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4.世界の需給に影響を与える諸国の動向

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最終更新日:2013年9月10日

4.世界の需給に影響を与える諸国の動向

2013年9月

ブラジル

 
【生産見通し】
2013/14年度エタノール仕向け量増加するも、砂糖生産量は前年度増の見通し


 2013/14砂糖年度(4月〜翌3月)のブラジル全体のサトウキビ生産量は、6億5380万トン(前年度比11.0%増)と前年度から大幅な増加が見込まれている。これは、サトウキビ収穫面積が前年度比4.8パーセント増の889万ヘクタールと拡大したことや、2年連続で低水準となったサトウキビ単収が、1ヘクタール当たり73.5トン(同5.9%増)と回復する見込みであることが要因となっている。同年度の砂糖生産量は、サトウキビの増産見通しから、4133万トン(粗糖換算、同2.8%増)と見込まれている(表2)。一方、8月9日のブラジル国家食糧供給公社(Conab)の報告によると、同年度の砂糖生産量は、4月予測から下方修正され、4097万トン(同6.9%増)の見込みとなっている。これは、エタノール仕向け量が増加していること(サトウキビ生産量の52.1%がエタノールに仕向けられる)に起因しており、同年度エタノール生産量は、4月予測から上方修正され、271億7000万リットル(同14.9%増)の見込みとなっている。また、7月にはブラジル南部で、霜が降り、砂糖生産への影響が懸念されている。

 ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)によると、生産の約9割を占める中南部地域の今年度4〜7月のサトウキビ圧搾量は2億6876万トン(前年同期比23.9%増)、砂糖生産量は1384万トン(同12.6%増)、エタノール生産量は1133万キロリットル(同38.1%増)と、いずれも前年度に比べ大幅に増加した。また、トン当たりの回収糖分の値(TRC)は126.01キログラムと前年同期から2.10キログラム上昇し、改善している。
 
【貿易・政策動向】
サトウキビ増産予測を受け、輸出量も前年度比3.9パーセントの増加見込み


 砂糖の増産予測により、2013/14年度輸出量は2831万トン(粗糖換算、前年度比3.9%増)と見通されている。2013年6月の粗糖・白糖輸出量は、221万トン(前年同月比32.9%増)となった(図11)。主要輸出先は中国、インドネシア、バングラディッシュであった。

 今年度から年利5.5パーセントに引き下げた融資プラン「Prorenova(サトウキビの更新および新規圃場開発が対象)」の今年度融資利用の目標額は、30億レアル(1209億円:1レアル=40.3円注)とされているものの、4月から7月までの利用総額は7億レアルと低水準であった。このため、ブラジル国立経済社会開発銀行(BNDES)は、この融資プランの利用期間を2013年12月31日まで延長することを公表している。

資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, August 2013”  
注:9月2日相場の終値
 

インド

 
【生産見通し】
前月予測から上方修正され、生産量は2740万トンの見込み


 2012/13年度のインド砂糖年度(10月〜翌9月)の製糖は、タミル・ナードゥ州の一部で行われているものの、ほぼ終了した。同年度のサトウキビ生産量は、作付けの増加により3億7016万トン(前年度比3.4%増)と増加が予測されているものの、歩留まりが前年度を下回っているため、砂糖生産量は2740万トン(粗糖換算、同4.3%減)と前年度から減少見込みとなっている(表3)。これは、主要産地であるマハーラーシュトラ州やカルナータカ州での干ばつによるものである。

 干ばつの影響は、2013/14年度のサトウキビ生産量にも深刻な影響を与えており、同年度のサトウキビ生産量は前月予測から2500万トン下方修正され、3億4795万トン(前年度比6.0%減)と予測されている。また、サトウキビ減産予測を受け、砂糖生産量も2576万トン(粗糖換算、同6.0%減)と前年度から減産することが見込まれている。
 
【貿易・政策動向】
粗糖・白糖の輸入関税を15パーセントに引き上げ


 2012/13年度の砂糖消費量は、2550万トン(粗糖換算、前年度比5.4%増)と予測されており、3年度連続で生産量が消費量を上回る見通しである。国際砂糖価格の下落から、国内価格よりも低価格の砂糖を輸入することが可能となったため、輸入量は147万トン(粗糖換算、同507.9%増)と大幅増が予測されている。同国の財務省中央物品税関税局(CBEC)は7月9日、国内価格の低迷を背景に、粗糖と白糖の輸入関税を10パーセントから15パーセントに引き上げることを発表した。インド製糖協会(ISMA)によると、この措置による価格改善の効果は小さく、時期は遅すぎるとしている。

 一方、輸出量は、110万トン(粗糖換算、同70.1%減)と前年度から大幅に減少する見込みである。2013年5月の粗糖・白糖輸出量は、12万7000トン(前年同月比76.1%減)となり、主要輸出先はスーダン、ヨルダン、ベルギーであった(図12)。

資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, August 2013”
 

中国

 
【生産見通し】
2012/13年度の砂糖生産は終了


 2012/13砂糖年度(10月〜翌9月)の製糖は5月で終了した。国内砂糖生産の約9割を占める甘しゃ糖の生産量は1363万トン(粗糖換算、前年度比18.3%増)、てん菜糖の生産量は57万トン(粗糖換算、同43.3%減)と見込まれている。中国全体の最終的な砂糖生産量は、歩留まりの回復により、1419万トン(粗糖換算、同13.4%増)と見込まれている(表4)。

 2013/14年度の砂糖生産量は、原料作物の増産見込みにより、1446万トン(粗糖換算、同1.9%増)と前年度から増加の見込みとなっている。
 
【貿易・政策動向】
2012/13年度輸入量は、前年度から大幅な減少見込み


 2012/13年度の輸入量は、270万トン(粗糖換算、同37.1%減)と前年度から大幅な減少が見込まれている。2013年7月の粗糖・白糖輸入量は50万トン(前年同月比25.6%増)となり、主な輸入先はブラジル、キューバ、韓国であった(図13)。2013年1月〜7月の輸入量は、176万8000トン(前年同期比4.1%減)で、そのうちブラジル産は83万トンを占めており、前年度のタイ産に取って代わっている。

資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, August 2013”
 
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