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我が国のでん粉をめぐる事情

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最終更新日:2012年7月10日

我が国のでん粉をめぐる事情〜加工食品用途への拡大をめざして〜

2012年7月

農林水産省 生産局農産部 地域作物課加工第2班

(1)我が国のでん粉の需給

 でん粉は、甘味料、ビール、水産練り製品、製紙用のり等、様々な分野において利用されており、平成22でん粉年度(平成22年10月〜23年9月)における需要量は280万トンとなっています。

 一方、その供給の大部分は、輸入とうもろこしを原料として国内で製造されるコーンスターチとなっており、国産原料によるものは、北海道のばれいしょでん粉18万トン、鹿児島県のかんしょでん粉5万トンの23万トンとなっています(図1参照)。
 
 

(2)でん粉の価格調整制度

 国内産いもでん粉と輸入とうもろこしから製造されるコーンスターチとの間には、ばれいしょでん粉で2倍、かんしょでん粉で2.7倍の価格差があります。その価格差を是正するため、コーンスターチ用とうもろこし等から調整金を徴収し、これを財源としてでん粉原料用いも生産者及びでん粉製造事業者に生産・製造経費と販売価格との差額相当分を交付金として交付する価格調整制度が設けられています。

 この制度において、交付金対象となる国内産いもでん粉は、輸入品との競合や販売価格の差等を勘案して、その対象用途が糖化製品用、化工でん粉用等に限定されていました。しかしながら、近年、交付対象外であった菓子類等の加工食品用途において、輸入品の品質の向上等により、輸入品と国産品が競合するものが現れるとともに、原油価格の高騰等による国産品の製造・販売経費の上昇により、安価な輸入でん粉に国内産いもでん粉のシェアが奪われ、国産品の販売量が減少するなどでん粉製造事業者の経営に支障を来すおそれが出てきました。

 このため、でん粉製造事業者の経営の安定と国内産いもでん粉の安定した需要を確保するため、順次、交付金の対象となる用途を拡大してきたところです。(図2参照)
 
 

(3)国内産いもでん粉の生産状況

1)ばれいしょでん粉

 22年産のでん粉原料用ばれいしょは、北海道における夏期の高温及び多雨の影響により不作となり、でん粉生産量は前年比33千トン減の163千トンとなりました。23年産についても、春先の天候不順や、収穫期の度重なる台風の影響により、単収が平年値を下回ったため、でん粉生産量は171千トンにとどまりました。


 2)かんしょでん粉

 22年産のでん粉原料用かんしょは、植付期の低温、6月の大雨等の影響により、収穫量は前年を大きく下回り、でん粉生産量も前年比7千トン減の45千トンとなりました。23年産についても、植付期の低温や5月の長雨により初期生育が遅れたものの、その後の天候が良好であったことから、収穫量は前年を上回りましたが、でん粉歩留りが低下したため、でん粉生産量は前年同の45千トンとなりました。

(4)国内産いもでん粉の用途拡大に向けた取組

 でん粉原料用ばれいしょ、かんしょについては、原料いもの安定的な生産に加え、糖化製品や化工でん粉用からより付加価値の高い用途への転換を促すことを目的として、新品種の開発・普及が進められています。

 ばれいしょについては、その感染により大幅な減収をもたらすジャガイモシストセンチュウに抵抗性を持つ品種への速やかな転換が必要となっています。また、ばれいしょでん粉は老化性が高く、タピオカでん粉に比べ加工食品の原料としての適性が低いことから、低老化性の特徴を有する原料いもの供給が期待されています。このため、でん粉原料用主要品種である「コナフブキ」等から、シスト抵抗性及び低老化性の性質を持つ「コナユキ」等への円滑な品種転換が図られることが重要な課題となっています(表1参照)。

 一方、他のでん粉に比べ特徴がないとされるかんしょでん粉は、実需者ニーズに合った品質の向上と製造施設における衛生管理の徹底を図るとともに、低温で加工できるため製品の風味が損なわれにくい低温糊化性や製品の弾力感やみずみずしさが損なわれにくい低老化性など、有用な特性を持ったでん粉を含有する新品種(こなみずき)の導入・普及により、加工食品用等の新たな需要先の創出が期待されているところです(表2参照)。
 
 
 
 

(5)まとめ

 これまで主に糖化製品用等に仕向けられていた国内産いもでん粉の用途を、新たに交付金の交付対象として追加されたことで、より価格の高い加工食品用等へ転換を推進することで、でん粉原料用いも生産者の収益性が向上するとともに、内外価格差の縮小が図られ、生産者の経営基盤の強化や調整金を負担しているコーンスターチ企業等の負担軽減が期待できます。

 国内産いもでん粉の生産は、原料いもの作付面積が減少傾向にあることに加え、ここ数年の生産地における天候不順等により十分な原料いもの確保ができず、減産が続いていますが、国内産いもでん粉は、市場で一定の評価を得ており、根強い需要があります。

 こうした中、将来にわたって需要に応じた国内産いもでん粉を安定的に供給していくためには、作付面積の確保や収量の安定化により必要な原料いもを確保するとともに、いもでん粉の製造においてより一層の品質向上等により新たな需要の創出を図っていくことが生産者・でん粉製造事業者のみならず、その地域経済・社会にとって重要であると考えています。

 関係の皆様方には、こうした課題への適切な対応を図る中で、引き続き国内産いもでん粉の安定的な製造、利用に努めていただきますようお願いいたします。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713



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