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4.世界の需給に影響を与える諸国の動向

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最終更新日:2013年6月10日

4.世界の需給に影響を与える諸国の動向

2013年6月

ブラジル

 
【生産見通し】
2013/14年度の収穫、出だしは好調

 生産の約9割を占める中南部地域では、2013/14砂糖年度(4月〜翌3月)の収穫が開始された。ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)によると、4月末までの同地域におけるサトウキビ圧搾量は4101万トン(前年同期比190.1%増)、砂糖生産量は169万トン(同210.4%増)、エタノール生産量は158万キロリットル(同188.4%増)と、いずれも前年度に比べ2倍近い水準に増加した。この要因として、4月中旬以降、産地で収穫に適する乾燥した天候が続いていること、また、今年度のサトウキビ生産見通しが増産と予測されていることから、早めに収穫を開始した砂糖・エタノール工場が多かったことが挙げられる。

 今年度のサトウキビ生産量は、作付面積の拡大と単収の増加により6億5380トン(前年度比11.0%増)と見込まれている。サトウキビの単収は、2011/12年度および2012/13年度においては、天候不順や砂糖・エタノール工場の資金繰り悪化などによる更新(サトウキビの植え替え)の停滞と新規作付けの減少を受け、1ヘクタール当たり70トンを下回る水準に落ち込んだが、今年度は73.5トンに回復すると見込まれている。サトウキビの増産見通しから、砂糖生産量は4133万トン(粗糖換算、同2.8%増)に増加すると見込まれている。ただ、収穫期間中の降雨などで作業に遅れが生じた場合、サトウキビの刈り残しが発生する可能性もあるため今後の天候状況が注目されている。
 
【貿易・政策動向等】
政府、新たなエタノール支援策を打ち出す

 2013年3月の粗糖・白糖輸出量は前年同月比約2倍の194万トンとなった。輸出の増加は、天候不順などの影響により2012/13年度初めの輸出ペースが低調であった反動とみられる。主要輸出先はアラブ首長国連邦、インド、バングラデシュであった。同年度全体の砂糖輸出量は2724万トン(粗糖換算、前年度比8.4%増)とみられている。

 2013/14年度の輸出量は、増産が予測されることから、2831万トン(粗糖換算、同3.9%増)に増加すると見込まれている。一方、同年度の消費量は1395万トン(粗糖換算、同8.1%増)の見通しとなっている。

 政府は2013年4月、エタノール産業の支援策として、2012年1月に開始したサトウキビの更新および新規ほ場開発に対する融資プランProrenova(総額40億レアル(1960億円:1レアル=49円注))の金利を従来の年利8.5〜9.5パーセントから5.5パーセントに引き下げることを決定した。Prorenovaはサトウキビの生産性回復によるエタノール生産の拡大を目的としている。さらに、政府は5月からガソリンに混合するエタノールの比率引き上げ(20%→25%)およびエタノールに対する減税を実施しており、今後エタノール需要の増加が砂糖生産に影響を及ぼす可能性もある。なお、新たなエタノール政策の詳細については『エタノールの需給トピックス』を参照されたい。

資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, MAY 2013”

注:4月末日TTS相場
 

インド

 
【生産見通し】
2012/13年度の砂糖生産量は前年度比4.8パーセント減の見込み

 2012/13砂糖年度(10月〜翌9月)の製糖は終了しつつある。北部の主産地ウッタル・プラデーシュ州では、4月15日までの砂糖生産量が前年同期比5パーセント増の791万トン(白糖換算)となった。同州では、作付面積の拡大によるサトウキビの増産で、砂糖生産量も増加した。一方、西部の主産地マハーラーシュトラ州では、干ばつの影響により同日までの砂糖生産量は791万トン(白糖換算)と、前年同期と比べ7パーセント減少した。今年度におけるインド全体のサトウキビ生産量は、作付けの増加により3億7016万トン(前年度比3.4%増)に増加が予測されている。ただ、糖度が前年度を下回っているため、砂糖生産量は2725万トン(粗糖換算、同4.8%減)に減少する見通しとなっている。

 インド気象局によると、現時点では2013年モンスーン期(6〜9月)の降雨量は平年並みと予測されている。モンスーン期の降雨量は来年度のサトウキビ生産に大きな影響力を持つため、動向が注目される。現時点では、2013/14年度の砂糖生産量は前年度をわずかに上回る2750万トン(粗糖換算、同0.9%増)と見込まれている。
 
【貿易・政策動向等】
110万トン輸出の見通し

 2012/13年度の砂糖消費量は2500万トン(粗糖換算、前年度比3.3%増)と予測され、今年度も生産量が消費量を上回る見通しである。一方、インドは今年度において既に100万トン近くの粗糖を輸入しており、最終的な輸入量は140万トン(粗糖換算、同480.9%増)と予測されている。これは、今年度の生産見通しがモンスーン期の降雨不足により減産と予測されたことから製糖開始前の国内価格が高騰し、輸入需要が高まった影響とみられる。現在は国内供給が豊富であることから、輸入粗糖の大半は精製後、再輸出されると見込まれるため、今年度の輸出量は110万トン(粗糖換算、同70.1%減)とみられている。2013年2月の粗糖・白糖輸出量は前年同月比64.5パーセント減の11万4000トンとなり、主要輸出先はアラブ首長国連邦、チュニジア、ソマリアであった。

資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, MAY 2013”
 

中国

【生産見通し】
2012/13年度の砂糖生産量は前年度比7.8パーセント増の見込み

 国内砂糖生産の約9割は南部のサトウキビ生産地が占め、残りは北部のてん菜由来となっている。北部では既に2012/13砂糖年度(10月〜翌9月)の製糖が終了し、南部でも終了しつつある。3月末までの甘しゃ糖生産量は前年同期比10.7パーセント増の1078万トン、てん菜糖生産量は同7.9パーセント増の108万トンといずれも前年度を上回った。今年度における中国全体の最終的な砂糖生産量は1350万トン(粗糖換算、前年度比7.8%増)に増加する見通しとなっている。

 2013/14年度の砂糖生産量は、原料作物の増産が見込まれることから、前年度からわずかに増加し、1375万トン(粗糖換算、同1.9%増)と予測されている。
 
【貿易・政策動向等】
政府、国内市場から30万トン買い上げ追加へ

 2012/13年度の砂糖消費量は、1560万トン(粗糖換算、前年度比2.0%増)とみられている。今年度の輸入量は、国内生産の増加が見込まれるため、270万トン(粗糖換算、同37.1%減)に減少する見通しとなっている。2013年3月の粗糖・白糖輸入量は前年同月比22.0パーセント減の20万5000トンとなり、主な輸入先はブラジル、キューバであった(図13)。

 政府は、5月24日以降、国内市場から新たに30万トンの砂糖を買い上げると発表した。最低買い付け価格はトン当たり6100元(9万7600円:1元=16円注)と、国内価格を約1割上回る水準で設定された。国内価格は2011年8月以降下落傾向で推移しており、2013年4月の平均砂糖卸売価格は5556元(8万8896円)であった(図14)。政府は、国内砂糖価格の下落を抑制し、生産者の作付け意欲を維持するため、今年度において合計300万トンの砂糖を買い上げる計画である。既に1月までに150万トンの買い上げが実施された。

資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, MAY 2013”

注:4月末日TTS相場
 
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713