなか、平成20年産に比べて93人の増加、平成19年産に比べても59人の増加となっている。
 
 対象要件がB−2の者は、平成20年産に比べて178人の増加となっている。
 
 B−2の要件は、いもの収穫面積の合計が0.5ヘクタール以上であることが必要となっているが、当該制度導入以前は、畑作地を0.5ヘクタール以上所有している生産者であっても、他の作物の作付の状況等から、0.5ヘクタール以下の作付けを行っているケースもあり、いもの収穫面積を0.5ヘクタール以上にする必要性を感じる生産者は少なかった。
 
 当該制度への移行後にあっては、要件があることにより、いずれにしてもでん粉原料用いもを作付けるのであれば、0.5ヘクタール以上の収穫面積を設定しようという動機付けと、生産者が要件審査申請を行う場合、申請手続きは、B−1を除けばB−2の要件が最も簡素であるためB−2が増加してきたものと思われる。
 
 また、対象要件がB−4の者は、平成20年度に比べて169人(142%)の増となった。要件を満たそうとするB−5の生産者は、その多くが小規模の畑作地を有しているにとどまるため、面積要件を満たせない場合は、必然的にB−4の要件である作業の受委託により対象生産者を目指すことになる。
 
 B−1からB−4までの本則要件に該当する対象生産者数は、6,357人(全体に占める割合は74%)となった。
 
 この結果、平成21年産のB−5要件の者は、2,186人(26%)となり、昨年に比べ892人(29%)減少した。
 

3.本則要件移行への状況

 平成19年度から始まった品目別経営安定対策の制度において、平成21年産まで3年間の措置として、本則要件以外に「担い手育成組織」に参加している等の条件を満たせば交付金の交付対象者とする、いわゆるB−5の特例要件が設けられている。
 
 この特例要件の取り扱いは、今年度で終了になることから、本則要件への移行に向けて各地域において積極的な取り組みが行われてきているものの、平成22年2月1日現在、26%(2,186人)の生産者がB−5の要件区分となっている。(表1)
 
 
 
<DIV><STRONG>図1 地域別・要件区分別対象でん粉原料用いも生産者割合</STRONG></DIV>
図1 地域別・要件区分別対象でん粉原料用いも生産者割合
<DIV><STRONG>図2 県別・規模別の対象生産者の割合</STRONG></DIV>
図2 県別・規模別の対象生産者の割合
<DIV><STRONG>図3 県別・年齢別構成別等の対象生産者の割合</STRONG></DIV>
図3 県別・年齢別構成別等の対象生産者の割合
 B−5に区分される対象生産者の平均的な作付け面積は、20アール(20年度実績)、となっている。また、B−5の対象生産者の平均年齢をみると、70歳以上が34%と高齢な農家の割合が高くなっている。
 
 B−5の対象生産者の他ランクへの移動について、産地からの聞き取りによると、これらの生産者は規模拡大に対して消極的であり、B−2への移行はあまり期待できない状況であること、B−3に区分される共同利用組織の育成は、地域のリーダーの不在、経理等の取りまとめを担当する者や機械導入の困難であること、B−4の要件である基幹作業の受委託は、576人(6.7%)と申請人数は少なく、育苗の作業委託単価は、安価であり相対での取り組みは行われているが、生産者が委託契約書や証拠書類の作成などに慣れていないといった理由から、取り組みが行われにくい状況となっている。

4.今後の取り組み

 B−5の廃止等、特例措置の終了を踏まえて、本則要件への移行に向けた更なる取り組みの強化が求められているなかで、平成22年産からの対象要件について、農林水産省は、関係者の要望を踏まえ、本則要件への移行に向けた課題について検討のうえで、見直しを行った結果、共同利用組織の活用や作業受委託を促進していくため、(1)「防除」の基幹作業の追加、(2)作業受委託についての作業面積の要件を収穫作業面積から基幹作業面積に変更、(3)共同利用組織の要件の緩和、を行うこととする等の内容を明らかにした。
 
 現在、相対で行われている委託作業の契約書等の書類の整備などを進めることに加えて、今回の見直しにより、現在のB−5の生産者の円滑な本則要件生産者への移行が期待されるところである。
 

5.平成21年度交付金交付状況(速報)

 平成21年度でん粉原料用いも交付金の交付決定数量は、166,054トンで、交付金額は、4,309,943千円となった。
 
 種子島では、より価格の良い安納イモなどの青果用への転換が進んで、交付金の交付申請数量は平成20年産の40,124トンから平成21年産の37,766トンへ5.9%(2,358トン)減少した。
 
 南九州地方は、比較的天候が良く生育が良好に推移したことから、生産量が増加したため、交付対象数量は前年に比べ12%(17,440トン)増となった。
 
 また、交付対象数量の増加により、交付額についても同じく12%(1,452,687千円)増となった。
 
 
 

おわりに

 機構では、関係者のご協力の下に、引き続き要件審査申請及び交付金交付手続き等の簡素化・効率化に取り組むとともに、今後とも円滑な業務実施に努力して参りたいと考えています。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:情報課)
Tel:03-3583-8713