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2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

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最終更新日:2016年7月11日

2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

2016年7月

 本稿中の為替レートは5月末日TTS相場の値であり、1米ドル=110円(110.12円)、1タイバーツ=3.16円、1ユーロ=125円(125.15円)である。
 

トウモロコシ・コーンスターチ

米国

【需給動向:トウモロコシ】
需給予測、輸出量がわずかに上方修正

 2016年6月時点のUSDA(米国農務省)による2016/17穀物年度(9月〜翌8月)のトウモロコシ需給予測によると、作付面積は9360万エーカー(3788万ヘクタール、前年度比6.4%増)、生産量は144億3000万ブッシェル(3億6652万トン、同6.1%増)となり、供給関連の数値は、期首在庫がわずかに下方修正された以外は、いずれも前月から据え置かれた(表2)。また、消費関連の数値も、おおむね前月から据え置かれているが、輸出のみ、わずかに上方修正された。これは、ブラジルの生産量の減少や、アルゼンチンの収穫遅れから、米国産の競争力が高まると見込まれるためとしている。

【価格動向:トウモロコシ】
販売価格の上方修正により、上値は前年度並みに

 同じく2016/17穀物年度のトウモロコシ生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり3.20〜3.80米ドル(352円〜418円)と、前月から上方修正された(表2)。その結果、上値は、前年度並みまで上昇している。

 



 

【貿易動向:トウモロコシ】
4月の輸出量は、前年比、前月比ともに増
 2016年4月のトウモロコシ輸出量は、511万6010トン(前年同月比4.7%増、前月比17.5%増)と、前年同月比、前月比ともに増加している(図3)。同月の国別輸出量は、次の通り。

メキシコ  137万6214トン
 (前年同月比19.9%増、前月比9.8%増)
日本     97万3253トン
 (同25.1%減、同8.6%減)
韓国     22万6092トン
 (同70.5%減、同13.2%減)
中国    6万6657トン
 (同17.8%増、同49.5%減)

 なお、同月の輸出価格(FAS(注))は、引き続き低水準で推移しており、1トン当たり177.43米ドル(1万9517円、前年同月比5.8%安、前月比0.2%高)となった。

(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる価格。FOB価格と異なり、横持ち料(倉庫間の移動費)、積み込み料などは含まれていない。
 

 
【貿易動向:コーンスターチ】
4月の輸出量は、2カ月連続で前年比減
 2016年4月のコーンスターチ輸出量は、7056トン(前年同月比1.1%減、前月比26.6%増)と、2カ月連続で前年同月を下回った(図4)。同月の国別輸出量は、次の通り。

カナダ    2657トン
 (前年同月比22.1%減、前月比6.8%減)
メキシコ   1894トン
 (同4.8倍増、同2.8倍増)
ドイツ      35トン
 (同95.1%減、同12.9%増)
日本        8トン
 (同20.0%減、同71.4%減)

 なお、同月の中西部市場のコーンスターチ価格は、1ポンド当たり6.04セント(6.6円、前年同月比14.8%高、前月比10.7%高)となっており、2015年7月以降、前年同月を上回って推移している。
 
 

タピオカでん粉

タイ

【生産動向】
キャッサバ生産環境の悪化から、政府は支援策を実施
 タイ農業組合省は、干ばつの影響から、キャッサバいもが通常より小ぶりになる傾向があり、でん粉含有率も1〜3%低下していると発表している。こうした状況を受け、タイ政府は、点滴かんがいを用いたキャッサバ栽培やコスト削減・単収増のための取り組みを行う農家に対し、農業・協同組合銀行から融資を行い、政府が一定期間、金利を補てん()()するという支援策を実施することで、農家の経営とキャッサバ生産の安定を図っている。

【価格動向】
国内価格は、横ばいで推移
 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2016年6月第1週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり13.1バーツ(41円、前年同期比7.1%安、前週同)と、引き続き、前年を下回る水準が続いている(図5)。

 なお、キャッサバ農家価格は、1キログラム当たり1.78バーツ(5.6円)と(表1)、引き続き低水準で推移している。



 
 
【貿易動向】
4月の輸出量は、4カ月連続で前年比増
 2016年4月のタピオカでん粉輸出量は、25万5220トン(前年同月比8.7%増、前月比30.9%減)と、4カ月連続で前年同月を上回った(図6)。同月の国別輸出量は、次の通り。

中国       7万7898トン
 (前年同月比31.2%減、前月比30.9%減)
インドネシア  6万613トン
 (同87.6%増、同30.2%減)
マレーシア  4万1197トン
 (同2.1倍増、同53.3%増)
台湾       2万8502トン
 (同16.7%増、同4.2%増)
日本       1万1613トン
 (同7.4%減、同66.4%増)

 また、同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、前月に比べ1トン当たり6米ドル高の395米ドル(4万3450円、前年同月比10.6%安、前月比1.5%高)と、前月に比べわずかに上昇しているものの、引き続き前年同月を下回って推移している(図6)。
 
 

ベトナム

【生産動向】
4月の作付面積は、前年比やや減

 ベトナム農業農村開発省によると、2016年4月の調査では、キャッサバの作付面積は、17万4288ヘクタール(前年同月比5.8%減)と、前年同月をやや下回った(表3)。これは、北部を中心に、より経済的価値の高いコーヒー豆、サトウキビ、果物へ作付け品目がシフトしていることが影響している。また、南部を中心に乾燥気候が続いていることも、作付面積の減少につながっている。

 一方、キャッサバの収穫については、通常、2〜4月にかけてピークを迎えるが、取引価格の下落傾向が続いているため、主要生産地域を中心に5月ごろまで収穫を遅らせる傾向が見られている。また、6月以降は、徐々に収穫が本格化しつつあるものの、干ばつの影響から、でん粉含有率の減少が予想されている。しかしながら、関係者の間では、2015/16年度(10月〜翌9月)のタピオカでん粉生産量は、でん粉製造工場の製造能力向上の影響から、前年度を上回ると見込まれている。その一方、輸出需要は低調に推移しているため、在庫の積み増しが進んでいる。

 


 


【貿易動向】
4月のタピオカでん粉輸出量は、ほぼ前年並み

 ベトナム税関総局によると、2016年4月のタピオカでん粉輸出量は、18万8599トン(前年同月比0.3%増、前月比18.6%減)と、ほぼ前年並みとなっている(図7)。これは、最大の輸出先である中国向けは、依然として、高水準の在庫と人民元相場の下落傾向から減少している一方、東南アジアを中心に他の輸出先の需要が高まった結果とみられている。しかしながら、5月以降の見通しとしては、中国の需要は、通常、夏季に向けて減少する上、中国以外の国の需要も弱まると予想されており、輸出環境は、やや悪化するとみられている。

 なお、タピオカでん粉の輸出価格は、1トン当たり352米ドル(3万8720円、前年同月比16.8%安、前月比0.3%高)と、前月からほぼ横ばいとなっている。

 キャッサバチップの輸出は、中国向けを中心として行われており、同月の全体の輸出量は、26万694トン(前年同月比16.3%減、前月比13.0%減)と前年同月を下回っている。輸出価格については、2015年9月以降大幅に下落したが、世界的なトウモロコシ価格の上昇に伴い、2016年3月以降は、回復基調に転じている。
 

 

ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向】
4月の輸出量は、4カ月連続で前年比減

 2016年4月のばれいしょでん粉輸出量は、2万6097トン(前年同月比10.6%減、前月比6.8%増)と、4カ月連続で前年同月を下回った(図8)。同月の国別輸出量は、次の通り。

韓国  7119トン
 (前年同月比60.3%増、前月比15.9%増)
米国  5373トン
 (同7.8%増、同24.8%減)
中国  898トン
 (同11.6%減、同39.2%減)

 2016年4月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり620ユーロ(7万7500円、前年同月比7.6%高、前月比2.1%安)と前年同月をかなりの程度上回った。
 
 

コラム スウェーデンのばれいしょでん粉の需給動向


 EUのばれいしょでん粉の生産は、主要4カ国(ドイツ、オランダ、デンマーク、フランス)が7割超を占め、残りの3割弱を6カ国(ポーランド、フィンランド、オーストリア、スウェーデン、チェコ、ラトビア)が占めている。今回のコラムでは、スウェーデンの需給動向について紹介する。

 スウェーデンは、スカンジナビア半島の多くを占める北欧最大の国である。寒冷な気候から、耕種農業に適した地域は南部に限られ、ばれいしょ生産の約3割を占めるでん粉原料用ばれいしょも、主に南部のスコーネ県、ブレーキンゲ県、カルマル県で生産されている(図1)。

 


 近年のでん粉原料用ばれいしょの生産動向を見ると、栽培面積、生産量ともに、2011年から2012年にかけて減少したものの、その後は微増傾向で推移している。また、単収も、微増傾向で推移している()。

 スウェーデンのばれいしょでん粉製造企業は、Lyckeby社とAB Stadex社の2社であり、特にLyckeby社は、北欧最大のでん粉製造企業として知られている。同社は、800戸のばれいしょ農家が共同で所有しているため、原料の安定的な確保や品質の維持、トレーサビリティの面で優位性を有している。また、マーガリンや乳製品、スープやソースなどの食品原料や、工業原料などの幅広い製品を、デンマーク、ポーランド、ラトビア、チェコ、ロシア、中国の子会社などを利用して、世界30カ国程度に輸出している。




 スウェーデンのばれいしょでん粉の輸出量は、特異的に急増した2014年を除き、緩やかな増加傾向となっており、おおむねでん粉原料用ばれいしょ生産量と同様の傾向となっている。最大の輸出先は米国であるが、輸出先は年ごとに変動が大きく、2015年の第2の輸出先はイタリアとなっており欧州内では、比較的涼しい北部地域で生産されたばれいしょでん粉が、近隣諸国に加え、温暖な南部に輸出されるという貿易構造を有している。その他、韓国やメキシコにも幅広く輸出されている。
 




 
 

 

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(HSコード:350510、以下「化工でん粉」という)の主要輸出国の、主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通り。なお、データは「Global Trade Atlas」の出典である。
 

タイ

【貿易動向】
4月の輸出量は、3カ月連続で前年比増

 2016年4月の化工でん粉の輸出量は、7万6998トン(前年同月比4.1%増、前月比19.3%減)と、3カ月連続で前年同月を上回った(図9)。同月の国別輸出量は、次の通り。

日本      2万7746トン
 (前年同月比8.0%増、前月比26.7%減)
中国     1万6679トン
 (同7.3%増、同2.6%増)
インドネシア   6459トン
 (同4.2%増、同28.1%減)
韓国        5067トン
 (同8.3%減、同29.2%減)
 
 

米国

【貿易動向】
4月の輸出量は、13カ月連続で前年比減

 2016年4月の化工でん粉の輸出量は、2万6329トン(前年同月比24.4%減、前月比4.0%増)と、13カ月連続で前年同月を下回った(図10)。同月の国別輸出量は、次の通り。

カナダ    7202トン
 (前年同月比0.1%増、前月比6.5%増)
メキシコ  2832トン
 (同11.1%減、同13.4%減)
中国    2633トン
 (同24.1%減、同24.4%減)
ドイツ    1640トン
 (同35.1%減、同40.8%増)
日本    601トン
 (同61.7%減、同37.5%増)
 
 

中国

【貿易動向】
4月の輸出量は、大幅な減少傾向が継続

 2016年4月の化工でん粉の輸出量は、3316トン(前年同月比41.1%減、前月比31.3%減)と、5カ月連続で前年同月を大幅に下回った(図11)。同月の国別輸出量は、次の通り。

マレーシア  651トン
 (前年同月比3.1倍、前月比59.2%増)
日本       545トン
 (同49.3%減、同72.8%減)
韓国       333トン
 (同86.3%減、同9.9%増)
 
 

EU

【貿易動向】
4月の輸出量は、4カ月連続で前年比減

 2016年4月の化工でん粉の輸出量は、4万3393トン(前年同月比4.5%減、前月比1.1%増)と、4カ月連続で前年同月を下回った(図12)。同月の国別輸出量は、次の通り。

トルコ  9619トン
 (前年同月比1.4%増、前月比52.9%増)
中国  5568トン
 (同27.6%増、同9.6%減)
ロシア  4462トン
 (同6.5%減、同1.5%減)
日本  2455トン
 (同38.5%減、同15.1%減)
 
 

豪州

【貿易動向】
4月の輸出量は、前年比大幅増

 2016年4月の化工でん粉の輸出量は、1886トン(前年同月比39.9%増、前月比17.9%増)と、2カ月連続で前年同月を大幅に上回った(図13)。同月の国別輸出量は、次の通り。

日本         1246トン
 (前年同月比35.4%増、前月比13.5%増)
ニュージーランド  172トン
 (同9.6%増、同0.6%減)
マレーシア      159トン
 (同2.6倍増、同33.6%増)
 
 
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