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2.日本の主要輸入先国の動向

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最終更新日:2013年12月10日

2.日本の主要輸入先国の動向

2013年12月

トウモロコシ・コ−ンスターチ

米 国

 米国農務省(USDA)は11月8日、2013/14穀物年度(2013年9月〜翌8月)の国内外の主要農作物需給見通し(11月予測)を公表した。

【需給動向】
単収見込の上方修正によるトウモロコシ増産を受けて、期末在庫量が増加


 米国の2013/14穀物年度のトウモロコシ総供給量は、前回(9月時)から3億700万ブッシェル(780万トン)増の148億3700万ブッシェル(3億7688万トン)の見通しとなった(表2)。これは、収穫面積が9月時より190万エーカー(76万ヘクタール)減の8720万エーカー(3529万ヘクタール)となったものの、トウモロコシの生育が順調であったことから、主要生産5州のうちミネソタ州を除いて単収が増加し、全米平均では9月時より5.1ブッシェル/エーカー増の160.4ブッシェル/エーカーに上方修正された。これにより、生産量が139億8900万ブッシェル(3億5532万トン)と、9月時の見通しから1億4600万ブッシェル(371万トン)上方修正されたことが主な要因である。

 総消費量は、トウモロコシ価格下落見通しによる飼料など向け需要の増加に加え、輸出量も上方修正されたことから、9月時から2億7500万ブッシェル(699万トン)増の129億5000万ブッシェル(3億2894万トン)となった。

 期末在庫量は、増産により総供給量が上方修正されたことから、9月時の見通しから3200ブッシェル(81万トン)引き上げられ、18億8700万ブッシェル(4793万トン)となった。期末在庫率は、総供給量および総消費量ともに引き上ったことから、9月時と変わらず14.6パーセントに据え置かれたものの、依然、前年度を大幅に上回る(97.3%増)ものと見込まれている。
 表2
【価格動向】
生産者平均販売価格は、豊作と高在庫水準の見込みを受けて、1ブッシェル当たり 4.10〜4.90ドルに下落


 2013/14年度の生産者平均販売価格は、豊作と在庫水準が高くなるとの見通しから、9月時から下値、上値、共に引き下がり、1ブッシェル当たり4.10〜4.90米ドル(410円〜490円:1米ドル=100円)と予測している(表2)。

【貿易動向:トウモロコシ】
8月の輸出量、輸出価格下落するも前年の7割の水準


 2013年8月のトウモロコシ輸出量は、調達先の多様化などを背景に、中国やベネズエラ向けなどの大幅な減少を受けて、前年同月比29.8パーセント減の143万9600トンとなった(図3)。国別に見ると、日本向けが57万3700トン(前年同月比5.6%減)と減少したほか、ベネズエラ向け4万300トン(同69.8%減)、韓国向け3,700トン(同93.8%減)、中国向け1,600トン(99.7%減)と大幅に減少した。一方、メキシコ向けは、53万1800トン(同25.4%増)と大幅に増加し、日本に次ぐ輸出量となった(シェア36.9%)。

 1〜8月の輸出量では、前年同期比52.6パーセント減の1160万4400トンとなった。国別に見ると、日本向け428万3400トン(前年同期比42.4%減)、メキシコ向け310万7300トン(同56.0%減)、中国向け114万4800トン(同63.0%減)、ベネズエラ向け82万3900トン(同27.5%減)と大幅に減少した。

 8月の輸出(FOB)価格は、2013/14年産の米国産の豊作見込みなどを受けて、前月から22.6米ドル安(前月比7.3%安)の1トン当たり286.0米ドル(2万8600円)と下落し、前年同月比で8.3パーセント安となった。

 注:10月末日TTS相場
 図3
【貿易動向:コーンスターチ】
8月の輸出価格は上昇、輸出量も減少傾向が続く


 2013年8月のコーンスターチ輸出量は、前月から反転したものの、前年同月比47.4パーセント減の8,800トンと、引き続き1万トン台を割り込んだ(図4)。国別に見ると、カナダ向けが3,000トン(前年同月比2.4%増)と増加したものの、メキシコ向け1,300トン(同82.7%減)、英国向け740トン(同29.2%減)、日本向け210トン(同69.2%減)と大幅に減少した。

 1〜8月の輸出量では、前年同期比29.3パーセント減の7万7000トンとなった。国別に見ると、英国向けが1万800トン(前年同期比2.1%増)と増加傾向を維持しているものの、カナダ向け2万3300トン(同7.8%減)、メキシコ向け1万900トン(同52.7%減)と減少し、日本向けも2,700トン(同72.4%減)と大幅に減少した。

 8月の輸出(FOB)価格は、1トン当たり697.9米ドル(6万9790円、前年同月比22.1%高)となった。今年に入り、FOB価格は安定的に推移してきたが、8月は前月比でも11.9パーセント高(74.1米ドル高:7,410円、1米ドル=100円)と上昇し、700米ドル目前の状況となっていることも、輸出量減少の一因となっていると考えられる。

 注:10月末日TTS相場
図4

タピオカでん粉

タ イ

【価格動向】
国内価格、FOB価格ともに安定して推移


 タイタピオカ取引協会(TTTA)によると、でん粉工場が本格的に操業を始める状況にある中、コメの収穫に人手が取られるなどして、キャッサバの収穫作業が低迷し、市場へのキャッサバ供給量が低迷している。

 10月下旬のキャッサバ価格は、供給量の低迷や平均でん粉含有率の上昇などにより、主産地の東北部では、でん粉含有率23〜25パーセントで、前月比0.20〜0.10バーツ高の1キログラム当たり2.20〜2.50バーツ(7.2〜8.1円:1バーツ=3.25円注)となり、東西部では、でん粉含有率22〜24パーセントで、0.10〜0.00バーツ高の同2.00〜2.30バーツ(6.5〜7.5円)となった。

 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、11月19日現在のタピオカでん粉価格は、前月と変わらず1キログラム当たり13.5バーツ(43.9円:前年同月比1.5%高)となった(図5)。輸出(FOB)価格(バンコク)は、前月から5米ドル高の1トン当たり455米ドル(4万5500円:1米ドル=100円、同1.1%高)となり、国内価格、FOB価格ともに安定して推移した。なお、現地報道によると、エネルギー省と商務省は、キャッサバ価格の下落防止などを目的に、キャッサバエタノール生産の振興戦略の策定に相互協力するとして、食料とエネルギー資源の両面から、同国全体のキャッサバ生産や価格などについて監督すると発表した。また、2013/14年度(2013年10月〜翌9月)において、価格安定とでん粉工場などへの供給安定を目的としたキャッサバ農家に対する支援策も検討されている、これらの政策実施により、キャッサバ由来のエタノール生産が加速されれば、キャッサバ価格やタピオカでん粉価格への影響が生じることが予想される。このため、当該政策の実施動向や価格への影響への関心が高まっている。

 注:10月末日TTS相場
図5
【貿易動向】
9月の輸出量、中国向けのシェアが高まる


 2013年9月のタピオカでん粉輸出量は、前年同月比39.0パーセント増の22万6100トンとなった。国別に見ると、台湾向け2万3100トン(前年同月比11.6%減)、インドネシア向け1万6200トン(同28.5%減)、マレーシア向け1万100トン(同65.7%減)、日本向け4,200トン(同18.6%減)と減少したものの、中国向けが同188.0パーセント増の13万8700トンと大幅に増加し、同月輸入量の6割を占めた(図6)。TTTAによると、タイ産の価格がベトナム産よりも廉価であることから、中国を初めとした諸外国からの需要が高まり、発注が増加しているとしている。

 1〜9月の輸出量は、前年同期比2.3パーセント増の165万4500トンとなった。国別に見ると、中国向け72万6900トン(前年同期比83.4%増)、台湾向け19万9200トン(同7.2%増)と増加した。一方、インドネシア向け20万8200トン(同59.7%減)、マレーシア向け14万3400トン(同19.3%減)、日本向け9万1600トン(同14.0%減)と減少した。
図6

ベトナム

【生産動向】
キャッサバ作付面積、前年同月比で微減。天然ゴムへの作付転換が一因


 農業かんがい省によると、2013年10月現在のキャッサバの作付面積は、収益性の高い天然ゴムへの作付転換などにより、主産地である中央高原地域などで減少し、前年同月比1.2パーセント減の50万2500ヘクタールとなった(10月15日時点:表3)。

資料:在ベトナム調査会社AgroMonitor社レポート
表3
【貿易動向】
タピオカでん粉輸出量、復調続くも前年同月比割れ


 税関総局によると、2013年9月のタピオカでん粉輸出量は、前月に続き増加し、前月比8.6パーセント増の10万9700トンとなった。

 1〜9月の輸出量は、前年同期比22.4パーセント減の102万7500トンとなった。 輸出額は、同13.5パーセント減の4億7320万米ドル(473億2000万円:1米ドル=100円)となった。国別に見ると、輸出シェア9割の中国向けが、同8.1パーセント減の4億1470万米ドル(414億7000万円)と減少したほか、台湾向け33.2パーセント、フィリピン向け23.2パーセントと大幅に減少した(表4)。

 輸出(FOB)価格(ホーチミン)は、タイ産のFOB価格と同様、10月も安定して推移し、11月第1週の価格は、前月同週と変わらずトン当たり452.5米ドル(4万5250円)となった(図7)。

資料:在ベトナム調査会社AgroMonitor社レポート
注:10月末日TTS相場
表4
図7

ばれいしょでん粉

E U

【貿易動向】
8月の日本向け輸出量、皆減


 2013年8月のばれいしょでん粉輸出量は、前年同月比19.8パーセント減の2万300トンとなった(図8)。国別に見ると、韓国向け4,700トン(前年同月比0.5%減)、米国向け2,400トン(同4.4%減)、中国向け1,900トン(同37.9%減)、と減少し、日本向けの輸出は、日本国内の在庫調整などにより行われなかった。

 1〜8月の輸出量は、前年同期比20.1パーセント減の16万700トンとなった。国別に見ると、韓国向けが3万6100トン(前年同期比13.2%増)と増加したもの、米国向け2万1200トン(同25.6%減)、中国向け1万2400トン(同42.6%減)、ペルー向け7,900トン(同25.2%減)、日本向け6,800トン(同45.9%減)と大幅に減少した。

 8月の輸出(FOB)価格は、前月に続いて続落し、前月から14.7ユーロ安(前月比2.5%安)の1トン当たり567.2ユーロ(7万7706円:1ユーロ=137円)となった。

注:10月末日TTS相場
図8

化工でん粉

タ イ

【貿易動向】
9月の中国向け輸出量、半減


 2013年9月のデキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉など」という。)の輸出量は、前年同月比7.7パーセント減の7万4400トンとなった(図9)。国別に見ると、日本向け3万900トン(前年同月比17.1%増)、インドネシア向け6,900トン(同23.6%増)と増加したものの、中国向けは1万4800トン(同45.5%減)と減少した。

 1〜9月の輸出量は、前年同期比8.4パーセント増の67万9700トンとなった。国別に見ると、日本向け24万7100トン(前年同期比13.2%増)、インドネシア向け6万7300トン(同21.1%増)と増加したものの、中国向けは、加工企業向け需要の低迷などにより、同4.3パーセント減の14万2600トンとなった。

 9月の輸出(FOB)価格は、前月に続いて続落し、前月から9.1米ドル安(前月比1.2%安)の1トン当たり742.0米ドル(7万4200円:1米ドル=100円、前年同月比0.7%高)となった。前年は9月以降、下落基調となったが、今後、前年と同水準にまで下落するか注目されている。

注:10月末日TTS相場
図9

米 国

【貿易動向】
8月の日本向け輸出価格、続落


 2013年8月の化工でん粉などの輸出量は、前年同月比1.2パーセント増の3万7600トンとなった(図10)。国別に見ると、メキシコ向け4,000トン(前年同月比3.3%増)、中国向け2,700トン(同44.9%増)と増加したものの、カナダ向け6,900トン(同6.7%減)、ドイツ向け3,700トン(同12.6%減)、日本向け3,500トン(同12.1%減)と減少した。

 1〜8月の輸出量は、前年同期比5.3パーセント増の29万4700トンとなった。国別に見ると、カナダ向け5万4100トン(前年同期比0.1%増)、メキシコ向け2万9700トン(同3.6%増)、ドイツ向け2万4700トン(同1.4%増)、中国向け2万2000トン(同25.4%増)と増加したものの、日本向けは3万4200トン(同4.0%減)と減少した。

 8月の輸出(FOB)価格は、前月から反転し、前月から17.4米ドル安(前月比1.8%安)の1トン当たり975.3米ドル(9万7530円:1米ドル=100円、前年同月比6.1%高)となった。日本向けは667.6米ドルと同15.4パーセント安であったものの、ドイツ向け1,226.9米ドル(同23.5%高)、メキシコ向け1,034.0米ドル(同16.6%高)と上昇しており、日本向け価格への影響が懸念されている。

注:10月末日TTS相場
図10

中 国

【貿易動向】
10月の日本向け輸出量、半減


 2013年10月の化工でん粉などの輸出量は、前年同月比27.2パーセント減の7,900トンとなった(図11)。国別に見ると、韓国向けが3,400トン(前年同月比12.1%減)と減少し、日本向けは1,800トン(同57.4%減)と半減となった。

 1〜10月の輸出量は、前年同期比9.6パーセント増の9万7600トンとなった。国別に見ると、韓国向けが4万2700トン(前年同期比48.7%増)と大幅に増加したものの、日本向けは2万6300トン(同11.7%減)と減少した。

 10月の輸出(FOB)価格は、前月から反転し、35.6米ドル高(前月比4.2%高)の1トン当たり872.9米ドル(8万7290円:1米ドル=100円、前年同月比9.5%高)となった。日本向けは、前月から70.8ドル安(前月比10.6%安)の593.4米ドルと下落し、前年同月比で5.0パーセント安となった。一方、輸出シェアの4割を占める韓国向けは、前月から134.7ドル高(同21.1%高)の774.1米ドル(前年同月比24.0%高)と大幅に上昇しており、日本向け価格への影響が懸念されている。

注:10月末日TTS相場
図11

E U

【貿易動向】
8月の日本向け輸出量、2割減


 2013年8月の化工でん粉などの輸出量は、前年同月比0.8パーセント増の3万4000トンとなった(図12)。国別に見ると、ロシア向け4,400トン(前年同月比6.0%増)と増加したものの、トルコ向け7,600トン(同1.7%減)、日本向け2,900トン(同15.3%減)、中国向け2,700トン(同19.3%減)と減少した。

 1〜8月の輸出量は、前年同期比5.1パーセント増の28万8700トンとなった。国別に見ると、ロシア向け3万4000トン(前年同期比4.7%増)、中国向け3万2700トン(同21.2%増)と増加した。一方、トルコ向け6万900トン(同3.6%減)、日本向け2万2900トン(同18.3%減)と減少した。

 8月の輸出(FOB)価格は、5月以降下落基調であったものが反転し、前月から49.4ユーロ高(前月比5.3%高)の1トン当たり974.7ユーロ(13万3534円:1ユーロ=137円、前年同月比6.1%高)と3月の水準まで上昇した。

注:10月末日TTS相場
図12

豪 州

【貿易動向】
9月の日本向け輸出量、微減


 2013年9月の化工でん粉などの輸出量は、前年同月比7.7パーセント減の1,600トンとなった(図13)。国別に見ると、日本向けは1,000トン(前年同月比5.7%減)と減少したものの、ニュージーランド向け210トン(同284.6%増)、中国向け180トン(同32.5%増)と増加した。

 1〜9月の輸出量は、前年同期比19.7パーセント減の1万3200トンとなった。国別に見ると、日本向けが6,300トン(前年同期比38.7%減)と減少した。一方、ニュージーランド向け1,600トン(同10.1%増)、中国向け1,000トン(同10.5%増)と増加した。

 9月の輸出(FOB)価格は、前月とほぼ変わらず、前月比14.1米ドル安(前月比0.9%安)の1トン当たり1,618.5米ドル(16万1850円:1米ドル=100円、前年同月比12.8%高)となった。

注:10月末日TTS相場
図13
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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