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2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

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最終更新日:2016年6月10日

2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

2016年6月

 本文中の日本円換算に用いた為替レートは4月末日TTS相場の値であり、1米ドル=110.83円、1タイバーツ=3.21円、1ユーロ=125.62円である。
 

トウモロコシ・コーンスターチ

米国

【需給動向】
新年度の需給予測、生産量は過去最高
 2016年5月、USDA(米国農務省)による2016/17穀物年度(9月〜翌8月)のトウモロコシ需給予測が初めて公表された。これによると、作付面積は9360万エーカー(3788万ヘクタール、前年度比6.4%増)、生産量は144億3000万ブッシェル(3億6652万トン、同6.1%増)としており、作付面積は史上3番目、生産量は過去最高の数値となっている。一方、国内消費量は、122億2000万ブッシェル(3億1039万トン、同3.0%増)と、肉用牛はじめ家畜飼養頭数の増加を踏まえた飼料向けの増加や、ソルガムのエタノール向けの減少を相殺する形でのエタノール向けの増加を見込み、前年度を上回ると予測されている。また、輸出量は、19億ブッシェル(4826万トン、同10.1%増)と、競合するブラジル産の生産量の減少見通しを背景に、前年度を上回ると予測されている。

【価格動向】
新年度の販売価格は、前年度を下回る見込み

 同じく2016/17穀物年度のトウモロコシ生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり3.05〜3.65米ドル(338円〜405円)と、記録的な生産量予測を反映して、前年度を下回る水準と予測されている(表2)。

 



 

【貿易動向:トウモロコシ】
3月の輸出量は、8カ月ぶりに前年比増
 2016年3月のトウモロコシ輸出量は、435万2722トン(前年同月比10.5%増、前月比31.2%増)となった。USDAによると、ブラジルやアルゼンチンとの競合の高まりなどから、前月まで前年同月を下回って推移していたものの、ブラジルの干ばつ傾向やアルゼンチンの収穫の遅れなどから、8カ月ぶりに前年同月を上回っている(図3)。ただし、今後は、ブラジルの第二期作やアルゼンチンの収穫が進むにつれ、両国との競合が高まると予想されている。同月の国別輸出量は、次の通り。
メキシコ  125万3487トン (前年同月比57.0%増、前月比13.7%増)
日本    106万4301トン  (同13.9%増、同61.8%増)
韓国    26万428トン   (同65.0%減、同22.7%減)
中国    13万1979トン  (同52.6%増、同107.7倍)

 なお、同月の輸出価格(FAS(注))は、引き続き低水準で推移しており、1トン当たり前月比4.2米ドル安の177.07米ドル(1万9625円、前年同月比8.9%安、前月比2.3%安)となった。

(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる価格。FOB価格と異なり、横持ち料(倉庫間の移動費)、積み込み料などは含まれていない。

 
 


 


【貿易動向:コーンスターチ】
3月の輸出量は、前年比、前月比ともに大幅減
 2016年3月のコーンスターチ輸出量は、5572トン(前年同月比27.0%減、前月比26.8%減)と、前年同月比、前月比ともに大幅に減少した(図4)。同月の国別輸出量は、次の通り。
カナダ  2852トン (前年同月比17.6%減、前月比7.5%減)
メキシコ  684トン  (同2.6倍、同42.2%減)
英国    120トン  (同69.3%減、同80.1%減)
ドイツ    31トン  (同93.8%減、同26.2%減)
日本      28トン    (同88.8%減、同60.0%減)

 なお、同月の中西部市場のコーンスターチ価格は、1ポンド当たり前月比0.26セント高の5.46セント(6.1円、前年同月比11.7%高、前月比5.0%高)となっており、2015年7月以降、前年同月を上回って推移している。


 




 

タピオカでん粉

タイ

【生産動向】
キャッサバ生産は厳しい環境が継続

 現地報道によると、キャッサバ生産は、干ばつの影響により厳しい状況が続いている。そのため、政府は、一部の地域で、キャッサバなど大量の水を必要とする作物から、クワなど比較的水を必要としない作物への転換を促しており、これを受け、一部の農家では転作が進んでいる。

【価格動向】
前年を下回る水準で推移

 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2016年4月第4週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり13.1バーツ(42円、前年同期比6.4%安、前週同)と、引き続き、前年を下回る水準が続いている(図5)。
 
 なお、キャッサバ農家価格は、1キログラム当たり1.92バーツ(6.16円)と(表1)、低水準ながら前月に比べわずかに上昇している。

 



【貿易動向】
3月の輸出量は、3カ月連続で前年比増
 2016年3月のタピオカでん粉輸出量は、36万9181トン(前年同月比10.6%増、前月比3.1%増)と、3カ月連続で前年同月を上回った(図6)。同月の国別輸出量は、次の通り。
中国 17万3110トン (前年同月比2.9%増、前月比5.0%減)
インドネシア  8万6882トン (同42.3%増、同3.4%増)
台湾 2万7358トン (同2.2%増、同0.5%増)
マレーシア  2万6877トン (同11.7%減、同63.6%増)
日本   6981トン (同6.0%減、同44.5%減)


 また、同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、前月に比べ1トン当たり9米ドル高の389米ドル(4万3113円、前年同月比8.5%安、前月比2.4%高)と、前月に比べわずかに上昇しているものの、引き続き前年同月を下回って推移している(図6)。

 
 



 

ベトナム

【生産動向】
3月の作付面積は、前年比かなり大きく減少

 ベトナム農業農村開発省によると、2016年3月の調査では、キャッサバの作付面積は、11万9248ヘクタール(前年同月比13.7%減)と、前年同月をかなり大きく下回った(表3)。これは、主要生産地域において、前年の作付け時期の遅れの影響を受け、2016年の作付けも遅れていることや、干ばつによる水不足が深刻化していることが背景にあり、生産者は作付けに慎重になっている。ただし、一部の地域では、4月半ばに一定の降雨が得られたことで、作付けを進める動きも見られている。

 


 


【貿易動向】
3月の輸出量は、タピオカでん粉、キャッサバチップともに3カ月連続で前年比減
 ベトナム税関総局によると、2016年3月のタピオカでん粉輸出量は、23万1719トン(前年同月比15.9%減、前月比75.4%増)と、3カ月連続で前年同月を下回った(図7)。最大の輸出先である中国の需要が、在庫の積み増しから弱まっているため、減少傾向が続いているが、その他の国からの需要は回復しつつある。タピオカでん粉の輸出価格は、低迷しているものの、競合国であるタイの輸出価格が、3月にわずかに上昇したため、1トン当たり351米ドル(3万8901円、前年同月比11.9%安、前月比1.9%高)と、前月を7米ドル上回った。

 同月のキャッサバチップ輸出量は、29万9594トン(前年同月比30.0%減、前月比90.0%増)と、タピオカでん粉と同様に、中国の需要の弱まりなどから、3カ月連続で前年同月を下回っている。


 



 

ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向】
3月の輸出量は、前年比大幅減の一方、前月比では大幅増

 2016年3月のばれいしょでん粉輸出量は、2万3981トン(前年同月比24.3%減、前月比22.7%増)と、前年同月を大幅に下回った一方、前月比では大幅に上回った(図8)。同月の国別輸出量は、次の通り。
米国  7145トン (前年同月比43.9%増、前月比30.0%増)
韓国  6145トン (同9.5%減、同56.4%増)
中国  1478トン (同29.6%増、同90.0%増)
日本  18トン   (同96.9%減、同97.9%減)

 2016年3月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり634ユーロ(7万9643円、前年同月比8.2%高、前月比0.1%安)と前年同月をかなりの程度上回った。

 


 

コラム EU・ベトナムFTAにおける関税削減スケジュール

 
 
今回のコラムでは、2015年12月に署名締結されたEUとベトナムのFTA(自由貿易協定)における、でん粉関連の関税削減スケジュールなどを紹介する。本FTAについては、2016年3月号における本コラムも、併せて参照されたい。

 なお、現地報道によると、同FTAは2018年の発効が予定されている。
 

1 EUからベトナムへの輸出
 まず、EUからベトナムへ輸出されるでん粉に対する輸入関税は、いずれも段階的に撤廃される(表1)。このうち、ばれいしょでん粉は、最長の11年を要する一方、化工でん粉は最短の4年で撤廃される。ベトナムはタピオカでん粉の主要生産国・輸出国であるものの、小麦でん粉、コーンスターチ、ばれいしょでん粉、化工でん粉については、いずれもEUが主要な輸入先であるため、本FTAがベトナムのでん粉需給に一定の影響を及ぼすことが想定される(表2)。


 







 

2 ベトナムからEUへの輸出
 ベトナムからEUへ輸出されるでん粉に対する輸入関税は、品目ごとに異なる合意内容となっている(表3)。小麦でん粉、コーンスターチ、ばれいしょでん粉の輸入関税は、段階的に撤廃されるものの、そもそもこれらでん粉のベトナムでの生産は極めてわずかであり、EUへの輸出も、ほぼ皆無である(表4)。

 一方、ベトナムのでん粉生産の大半を占めるタピオカでん粉と化工でん粉については、現行の関税を維持しつつ、無税の関税割当を設けることで合意された。こうした合意内容は、EUのでん粉原料用ばれいしょ生産者およびばれいしょでん粉産業における、安価なベトナムのタピオカでん粉の輸入急増への懸念が背景にある。しかしながら、無税枠の3万トンは、EUのベトナム産タピオカでん粉の年間輸入量である1141トンをはるかに上回る数量となっており、EUのでん粉業界では、関税は維持されたものの、実際には無税枠により輸入が急増する事態を懸念している。

 





 

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(HSコード:350510、以下「化工でん粉」という)の主要輸出国の、主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通り。なお、データは「Global Trade Atlas」の出典である。

タイ

【貿易動向】
3月の輸出量は、2カ月連続で前年比、前月比ともに増
 2016年3月の化工でん粉の輸出量は、9万5421トン(前年同月比10.6%増、前月比36.1%増)と、2カ月連続で前年同月比、前月比ともに上回った(図9)。同月の国別輸出量は、次の通り。
日本   3万7872トン (前年同月比17.5%増、前月比68.0%増)
中国   1万6252トン (同7.2%増、同16.3%増)
インドネシア  8979トン (同20.9%増、同23.0%増)
韓国    7161トン  (同22.8%増、同99.4%増)

 


 

米国

【貿易動向】
3月の輸出量は、12カ月連続で前年比減

 2016年3月の化工でん粉の輸出量は、2万5327トン(前年同月比36.4%減、前月比3.1%増)と、12カ月連続で前年同月を下回った(図10)。同月の国別輸出量は、次の通り。
カナダ   6760トン (前年同月比15.5%減、前月比6.3%減)
中国  3482トン  (同7.0%減、同6.9%増)
メキシコ  3271トン  (同1.7%減、同19.3%増)
ドイツ   1165トン  (同61.4%減、同16.3%増)
日本   437トン  (同73.3%減、同48.0%減)

 


 

中国

【貿易動向】
3月の輸出量は、4カ月連続で前年比大幅減
 2016年3月の化工でん粉の輸出量は、4828トン(前年同月比28.0%減、前月比49.7%増)と、4カ月連続で前年同月を大幅に下回った(図11)。同月の国別輸出量は、次の通り。
日本  2004トン (前年同月比2.4%増、前月比3.2倍)
韓国  303トン   (同85.4%減、同71.4%減)

 


 

EU

【貿易動向】
3月の輸出量は、3カ月連続で前年比減
 2016年3月の化工でん粉の輸出量は、4万2929トン(前年同月比1.1%減、前月比14.3%増)と、3カ月連続で前年同月を下回った(図12)。同月の国別輸出量は、次の通り。
トルコ 6292トン (前年同月比34.0%減、前月比12.0%減)
中国  6160トン (同6.7%増、同39.7%増)
ロシア  4532トン (同15.6%増、同8.8%増)
日本  2891トン (同17.5%減、同8.9%増)

 


 

豪 州

【貿易動向】
3月の輸出量は、前年比大幅増

 2016年3月の化工でん粉の輸出量は、1599トン(前年同月比68.0%増、前月比4.6%増)と、前年同月を大幅に上回った(図13)。同月の国別輸出量は、次の通り。
日本      1098トン (前年同月比2.0倍、前月比3.2%増)
ニュージーランド  173トン (同27.0%減、同71.3%増)

 


 

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