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4.世界の需給に影響を与える諸国の動向

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最終更新日:2012年12月10日

4.世界の需給に影響を与える諸国の動向

調査情報部

ブラジル

 
 
【生産見通し】
砂糖生産量は前年度比1.0%減の見込み


 2012/13ブラジル砂糖年度(4月〜翌3月)のさとうきび収穫面積は前年度からわずかに減少し、818万ヘクタール(前年度比2.8%減)と予測されている。これは、更新面積の増加により今年度は収穫されないほ場が多いとの見込みに基づく。さとうきび生産量については、主産地の中南部地域で収穫ペースが回復し、単収も当初予測を上回るとみられることから、前月の予測から500万トン引き上げられ5億6600万トン(同0.9%増)と予測されている。さとうきび生産量の上方修正を受け、砂糖生産量は前月予測を34万トン上回る3898万トン(粗糖換算、同1.0%減)と見込まれている。

 主産地中南部地域のブラジルさとうきび産業協会(UNICA)によると、年度開始から11月15日までのさとうきび収穫量は4億8196万トン(前年同期比0.7%増)、砂糖生産量は3107万トン(同1.6%増)、エタノール生産量は1929万キロリットル(同3.0%減)と、さとうきびおよび砂糖については今年度において初めて前年度を上回り、エタノールについても前年度の水準に近づきつつある。中南部地域では4〜6月の平年を上回る降雨などの影響を受け収穫作業に遅れが生じていたものの、7月以降はおおむね乾燥した天候が続き、収穫ペースが回復している。
 
 
【貿易・政策動向等】
輸出量は前年度比2.4%減の見通し


 2012/13年度の砂糖輸出量は、生産量の上方修正を受け、前月予測を34万トン上回る2554万トン(前年度比2.4%減)とみられ、前年度からの減少幅は縮小した。2012年10月の粗糖・白糖輸出量は、月間ベースで過去最高の393万3000トンとなった。輸出の増加は、中南部地域で収穫ペースが回復した上、多くの業者が港湾の混雑を避けるため、穀物輸出が12月に開始される前に砂糖輸出を急いだためとみられている。主要輸出先はインドネシア、中国、アラブ首長国連邦であった。砂糖消費量については、前年度からわずかに増加の1344万トン(粗糖換算、同1.9%増)と見込まれている。

資料:LMC “Monthly Sugar Report, November 2012” ブラジルさとうきび産業協会(UNICA)プレスリリース 2012/11/26
 
 

インド

 
 
【生産見通し】
砂糖生産量は前年度比5.7%減の見込み


 2012/13インド砂糖年度(10月〜翌9月)のさとうきび収穫面積は、さとうきび価格の上昇による作付け増加を受け、前年度からやや増加の514万ヘクタール(前年度比3.2%増)と予測されている。収穫面積の増加が見込まれるものの、さとうきび生産量は3億2802万トン(同6.6%減)に減少の見通しとなっている。これは、株出し回数の増加やモンスーン期の降雨不足を受け、単収の低下が見込まれるためである。さとうきびの減産を受け、砂糖生産量は前年度からやや減少し、2653万トン(粗糖換算、同5.7%減)と見込まれている。中でも西部の主産地マハーラーシュトラ州ではモンスーン期の降雨量が過去50年間の平均を20%以上下回り、さとうきびの生育に深刻な影響を与えた。降雨不足による牛の飼料不足で、一部のさとうきびが飼料向けに販売される事態も生じている。このような状況から、同州の砂糖生産量は前年度から30%以上の減少となる600〜650万トン(白糖換算)と予測されている。一方で、北部のウッタル・プラデーシュ州では灌漑水路の利用により降雨不足の影響が軽減され、収穫面積も増加が見込まれることから、砂糖生産量は800〜850万トン(白糖換算)と前年度(700万トン、白糖換算)から大きく増加するとみられている。
 
 
【貿易・政策動向等】
2012/13年度は201万トン輸出の見通し


 2011/12年度の砂糖消費量は2478万トン(粗糖換算、前年度比2.2%増)に増加したとみられている。輸出量は、増産による供給力の拡大で前年度からかなりの程度増加し、316万トン(粗糖換算、同10.9%増)と見込まれている。  2012/13年度について、消費量は前年度からやや増加の2528万トン(粗糖換算、同2.0%増)と予測されている。生産量は前年度からの減少が予測されているものの、消費量を上回るとみられ、さらに、在庫水準も高いことから輸出量は201万トン(粗糖換算、同36.3%減)と見込まれ、前年度に引き続き純輸出国となる見通しである。

 インドにおける粗糖、白糖の輸入関税はそれぞれ10%となっているが、マハーラーシュトラ州の製糖業者は粗糖の輸入関税を減免し、白糖の輸入関税を20%に引き上げることを政府に求めている。この背景には、同州ではさとうきびの大幅な減産による工場稼働率の低下が見込まれ、輸入粗糖を精製し国内市場に販売したいという製糖工場の思惑がある。しかしながら、ウッタル・プラデーシュ州をはじめ他の州は増産見通しとなっていることから、マハーラーシュトラ州の要望に強く反発している。政府は今後3カ月以内に輸入関税について見直しを検討するとしている。 資料:LMC “Monthly Sugar Report, November 2012”
 
 

中国

 
 
【生産見通し】
砂糖生産量は前年度から大幅増加の見込み


 中国における砂糖生産の約9割は南部で生産されるさとうきびを原料とし、残りは北部のてん菜に由来する。2012/13中国砂糖年度(10月〜翌9月)のさとうきび収穫面積は前月予測から3万ヘクタール引き上げられ、165万ヘクタール(前年度比6.8%増)の見通しとなっている。単収も前月予測を上回るとみられることから、さとうきび生産量は1億474万トン(同18.3%増)、甘しゃ糖生産量は1375万トン(粗糖換算、同21.1%増)と前月予測からそれぞれ971万トン、83万トン上方修正された。国内砂糖生産の約7割を占める広西チワン族自治区では、作付けが増加した上、良好な天候により生育が順調なことから、砂糖生産量は前年度から22%増加すると見込まれている。

 てん菜生産量は888万トン(同3.2%減)と前月予測から16万トン上方修正され、前年度比の減少幅が縮小した。これは、単収予測が引き上げられたことを受けたものである。糖度も上昇していることから、てん菜糖生産量は前月予測を10万トン上回る119万トン(粗糖換算、同9.2%増)と見込まれている。今年度は黒龍江省を除く全ての省で増産が予測されている。

 これらのことから、2012/13年度における中国全体の砂糖生産量は前月から93万トン上方修正され、前年度から大幅増加の1494万トン(粗糖換算、20.0%増)と予測されている。
 
 
【貿易・政策動向等】
2012/13年度の輸入量は35万トンに減少の見通し


 2011/12年度の砂糖消費量は1489万トン(粗糖換算、前年度比1.5%増)に増加したとみられている。国内供給の不足から2012年9月の粗糖・白糖輸入量は前年同月比24.9%増の58万6000トンとなり、前月に引き続き月間輸入量の過去最高記録を更新した。なお、輸入の大半はブラジル産であった。同年度の最終的な輸入量は前年度から倍増し、451万トン(粗糖換算、同95.8%増)と見込まれている。

 2012/13年度について、消費量は1522万トン(粗糖換算、同2.2%増)に増加の見通しとなっている。今年度は大幅な増産が見込まれる上、在庫水準も高いことから、輸入量は35万トン(粗糖換算、同92.2%減)と、前年度の10分の1以下の水準に減少すると予測されている。なお、輸入量の予測値は生産量の上方修正を受け、前月から93万トン引き下げられた。

資料:LMC “Monthly Sugar Report, November 2012”
 
 
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農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
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