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近年における甘味料・でん粉の需要動向〜砂糖・異性化糖・国内産ばれいしょでん粉〜

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最終更新日:2016年2月10日

近年における甘味料・でん粉の需要動向
〜砂糖・異性化糖・国内産ばれいしょでん粉〜

2016年2月

調査情報部

【要約】

 砂糖、異性化糖、国内産ばれいしょでん粉は、多くの食品の製造に使用されており、食品の製造に欠かせない原料の一つであると言える。食品製造企業における仕入れ量の動向は、製品の製造動向に大きく影響されていた。また、砂糖と異性化糖の仕入れ価格は、市中相場とおおむね連動した変動が見られた。

はじめに

 当機構は、甘味料およびでん粉の需要動向を把握するため、平成20年から毎年、食品製造企業などのユーザーを対象に、当該年(1〜12月)における甘味料およびでん粉の使用状況などについて聞き取り調査を実施している。

 調査対象企業は毎回30社程度を選定しており、各年の企業数は表1の通りである。なお、調査対象企業は年ごとに選定しているため、各年において必ずしも同一ではない。調査項目は、使用している甘味料またはでん粉ごとに「使用製品」「使用理由」「仕入れ価格の動向」「仕入れ量の動向および今後の見込み」「品質面および調達面に関する評価」などである。

 本稿では、これまでに実施した7年間の調査結果を基に、近年における砂糖、異性化糖および国内産ばれいしょでん粉の需要動向を報告する。なお、異性化糖は日本農林規格(JAS)において、果糖の含有率により、ぶどう糖果糖液糖(50%未満のもの)、果糖ぶどう糖液糖(50%以上90%未満のもの)、高果糖液糖(90%以上のもの)に分類されるが、本調査では、このうち使用量の多いぶどう糖果糖液糖および果糖ぶどう糖液糖を対象としている。
 

1. 砂糖の需要動向

(1)わが国における需要動向

 砂糖はわが国における甘味需要量の63%を占める最も需要の多い甘味料である。しかし、需要量は年々減少傾向で推移しており、農林水産省によると、平成26砂糖年度(10月〜翌9月)は197万1000トンと、200万トンを下回る水準となった(図1)。

 平成26年度の砂糖の用途別の仕向け量を見ると、菓子類が28%と最も多く、次いで清涼飲料21%、家庭用12%、乳製品11%と続いており、家庭用以外の業務向けが消費量の88%を占めており、食品製造企業における需要動向が砂糖の需要動向に大きな影響を与えると言える(図2)。
 
(2)砂糖の需要動向

ア. 使用状況
 砂糖の使用企業数は表2の通りで、各年ともに調査対象企業の90%以上を占めた。使用製品分類は菓子、清涼飲料、乳製品、調味料、パンなどで、使用製品はそれぞれの分野の製品全般に及んでいた。使用理由は「甘み付けのため」が最も多く、砂糖を選択する理由として、「自然な甘みが出せるから」「天然の甘味料だから」などが挙げられた。
 
イ. 仕入れ量および仕入れ価格の動向
 各年における仕入れ量の動向を見ると、平成20年は「増加」と「減少」がそれぞれ約半数に分かれた(図3)。21年以降はおおむね半数程度を「横ばい」が占める一方で、毎年2〜4割程度の企業で「減少」が見られた。各年の増減要因を見ると、「使用製品の製造量の増減」が多く挙げられた。また、減少の理由としては、各年で「他の甘味料への切り替え」が挙げられた。他の甘味料への切り替えについては、特に加糖調製品や人工甘味料に切り替える事例が多く見られた。加糖調製品への切り替えは、コスト削減を目的としたものが多かったが、近年、国内で脱脂粉乳などが不足していることから、乳原料の安定確保を目的としてミルク調製品に切り替える事例も見られた。人工甘味料への切り替えは、カロリーの低減を目的とするもので、菓子や清涼飲料で多く見られた。

 以下にその他の特徴的な増減要因を挙げる。20年において、増加の理由として「加糖あんの不足」が挙げられた。これは同年1月、中国産冷凍ギョーザによる薬物中毒事件が発生したことにより、加糖あんの主要輸入先国である中国からの輸入量が一時的に減少したことから、製あん企業で砂糖の仕入れ量が増加したことによる。

 23年において、減少の理由として同年3月11日に発生した東日本大震災の影響が挙げられた。具体的には「震災の影響による工場の一時停止」「震災の影響による製品需要の低迷」などにより、製品の製造量の減少が見られた。
 
 調査対象期間における上白糖の卸売価格(東京)を見ると、上昇傾向で推移しており、特に22年以降は1キログラム当たり180円を超える高水準となっている(図4)。卸売価格の上昇を受け、調査対象企業の仕入れ価格についても同様の動きが見られ、20〜23年はほぼすべての企業が「上昇」とした。24年以降は各社で動向が分かれ、24年は「上昇」11%、「横ばい」54%、「下落」35%、25年は「上昇」41%、「横ばい」44%、「下落」15%、26年は「上昇」15%、「横ばい」73%、「下落」12%となった。
 

2. 異性化糖の需要動向

(1)わが国における需要動向

 異性化糖はわが国における甘味需要量の25%を占め、砂糖に次いで需要量の多い甘味料である。農林水産省によると、需要量は平成24砂糖年度の82万7000トンをピークに減少し、26砂糖年度は79万5000トンである(図5)。主な用途は飲料で清涼飲料が50%、乳性飲料が8%、酒類が8%で、これらを合計すると異性化糖の販売量全体の64%を占めている(図6)。
 
 
(2)ぶどう糖果糖液糖の需要動向

ア. 使用状況

 ぶどう糖果糖液糖の使用企業数は表3の通りで、調査対象企業の30〜40%程度を占めた。使用製品分類は菓子、清涼飲料・酒類、調味料、パン、漬物・佃煮・煮豆と多岐にわたっていた。

 使用理由で最も多かったのが「コスト削減のため」であった。この他、味覚面では「すっきりした甘みであるため(アイスクリーム、調味料)」「砂糖より甘みが残りにくいため(清涼飲料)」「低温下で甘味度が増すため(清涼飲料)」「清涼感を持たせるため(清涼飲料)」「味のバランスを調整するため(漬物)」など、砂糖とは違った理由で使用している事例が多かった。機能面では「保湿性が高く、もちもちした食感を出せるため(菓子)」「つゆとの相性が良いため(調味料)」「液状なので扱いやすいため(乳製品、調味料)」など、ぶどう糖果糖液糖の特長を生かした理由も挙げられた。
 
イ. 仕入れ量および仕入れ価格の動向
 各年における仕入れ量の動向を見ると、平成20年においては「増加」と「減少」がおおむね半数程度に分かれた(図7)。21年以降は「横ばい」との回答が最も多かった。各年ともに増減の要因として「使用製品の製造量の増減」が挙げられ、特に23年には東日本大震災の影響が挙げられた。この他、「果糖ぶどう糖液糖への切り替え」「カロリー低減のための人工甘味料などへの切り替え」などが挙げられた。
 
 調査対象期間におけるぶどう糖果糖液糖の市中相場を見ると、上昇傾向で推移しており、特に平成20年には前年から1キログラム当たり15.1円高、23年には同14.1円高と、前年から同10円を超える上昇が見られた(図8)。

 各企業の仕入れ価格もおおむね同様の動きが見られたが、21年は、市中相場は前年から同0.5円上昇したものの、「横ばい」との回答が多く、仕入れ価格に大きな影響は見られなかった。また、22年は、市中相場が前年から同5.2円下落したものの、「上昇した」が75%を占め、「下落した」は8%にとどまった。
 
(3)果糖ぶどう糖液糖の需要動向

ア. 使用状況

 果糖ぶどう糖液糖の使用企業数は表4の通りである。使用製品分類は、ぶどう糖果糖液糖と同様であったが、特に、飲料・酒類での使用が多く見られた。果糖は冷やすと甘みをより強く感じる性質を持っているため、果糖含有率の高い果糖ぶどう糖液糖が飲料・酒類で多く使用されていると考えられる。

 使用理由を見ると、「コスト削減のため」「液状なので扱いやすいため」が多かった。この他、「甘みがさっぱりしているから(清涼飲料)」「製品に清涼感を持たせることができるから(清涼飲料)」「低温下で甘みを引き出せるから(乳製品)」などが挙げられた。
 
イ. 仕入れ量および仕入れ価格の動向
 各年における仕入れ量の動向は、年によりばらつきが見られた(図9)。増減要因を見ると、各年とも「使用製品の製造量の増減」が最も多かった。特に、平成22年は猛暑だったこともあり、清涼飲料などで増加が見られた。この他、各年において「減少」の理由として、特に清涼飲料などで「カロリー低減のために人工甘味料に切り替えた」が見られた。
 
 調査対象期間における果糖ぶどう糖液糖の市中相場は上昇傾向で推移しており、特に平成23年は1キログラム当たり133.1円と、前年の同118.8円から12%の上昇が見られた(図10)。各企業の仕入れ価格についてもおおむね同様の動きが見られた。
 

3. 国内産ばれいしょでん粉の需要動向

(1)わが国における需給動向

 国内産ばれいしょでん粉はわが国におけるでん粉供給量の7.0%を占め、コーンスターチの85.6%に次ぐシェアである。農林水産省によると、調査対象期間における国内産ばれいしょでん粉の供給量は、平成21でん粉年度(10月〜翌9月)以降、減少傾向で推移し、特に、22、23でん粉年度はでん粉原料用ばれいしょの産地である北海道において不作が続いたことから、22でん粉年度は17万9000トン(前年度比11.8%減)、23でん粉年度は16万8000トン(同6.1%減)と落ち込んだ。24でん粉年度以降は回復傾向にあり、26でん粉年度は18万5000トン(同5.7%増)の見込みである(図11)。

 26でん粉年度の国内産ばれいしょでん粉の用途別販売量を見ると、糖化製品向けが23%と最も多く、次いで片栗粉向け22%、化工でん粉向け17%となっている(図12)。販売量の過半を占める食品向けは片栗粉の他、ミックス粉・レトルト食品、菓子類、麺類、水産練製品、食肉製品など多岐にわたり、食品製造業における需要動向は、国内産ばれいしょでん粉の需要に大きな影響を与えると言える。
 
(2)ばれいしょでん粉の需要動向

ア. 使用状況

 国内産ばれいしょでん粉の使用企業数は表5の通りで、調査対象企業の20〜70%程度と、各年でばらつきが見られた。使用製品分類は調味料・片栗粉、菓子、水産練製品・食肉製品、麺類・春雨、糖化製品などであった。

 使用理由を見ると、「商品の成形のため(菓子)」「とろみ付けのため(中華合わせ調味料、レトルトカレー)」「増粘のため(佃煮)」「保水性を高めるため(パン)」「増量剤として(ソーセージ)」「結着剤として(水産練製品)」「耐冷性を高めるため(冷凍食品)」「弾力性を高めるため(水産練製品)」「食感を出すため(菓子、麺類、冷凍食品)」「食感(舌触り、歯ごたえ)の改良(菓子)」「食感をなめらかにするため(乳製品)」など、製品の特性を引き出すために使用している事例が多く見られた。また、「品質が良いため(春雨)」「消費者に安全性を訴求できるため(水産練製品)」「顧客から要望があるため(水産練製品)」「供給が安定しているため(水産練製品)」など国内産であることを理由に挙げた企業も見られた。
 
イ. 仕入れ量および仕入れ価格の動向
 各年における仕入れ量の動向を見ると、平成20年においては「増加」が最も多かったが、その他の年では「横ばい」が最も多かった(図13)。各年の増減要因を見ると、「使用製品の製造量の増減」が最も多く挙げられており、調査の対象とした砂糖や異性化糖同様、製品の売り上げに国内産ばれいしょでん粉の仕入れ量が左右されていることが分かる。以下にその他の特徴的な増減要因を挙げる。

 21年において、増加の理由として「化工でん粉からの切り替え」が挙げられた。これは、前年の10月1日に食品衛生法施行規則の一部改正が行われ、化工でん粉を添加物に使用する場合はその旨の表示が義務付けられたことによるものである。このため、添加物を使用しない製品を製造しようとする企業で化工でん粉からの切り替えが見られた。

 22、23年において、減少の理由として「供給量の減少」が挙げられた。前述の通り22、23年度は北海道の不作で、ばれいしょでん粉の供給量が大幅に減少しており、企業の仕入れ量にも影響が見られた。「増加」または「横ばい」とした企業においても、「不足している」「確保が困難である」などの声が聞かれ、調達に苦労したことがうかがえる。また、一部の企業では、「輸入化工でん粉に切り替えた」も見られた。24年においても減少の理由として「供給量の減少」が挙げられており、同年産の国内産ばれいしょでん粉の供給量は前年産から増加したものの、依然として必要量を確保できなかった企業が見られた。

 仕入れ価格については、22年は74%、23年は76%、24年は47%の企業が前年に比べ「上昇した」としており、供給量の不足により仕入れ価格が上昇したとみられる。25年以降は「横ばい」が多く、仕入れ価格は安定して推移したとみられる。
 
ウ. 品質面および調達面に関する評価
 品質面については、いずれの企業も「問題ない」としており、国内産ばれいしょでん粉の品質を評価していることがうかがえる。

 調達面については、平成20、21年においてはいずれの企業も「問題ない」としているが、22〜24年において「供給量が不足している」との声が聞かれた。ばれいしょでん粉の供給量が回復しつつある25年、26年においては、「問題ない」とする企業からも「安定供給を望む」との声があった。

おわりに

 砂糖、異性化糖、国内産ばれいしょでん粉は、多くの製品の製造に欠かせない原料の一つであることから、その需要量は、その製造動向に大きく左右される。砂糖については、砂糖の価格が上昇した年に価格面で優位性を持つ加糖調製品への切り替えが見られ、常に加糖調製品への切り替えが起こり得る状況にあると言える。異性化糖については、価格面による他の甘味料への切り替えはほとんど見られなかったが、近年の消費者の低カロリー志向から清涼飲料などで人工甘味料への切り替えが見られた。なお、人工甘味料への切り替えは砂糖でも同様の動きが見られた。

 一方、でん粉は、それぞれの製品に合った性質のものが選択されていることから、価格による切り替えは限定的であった。国内産ばれいしょでん粉は、平成22、23年産の不作による供給不足の印象が根強く、依然として供給不足に対する懸念を持つ企業があり、安定供給が最も重要であると言える。

 当機構では、今後とも需要実態調査の実施などを通じて、甘味料およびでん粉の需要動向の把握に努めていきたい。

【参考文献】
調査情報部「平成20年度甘味料の需要実態調査の概要」『砂糖類情報』(2009年7月号)
調査情報部「平成21年度甘味料の需要実態調査の概要」『砂糖類情報』(2010年6月号)
調査情報部「平成22年度甘味料の需要実態調査の概要」『砂糖類情報』(2011年6月号)
調査情報部「平成23年度甘味料の需要実態調査の概要」『砂糖類情報』(2012年6月号)
調査情報部「平成24年度甘味料の需要実態調査の概要」『砂糖類・でん粉情報』(2013年7月号)
調査情報部「平成25年度甘味料の需要実態調査の概要〜砂糖・異性化糖編〜」『砂糖類・でん粉情報』(2014年9月号)
調査情報部「平成26年度甘味料の需要実態調査の概要〜砂糖・黒糖・異性化糖編〜」『砂糖類・でん粉情報』(2015年7月号)
調査情報部「平成20年度でん粉の需要実態調査の概要」『でん粉情報』(2009年7月号)
調査情報部「平成21年度でん粉の需要実態調査の概要」『でん粉情報』(2010年6月号)
調査情報部「平成22年度でん粉の需要実態調査の概要」『でん粉情報』(2011年5月号)
調査情報部「平成23年度でん粉の需要実態調査の概要」『でん粉情報』(2012年6月号)
調査情報部「平成24年度でん粉の需要実態調査の概要」『砂糖類・でん粉情報』(2013年6月号)
調査情報部「平成25年度でん粉の需要実態調査の概要〜国内産いもでん粉、輸入ばれいしょでん粉〜」『砂糖類・でん粉情報』(2014年7月号)
調査情報部「平成26年度でん粉の需要実態調査の概要〜ばれいしょでん粉・かんしょでん粉・小麦でん粉〜」『砂糖類・でん粉情報』(2015年5月号)
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713



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