でん粉 でん粉分野の各種業務の情報、情報誌「でん粉情報」の記事、統計資料など

ホーム > でん粉 > でん粉の国際需給 > 海外のでん粉需給動向

海外のでん粉需給動向

印刷ページ

最終更新日:2010年9月1日

海外のでん粉需給動向

2010年9月

調査情報部

絵で見る世界のでん粉製品需給

 
 
 
 

海外のでん粉需給動向

◆タ イ◆

8月のタピオカでん粉価格も依然として高水準で推移
 
 タイタピオカでん粉協会(Thai Tapioca Starch Association)によると、8月24日のタピオカでん粉価格(バンコクにおけるFOB価格)は、前年比115.8%高のトン当たり570米ドルとなった。史上最高値を更新した8月10日の同630米ドルから値を下げたものの、依然高水準にある。
 
 現地では、干ばつに加え、コナカイガラムシの被害によりキャッサバ生産量が減少しており、工場は原料不足から、稼働率の低下や操業停止に陥っている。キャッサバの農家価格についても、7月はキログラム当たり約2.6バーツ(でん粉含有量21%)と高騰している。
 
 タイ農業協同組合省農業経済局の3月末時点での見込みによると、2010年度(10〜9月)のキャッサバ生産量は、干ばつの影響や虫害によって、単収が前年度比2.56%減のライ当たり2971キログラム(1ライ=0.16ヘクタール)と落ち込む上、この虫害を嫌った農家がほかの作物へ転換していることから、収穫面積も前年度比4.72%減の717万ライと減少し、前年度比7.16%減の2130万5000トンと予測されている。また、同省は、農家が適切な害虫駆除を怠った場合は、この生産量をさらに下回ることも想定され得るとしている。(1米ドル=87.7円、1バーツ=2.77円、平成22年7月末日TTS相場)
 
 
 
2010年6月のタピオカでん粉輸出量は、前月に続き前年割れ
 
 2010年6月におけるタピオカでん粉輸出量は、前年同月比16.6%減の10万6800トンで、前月同様、前年割れとなった。これは高価格のため、輸入国が買い控えていることが原因とみられる。しかしながら、1〜6月の累計では、前年同期比44.1%増の101万1200トンと依然前年の水準を大幅に上回っている。
 
 1〜6月における主な輸出先国は、中国が最も多く前年同期比29.5%増の26万4100トンと全体の約1/4を占めている。次いで、インドネシア23万6900トン(前年同期の約11.5倍)、台湾13万3100トン(前年同期比7.8%減)、マレーシア11万3700トン(同33%増)、日本5万1500トン(同6.4%減)であった。
 
 インドネシアについては、天候不順によりタピオカでん粉生産が減少していること、また、中国については、製紙業などにおける需要の増加や、とうもろこしのでん粉仕向けを制限する政策により需給のひっ迫が続いていることが、これら2カ国向け輸出量増加の要因となっているとみられる。
 
 一方、2010年6月におけるタピオカでん粉の輸出価格(FOB)は、前月比2.3%高のキログラム当たり0.44米ドルと続伸した。日本向けも同6.8%高の同0.47米ドルと値を上げた。また、1〜6月の平均では、需給ひっ迫を反映して、前年同期比58.2%高のキログラム当たり0.40米ドルとなっている。
 
 
 
2010年6月の化工でん粉輸出価格は前月から値を上げる
 
 2010年6月におけるデキストリンおよびその他の化工でん粉輸出量は、前年同月比6.8%減の5万8500トンであった。1〜6月の累計では、前年同期比5.4%増の35万9000トンとなった。輸出先国別では、日本が最も多く前年同期比10.3%増の13万9100トン、次いで、中国(同21.8%増の5万3400トン)、インドネシア(同24.8%増の4万800トン)、韓国(同3.4%減の1万9300トン)、米国(前年同期の約2倍の1万6600トン)であった。
 
 一方、2010年6月の輸出価格(FOB)は、前月比6.1%高のキログラム当たり0.70米ドル(前年同月比32.1%高)、日本向けも前月比15.3%高の同0.68米ドルとともに値を上げた。1〜6月の平均では、前年同期比21.1%高の同0.64米ドルとなっている。
 
 
 

◆米 国◆

米国農務省、とうもろこし生産量、消費量をそれぞれ上方修正
 
 米国農務省世界農業観測ボード(USDA/WAOB)が8月12日に公表した8月の世界農産物需給推計の月次報告によると、米国における2010/11穀物年度(2010年9月〜2011年8月。以下、「2010/11年度」)のとうもろこしの生産予測量は、前月の予測(132億4500万ブッシェル、1ブッシェル=25.4キログラム)から1億2000万ブッシェル引き上げられ、前年度を1.9%上回る133億6500万ブッシェルになると予測されている。
 
 これは、五大湖沿岸のコーンベルト諸州で良好な天候に恵まれたことなどから、1エーカー当たりの収量が昨年の記録を0.3ブッシェル上回る165.0ブッシェルに引き上げられたことによる。
 
 同報告では、2010/11年度のとうもろこしの総供給量は前年度を0.1%上回る148億200万ブッシェルと予測されている。国内消費については、甘味料の需要増から食品・種子・その他工業向けが3000万ブッシェル上方修正され、輸出については、ロシアなどの干ばつの影響により世界の穀物生産量が減少すると見込まれることから、前月の予測より1億ブッシェル上方修正された。
 
 生産量は上方修正されて過去最大が見込まれているものの、それを上回る消費量が予測されていることから、期末在庫は前月の予測を6100万ブッシェル下回る13億1200万ブッシェルとされている。この結果、生産者販売価格は前月の予測より1ブッシェル当たり上値、下値ともに0.05ドル上昇して3.50〜4.10ドルになると予測されている。
 
 
 
 
 
 
2010年6月のコーンスターチ輸出量は前年同月の2倍超
 
 2010年6月におけるコーンスターチ輸出量は、前年同月比118.9%増の1万8700トンと前年の水準を大幅に上回り、1〜6月の累計でも、前年同期比54.4%増の7万3400トンとなった。
 
 輸出先国としては、カナダが最も多く(前年同期比5.0%増の1万5300トン)、次いで、インドネシア(前年同期の約30倍となる1万5200トン)、メキシコ(前年同期比8.3%減の9000トン)、英国(同15.5%減の8000トン)、日本(同26.1%増の5300トン)、中国(前年同期の約13倍となる3300トン)となっており、タピオカでん粉と同様、インドネシアと中国における需要が大幅に増加している。
 
 また、6月の輸出価格(FOB)は、前月比4.1%安のキログラム当たり0.47米ドル(前年同月比20.3%安)と、とうもろこし価格が軟調であったことを受け、前年よりも低い水準で推移した。なお、1〜6月の平均では、前年同期比19.8%安のキログラム当たり0.50米ドルとなっている。
 
 
 
 
2010年6月の化工でん粉輸出価格は、ほぼ横ばいで推移
 
 2010年6月におけるデキストリンおよびその他の化工でん粉の輸出量は、前年同月比16.9%増の3万6400トンであった。
 
 1〜6月の累計では、前年同期比17.3%増の21万1200トンとなり、輸出先国としては、コーンスターチと同様、カナダが最も多く(前年同期比9.9%増の3万9700トン)、次いで、メキシコ(同27%増の3万900トン)、日本(同0.1%減の2万7700トン)、ドイツ(同40.8%増の2万3800トン)、英国(同16.3%増の1万1500トン)であった。
 
 6月の輸出価格(FOB)については、前月比2.4%高のキログラム当たり0.85米ドル(前年同月比1.2%高)、日本向けについては前月並みの0.66米ドル(前年同月並み)とほぼ横ばいで推移した。また、1〜6月の平均では、前年同期比2.4%安のキログラム当たり0.83米ドルとなっている。
 
 
 
 

◆E U◆

2010年5月もばれいしょでん粉輸出量は前年超、1〜5月で前年の7割増
 
 2010年5月におけるばれいしょでん粉輸出量は、前年同月比18.9%増の4万2000トンと、2009年産ばれいしょが豊作であったことから、前月に続き、前年の水準を上回った。
 
 1〜5月の累計では、前年同期比72.1%増の24万6400トンとなり、輸出先国としては、中国が最も多く(前年同期比の約5.6倍となる6万6300トン)、次いで米国(同27.7%増の2万6100トン)、韓国(同48.6%増の2万500トン)、台湾(同129.7%増の1万7100トン)、タイ(同64.9%増の1万3200トン)となった。タピオカでん粉、コーンスターチと同様、中国のでん粉需要の伸びが鮮明となった。
 
 また、5月の輸出価格(FOB)は、前月比9.4%高のキログラム当たり0.35ユーロ(前年同月比7.9%減)、日本向けも同5.6%高の同0.38ユーロとともに値を上げた。1〜5月の平均では、前年同期比22%安のキログラム当たり0.32ユーロとなっている。(1ユーロ=114.70円、7月末日TTS相場)
 
 
 
2010年5月の化工でん粉輸出量も前年の水準を上回り、1〜5月で前年の2割増
 
 2010年5月におけるデキストリンおよびその他の化工でん粉輸出量は、前年同月比18.4%増の3万5100トンであった。
 
 1〜5月の累計では、前年同期比21.2%増の17万900トンとなり、輸出先国としては、トルコが最も多く(前年同期比58.1%増の3万6200トン)、次いで、中国(同65.4%増の1万7200トン)、スイス(同1.3%減の1万6000トン)、ロシア(同18.8%減の1万4200トン)、米国(同30.5%増の1万3600トン)となった。
 
 また、5月の輸出価格(FOB)は、前月比4.1%安のキログラム当たり0.71ユーロ(前年同月比9.0%安)とやや値を下げた。1〜5月の平均では、前年同期比10.3%安のキログラム当たり0.72ユーロとなっている。
 
 
 
 

◆中 国◆

2010年6月の天然でん粉輸入量は2カ月ぶりの前年割れも、1〜6月では前年の2割増
 
 2010年6月における天然でん粉の輸入量は、前年同月比33.7%減の6万1000トンと2カ月ぶりに前年の水準を割り込んだ。これはタピオカでん粉輸入量の減少によるもので、高価格であることから買い控えたものとみられる。
 
 しかしながら、1〜6月の累計では、前年同期比24.1%増の49万5000トンと依然前年の水準を上回っている。この内訳は、タピオカでん粉が39万6000トン(前年同期比1.5%増)と8割を占め、ばれいしょでん粉が9万4000トン(前年同期の約12倍)であった。タピオカでん粉の輸入先国は、タイ(29万9000トン)、ベトナム(9万5000トン)となっている。
 
 6月の輸入価格(CIF)については、タピオカでん粉は前月比13.0%高のキログラム当たり0.46米ドル(前年同月比68.8%高)、ばれいしょでん粉は前月比3.8%高の0.45米ドル(同1.9%安)となった。
 
 一方、輸出量は、前年同月比44.4%増となる3万9000トンと2010年になって初めて前年の水準を上回った。1〜6月の累計では、前年同期比18.7%減の17万トンで、このうちコーンスターチが14万1000トンと大半を占めている。
 
 6月の輸出価格(FOB)については、コーンスターチが前月比3.9%高のキログラム当たり0.41米ドル(前年同月比23.8%高)となった。
 
 
 
 
 
 
2010年6月も化工でん粉輸入量は2010年初の前年割れも、1〜6月では前年の約1.6倍
 
 2010年6月におけるデキストリンおよびその他の化工でん粉の輸入量は、前年同月比17.3%減の1万3000トンとなった。輸入先国別では、タイ6300トン、米国2200トン、オランダ1400トンとなっている。1〜6月の累計では、天然でん粉と同様、前年の水準を大きく上回る前年同期比59.2%増の10万2000トンとなっている。
 
 また、6月の輸入価格(CIF)については、キログラム当たり1.02米ドル(前年同月比31.0%高)と続伸した。1〜6月の平均では、前年同期比5.0%高の同0.84米ドルとなった。
 
 一方、2010年6月における輸出量は、前年同月比26.6%減の8900トンとなった。輸出先国別では、韓国が最も多く2900トン、次いでマレーシア1000トン、日本700トンであった。1〜6月の累計では、前年同期比28.9%減の5万トンと前年の水準を下回っている。
 
 6月の輸出価格(FOB)については、前年同月比32.3%高のキログラム当たり0.65米ドルと、前月の同0.62米ドルから値を上げた。1〜6月の平均では、前年同期比27.1%高の0.63米ドルとなった。
 
 
 
 
 
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:情報課)
Tel:03-3583-8713