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〜エコアイランド宮古島の取り組み〜

サトウキビを活用した循環型社会の構築
〜エコアイランド宮古島の取り組み〜

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最終更新日:2013年11月11日

サトウキビを活用した循環型社会の構築
〜エコアイランド宮古島の取り組み〜

2013年11月

沖縄県宮古島市エコアイランド推進課

はじめに

 宮古島市は、沖縄本島から南西に約300キロメートル、石垣島から東北東に約130キロメートルに位置し、大小6つの島(宮古島、池間島、来間島、伊良部島、下地島、大神島)から構成されている。また、多くの島々で構成する沖縄県のほぼ中間に位置するとともに、東京と香港・フィリピンなどの東南アジア諸国との中間にも位置している。

 宮古島の最大の産業はサトウキビ産業であるが、地下水が農業用水として利用されるまでは、その生産高は気候に左右されやすい状況にあった。世界的にも類を見ない規模の地下ダムをはじめとするかんがい施設が整備され、地下水が安定供給されたことがサトウキビの安定生産に大きく寄与しており、沖縄県内の約4割を生産している。

 また、本市は四方をサンゴ礁に囲まれた美しい島であり、国指定の名勝地である東平安名崎や東洋一とも言われる与那覇前浜ビーチなど、豊富な自然・景観資源を有している他、国際的規模のイベントである全日本トライアスロン宮古島大会、プロ野球のキャンプなど、島全体が「スポーツアイランド宮古島」としても活気づいており、年間約40 万人の観光客が訪れる。

1.エコアイランド宮古島と環境モデル都市

(1)政策背景
 本市が環境に向き合わなければならなかった最も大きな背景には、水の問題があった。本市は隆起サンゴ礁からなる平坦な島であり、大きな山や川がなく、飲料水や農業用水などをすべて地下水に依存している。このため、古くより水の重要性を地域が共有してきた。

 また、急速な社会資本整備やライフスタイルの変化等々により生活の豊かさが増す一方で、環境への負荷が顕在化しはじめたことから、貴重な自然環境を保全する必要があった。

(2)エコアイランド宮古島宣言
 こうした状況を背景に、本市では2008年に「エコアイランド宮古島宣言」を行った。地下水やサンゴ礁保全、地球環境を未来へ引き継ぐことなどを掲げて、これらの行動を通じて循環型社会の構築、環境保全の推進、産業振興を柱とした「いつまでも住み続けられる豊かな島づくり」を目指している。
 
(3)環境モデル都市の認定
 地球環境問題の取り組みに関しては、2009年に政府より「環境モデル都市」の認定を受けており、本市は国内でも唯一の島しょ型の低炭素モデル都市として独自性のある取り組みを進めている。

 本市では2003年に約34万トンのCO2が排出されているが、「環境モデル都市行動計画」により、2030年までに約30パーセント、2050年までに約70パーセントを削減するという意欲的な目標を掲げている。
 

2.サトウキビを活用した循環型社会の構築に向けた取り組み

 こうした状況を背景に、本市の基幹作物であるサトウキビを活用した取り組みが「宮古島バイオエタノール事業」である。本事業は、サトウキビを製糖する過程で出てくる残渣の糖蜜を原料にバイオエタノールを製造し、基材ガソリンと混合してE3などのバイオ燃料の流通を行うとともに、副産物の残渣液についても肥料や飼料として農業利用を促進し、本市においてサトウキビのカスケード利用による循環型社会の構築を目指すものである。

 本事業については、2004年度に環境省事業として開始され、2008年度からは内閣府、農林水産省、経済産業省、国土交通省、消防庁を加えた1府5省庁連携事業として実施された。本事業では、バイオエタノールの製造設備、E3製造・供給設備などを整備し、E3、E10のバイオ燃料の実証試験を行った。本事業により本市においては、E3燃料のレンタカー利用による観光振興、蒸留残渣液や残渣酵母の活用による農業振興など一定以上の成果を上げ、実証事業は2011年度をもって終了した。現在は、本市において、国の実証事業で構築された設備などを活用し、沖縄県と連携して国の実証成果を踏まえた実用化に向けた検証事業として、バイオエタノールの高効率製造やより付加価値の高い用途開発などの調査、更には蒸留残渣液を活用した商品開発に係る研究開発などを進めている。

 バイオエタノールの実用化に向けては、製造コストの低減化や蒸留残渣液の利用体制の構築など、決して低いハードルではない。本市の基幹作物であるサトウキビについては、食糧政策としてのみならず、残渣活用などによる地産地消の地域資源としてのポテンシャルを有しており、その高付加価値化に資する農業振興策、また沖縄県産のバイオエタノールを活用した事業化による産業振興・雇用創出策、更には再生可能エネルギーを活用した島作りによるエコアイランド宮古島のブランド力向上を通じた観光振興策に資するものであることから、本市の地域の強みを活かしたオリジナリティある取り組みとして、既存の糖蜜利用とのバランスを図りつつ、将来的には本事業が地域に根付いた社会システムとなることを目指している。
 

3.自然・環境と共生する島づくりに向けて

 本市は、「エコアイランド宮古島」を掲げてさまざまな事業を展開しているが、今後の本格的な事業化に向けては、採算性や市民の参加、人材育成など、課題も少なくない。また、本市の中長期的課題として、引き続く人口の減少や超高齢化社会の到来なども踏まえた施策を展開する必要がある。「環境モデル都市行動計画」に掲げたCO2削減目標達成に向けて課された課題は非常に重く、本市のような小さな島では単一施策で大きな目標を達成することは不可能であり、産業活動、市民生活のあらゆる側面での取り組みにより初めて成し遂げられるものである。そのためには、「宮古島バイオエタノール事業」をはじめとするエコアイランドに係る取り組みを市民や行政、そして観光客も含めた本市に関わる全ての者が有機的に連携して進める必要がある。また、この取り組みを島の内部活動に止めることなく、本市の特徴的な取り組みとして対外的に積極的な情報発信を行い、更なる付加価値を生み出していくことも重要である。それにより、本市のエコアイランドブランドを確立し、他地域との差別化を図ることによって、観光や農業などの既存産業との好循環を生み出すことも可能となる。

 更には、沖縄の成長著しいアジア市場の玄関口としての大きな優位性と潜在力を活かして、国内のモデル都市のみならず、国外の島しょ国などに発信できるモデル構築を目指して、エコアイランドの取り組みを加速させていく。

おわりに

 サトウキビの活用をはじめとする本市のエコアイランドの取り組みは、島の環境を守りつつ、これらの活動を通じた地域の活性化やエコアイランドのブランド化による地域の振興に資するものである。今後も自然環境と共生しつつ、環境モデル都市として地域資源を活用した島の持続的な発展に向けて取り組むことにより、エコアイランド宣言の基本理念である「いつまでも住み続けられる豊かな島」づくりに取り組んでまいりたい。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713



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