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4.日本の主要輸入先国の動向

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最終更新日:2013年12月10日

4.日本の主要輸入先国の動向

2013年12月

 2012年の砂糖輸入量のうち、甘しゃ糖・分みつ糖(HSコード1701.14−110)は140万7174トンと、全体の97.7パーセントを占める。そのうち、タイ(58.5%)、豪州(33.7%)、フィリピン(3.0%)、南アフリカ(2.1%)の4カ国で97.3パーセントを占めている。(財務省「貿易統計」)

タイ

タイ見通し
【生産見通し】
2013/14年度の製糖は、例年の2週間遅れで開始


 2013/14砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビ収穫面積は、135万ヘクタール(前年度比0.2%増)と前年度から微増し、単収はモンスーンによる降雨により高水準となる見込みから、生産量は1億271万トン(同2.7%増)と予測されている(表5)。サトウキビ増産や歩留まり改善から、砂糖生産量は1130万トン(粗糖換算、同9.2%増)の見込みとなっている。

 一方、10月から乾季となる生産地では降雨が続いたため、今年度の製糖は例年より2週間遅れの11月最終週から開始された。また、長雨による収穫の遅れから糖度の低下が懸念されており、今後の砂糖生産への影響が心配されている。

 同国農業協同組合省(OAE)が今年2月に公表した6品目の「農地ゾーニング制度」では、サトウキビも対象品目となっている。この制度の目的は、適地適作による農家の収入安定であり、制度公表後、地方政府は土壌診断などにより、農地別の栽培に適した作物を調査していた。11月時点の結果、Yokol Limlaemthong農業・協同組合大臣は、「コメを作付けしている33地域で、サトウキビ栽培の方が適していると診断され、既に31地域がサトウキビへ作付転換しており、11月15日までに40万ライ(6万4000ha:1ライ=0.16ha)が作付転換を終えるであろう」と発表した。
表5
【貿易・政策動向】
2013/14年度砂糖輸出量は、増産により前年度から大幅に増加する見込み


 2013/14年度の輸出量は、砂糖の増産予測を受け、747万トン(同22.5%増)と前年度から大幅に増加する見込みである。なお、2013年9月の粗糖・白糖輸出量は、41万6000トン(前年同月比58.2%増)となり、主要輸出先は日本、カンボジア、インドネシアであった(図7)。

 2015年に設立が予定されているアジア経済共同体(AEC)により、無関税で砂糖を輸出できるようになれば、国内よりも価格が高水準である近隣諸国への流出が進むため、タイ政府は現在の国内砂糖価格決定方法やサトウキビ・砂糖基金の運営などについて見直しの必要に迫られている。

資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, November 2013”
図7

豪州

豪州見通し
【生産見通し】
2013/14年度の砂糖生産量は、前年度から減少する見込み


 2013/14砂糖年度(7月〜翌6月)のサトウキビ収穫面積は、36万4000ヘクタール(前年度比1.1%増)と増加見込みであるものの、今年1月頃の洪水による影響や、特に主産地であるクィーンズランド州バンダバーグ地域のアイシスで発生している葉が黄変し根を腐敗させるサトウキビの病気「イエローキャノピーシンドローム(YCS)」の影響による単収減により、サトウキビ生産量は3045万トン(同0.2%減)と予測されている(表6)。砂糖生産量は、前年度から歩留まりが低下しており、389万トン(粗糖換算、同5.0%減)と減少する見通しである。製糖開始以降、乾燥した晴天の日が続いているクィーンズランド州の一部地域では、例年よりも5週間早い11月中旬に製糖が終了したことが報告されている。
表6
【貿易動向】
2013/14年度の輸出量は、減産予測により前年度比10.0パーセント減の見込み


 前年度、回復基調にあった砂糖輸出量は、2013/14年度は285万トン(粗糖換算、同10.0%減)と減少する見通しである(図8)。消費量については、135万トン(粗糖換算、同0.7%増)とわずかに増加すると予測されている。

資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, November 2013”
図8

フィリピン

フィリピン見通し
【生産見通し】
台風30号によるサトウキビ生産への影響は限定的か


 2013/14砂糖年度(9月〜翌8月)のサトウキビ収穫面積は、前年度並みの43万ヘクタール、生産量は2586万トンと予測されている(表7)。砂糖生産量は、255万トン(粗糖換算、前年度比3.4%増)と前月予測から2万トンとわずかに下方修正されたものの、今後は、11月8日レイテ島を中心に襲った台風30号の被害による生産への影響が懸念されている。現地の速報によると、この台風による農業被害額は70億ペソ(172億円:1ペソ=2.46円)で、砂糖産業の被害額は12億1100万ペソ(29億7900万円)とされ、砂糖生産量の2.8パーセントにあたるサトウキビが被害にあったとされている。

注:11月21日TTS相場
表7
【貿易動向】
2013/14年度輸出量は、前年度並みの見込み


 2013/14年度の砂糖消費量は、223万トン(粗糖換算、前年度比1.2%増)と予測されている。輸出量は36万トン(粗糖換算、同9.8%増)の前月予測から5万トン増の見込みとなっている。なお、2013年9月の粗糖・白糖輸出量は2万8000トン(前年同月並み)で、主要輸出先は日本、米国、韓国であった(図9)。

資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, November 2013”
図9

南アフリカ

南アフリカ見通し
【生産見通し】
2013/14年度砂糖生産量は、前年度から大幅増の見込み


 サトウキビ収穫面積の拡大と単収増の見込みにより、2013/14砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビ生産量は、2014万トン(前年度比16.6%増)と大幅な増加が予測されている。収穫時期の天候が良好であることから、歩留まりも12パーセント台に回復する見込みとなっており、同年度砂糖生産量は246万トン(粗糖換算、同18.2%増)と、前年度から増加の予測となっている(表8)。
表8
【貿易動向等】
2013/14年度輸出量は、前年度から大幅増の予測


 2013/14年度の砂糖消費量は、189万トン(粗糖換算、前年度比2.1%増)と予測されている。また、増産見込みを受け、輸出量は54万トン(粗糖換算、同49.0%増)と大幅な増加が見通されている(表8)。なお、2013年9月の粗糖・白糖輸出量は9万4000トン(前年同月比95.0%増)で、主要輸出先は日本、モザンビーク、インドネシアであった(図10)。2013年1月から9月までの日本向け輸出量は、前年同期に比べ既に2倍となっている。

資料:Agra CEAS Consulting “WORLD SUGAR SUPPLY BALANCE, PRICE AND POLICY TREND ANALYSIS, November 2013”
図10
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713