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近年における人工甘味料の動向

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最終更新日:2014年2月10日

近年における人工甘味料の動向

2014年2月

調査情報部 坂西 裕介

【要約】

 人工甘味料は、化学合成により作られた甘味料であり、食品衛生法における指定添加物に該当する。主にカロリー低減製品における砂糖の代替甘味料として、清涼飲料やガムなどの製品で使用され、砂糖の甘味に近づけるため、複数の人工甘味料を併用している場合が多い。人工甘味料の需要は、カロリー低減製品の需要とともに増加してきた。今後の需要も、カロリー低減製品の需要に大きな影響を受けると考えられる。

はじめに

 平成24砂糖年度(10月〜翌9月)における国民1人当たりの砂糖消費量は、年間15.9キログラムと16キログラムを下回った。このような中、消費者の健康(低カロリー)志向により、清涼飲料を中心に「カロリーゼロ」「カロリーオフ」といった、カロリーを低減した製品が増加しており、砂糖の需要にも一定の影響を与えていると考えられる。これらの製品のうち、砂糖の代替甘味料として多く使用されるのが、人工甘味料と呼ばれる化学的に合成された甘味料である。人工甘味料は、砂糖の数百倍の甘味度を有し、砂糖に比べ少量で甘味を実現できることから、カロリーの低減化を可能としている。

 本稿では、代表的な人工甘味料である「アスパルテーム」「アセスルファムカリウム」「スクラロース」について、その特徴と食品製造企業における使用動向などを紹介する。

1.甘味料の種類

 砂糖をはじめとする甘味料は、糖質系甘味料と非糖質系甘味料に大別される(図1)。糖質系甘味料は、「砂糖」「でん粉由来の糖」「その他の糖」「糖アルコール」に分けられる。でん粉由来の糖は、コーンスターチなどのでん粉に酸や酵素を作用させて製造されるものであり、「ブドウ糖」「水あめ」「異性化糖」などがある。糖アルコールは、糖質に水素を添加し化学的に安定させたものであり、「ソルビトール」「マンニトール」などがある。

 非糖質系甘味料は、天然甘味料と人工甘味料に分けられる。天然甘味料は、植物の葉などに含まれる甘味成分を抽出したものであり、「ステビア」「甘草(グリチルリチン)」などがある。人工甘味料は、化学合成により作られた甘味料で、砂糖の数百倍の甘味度を有しているのが特徴であり、「アスパルテーム」「アセスルファムカリウム」「スクラロース」などがある。人工甘味料は、食品衛生法に基づき、厚生労働大臣が安全性と有効性を確認して指定する指定添加物に該当する。
 

2.代表的な人工甘味料

(1)アスパルテーム

 アスパルテームは、アスパラギン酸とフェニルアラニンの2種類のアミノ酸を縮合させて製造されるアミノ酸系甘味料で、1965年に米国で開発された。

 カロリーは砂糖と同じ1グラム当たり4キロカロリーであるが、甘味度は砂糖の200倍であるため、カロリーを低減することができる。また、特性として、 1)苦みが少なく砂糖に似た甘味をもち、後味がすっきりしている 2)コーヒーや医薬品などの苦みを隠す効果や、フルーツフレーバーの風味増強効果がある 3)たんぱく質の成分であるアミノ酸からできているため歯垢形成を起こさず、虫歯の原因になりにくい(非う蝕性) 4)砂糖と比較し、吸湿、軟化しにくい−などが挙げられる。

 食品添加物の安全性評価を行う国際機関である、FAO/WHO合同食品添加物専門家会議(FAO/WHO Joint Expert Committee on Food Additives、以下「JECFA」という)が、1日当たりの摂取許容量(以下「ADI」という)を体重1キログラム当たり0〜40ミリグラムと設定している。わが国では、1983年に食品添加物として指定を受けているが、使用基準は設定されていない。厚生労働省が実施した平成23年度マーケットバスケット方式(注)による甘味料の摂取量調査(以下「摂取量調査」という)によると、1人当たりの摂取量は1日当たり0.019ミリグラム、対ADI比(20歳以上の平均体重58.6kgで算出。以下同じ)で0.001パーセントとなっている。

(注)マーケットバスケット方式
 スーパーなどで売られている食品を購入し、その中に含まれている食品添加物量を分析して測定し、その結果に、国民栄養調査に基づく食品の喫食量を乗じて摂取量を算定する方式である。


(2)アセスルファムカリウム

 アセスルファムカリウムは、酢酸由来のジケテンと酸性洗浄剤などとして利用されているスルファミン酸を合成反応させた後に、三酸化硫黄を反応させ、水酸化カリウムで中和、結晶化したもので、1967年にドイツで開発された。

 甘味度は砂糖の200倍であり、カロリーは1グラム当たり0キロカロリーである。特性として、 1)甘みを速く感じ、後味のない甘味を持つが、特有の苦みを感じる場合がある 2)熱や酵素に対し安定性が高く、水溶液中でも安定性が高い 3)水溶性が高い 4)アスパルテームなどの他の甘味料との併用によって、砂糖に近い甘味となる 5)虫歯の原因になりにくい−などが挙げられる。

  JECFAにおいて、ADIを体重1キログラム当たり0〜15ミリグラムと設定している。わが国では、2000年に食品添加物として指定を受けており、使用食品ごとに使用基準が設定されている(表1)。摂取量調査によると、1人当たりの摂取量は1日当たり2.412ミリグラム、対ADI比で0.27パーセントとなっている。
 
(3)スクラロース

 スクラロースは、砂糖を原料とする甘味料である。砂糖の3カ所の水酸基を選択的に塩素原子に置換することにより生成され、1976年に英国で開発された。

 甘味度は砂糖の600倍であり、カロリーは1グラム当たり0キロカロリーである。特性として、 1)砂糖に近いまろやかな甘味をもつ 2)熱や酸に強く、水などに溶けやすい 3)虫歯の原因になりにくい−などが挙げられる。

  JECFAにおいて、ADIを体重1キログラム当たり0〜15ミリグラムと設定している。わが国では、1999年に食品添加物として指定を受けており、使用食品ごとに使用基準が設定されている(表2)。摂取量調査によると、1人当たりの摂取量は1日当たり0.904ミリグラム、対ADI比で0.1パーセントとなっている。
 

3.人工甘味料の流通動向

(1)アスパルテーム

 財務省「貿易統計」によると、アスパルテームの輸入量は、2011年は110トン、2012年は130トン(前年比18.2%増)、2013年は166トン(1〜11月数量、前年同期比31.5%増)と増加傾向にある(図2)。輸入先国では、ウルグアイのシェアが最も高い。2013年にはフランスからの輸入が開始され、フランスのシェアが全体の31.6パーセントを占めた。

  2011年のアスパルテームの国内需要量は250トン(注)であり、大手食品メーカーが製造する国産品が50パーセント以上のシェアを占めているとみられる。この食品メーカーはフランスにも生産拠点を持っており、世界市場でもトップのシェアを占めているとみられる。

(注)食品化学新聞社「食品添加物・素材市場レポート2012」
 
(2)アセスルファムカリウム

 財務省「貿易統計」によると、アセスルファムカリウムの輸入量は、2011年は481トン、2012年は535トン(前年比11.2%増)、2013年は463トン(1〜11月数量、前年同期比11.8%減)と、2011年以降増加していたが、2013年は減少傾向にある(図3)。輸入先国はドイツが最もシェアが高いが、近年、中国がシェアを伸ばしている。両国のシェアを見ると、2011年ではドイツが77.5パーセント、中国が13.1パーセントであったが、2013年ではドイツが59.8パーセント、中国が32.6パーセントと、依然としてドイツが高いシェアを維持しているものの、中国がシェアを伸ばしている。

  2011年のアセスルファムカリウムの国内需要量は350トン(注)であり、全量を輸入に依存しているとみられる。ドイツの開発メーカーの製品は、国内の食品メーカーが窓口となって販売されている。

(注)食品化学新聞社「食品添加物・素材市場レポート2012」
 
(3)スクラロース

 財務省「貿易統計」によると、スクラロースの輸入量は、2011年は17トン、2012年は5トン(前年比70.6%減)、2013年は7トン(1〜11月数量、前年同期比31.1%増)となっている(図4)。輸入先国は、2011年では、シンガポールのシェアが最も高かったが、2012年以降は、中国からの輸入が大半を占めている。世界市場で圧倒的なシェアを誇る英国メーカーの生産拠点が、シンガポールや米国などにあることを踏まえると、2012年以降、輸入量のほとんどを中国が占めていることは、これらの国から輸入されたスクラロースが、他のHSコードに分類されている可能性が考えられる。

  2011年のスクラロースの国内需給量は105トン(注)であり、スクラロースの利用技術にかかる特許を多数取得している英国メーカーの代理店である1社の業者が販売している。

(注)食品化学新聞社「食品添加物・素材市場レポート2012」
 

4.人工甘味料の使用動向

 当機構が毎年度、食品製造企業などを対象に実施している「甘味料・でん粉需要実態調査」の平成22〜24年度における調査結果をもとに、各企業における人工甘味料の使用動向などを紹介する。なお、調査対象企業は年度ごとに選定しており、年度間で重複する場合があることから、企業数はのべ数である。

(1)アスパルテーム

 アスパルテームを使用している企業は、調査対象企業のべ99社のうち、のべ23社と全体の23.2パーセントであった。

 使用しているアスパルテームの製造元では、国内メーカー製を使用している社が18社と、全体の75パーセントを占め最も多かった(図5)。仕入価格帯を見ると、国内メーカー製は、1キログラム当たり6,000〜7,000円となっている。一方、韓国製は同3,000〜5,000円と、国内メーカー製に比べると3〜5割程度低価格であるが、シェアは高くないとみられる。
 
 使用製品別で見ると、菓子と清涼飲料がそれぞれ8社(各34.8%)と最も多く、次いで漬物と乳製品がそれぞれ3社(各13%)、パン1社(4.3%)であった(図6)。主な用途は、カロリー低減製品の甘味料としての使用であった。菓子では、ガム、錠菓、ゼリーなどで使用されている。ガムでは、シュガーレスガムなどの甘味料としての使用のほか、味を長持ちさせるための使用が挙げられた。清涼飲料では、カロリーゼロやカロリーオフタイプの炭酸飲料などで使用されており、アセスルファムカリウムと併用している事例が多かった。乳製品ではヨーグルト製品への使用であった。
  
(2)アセスルファムカリウム

 アセスルファムカリウムを使用している企業は、調査対象企業のべ99社のうち、のべ38社と全体の38.4パーセントであった。

 使用しているアセスルファムカリウムの製造元は、ドイツと中国に限られており、そのうちドイツが27社と最も多く、60パーセントを占めていた(図7)。ドイツの製造元は、アセスルファムカリウムの開発メーカーであり、同社の製品は国内食品メーカーが窓口となって販売されており、ドイツ製を使用する企業の大半が、同社を通じて仕入れを行っていた。

 仕入価格帯を見ると、ドイツ製は1キログラム当たり8,000〜1万円となっている。一方、中国製は同5,000円前後と、ドイツ製に比べると4〜5割程度低価格となっている。

 中国製のアセスルファムカリウムを使用する企業からは、「中国製は、異物混入など問題が多かったが、品質が改善したことから、価格の安い中国製にシフトしている」「中国製も品質に問題がなくなり、調達先を分散するため、中国製の使用を始めた」との回答があり、最近、中国製の品質が向上しているとみられる。従来、企業のアセスルファムカリウムの調達先は、ドイツの開発メーカーの独占状態であったが、品質の向上を背景に、一部の企業で価格優位性のある中国製へのシフトが進んでいるとみられる。この動向は、両国からの輸入量の推移からも読み取ることができる。
 
 使用製品別で見ると、清涼飲料が18社(47.4%)と最も多く、次いで菓子が13社(34.2%)、漬物が4社(10.5%)、乳製品が2社(5.3%)となった(図8)。主な用途は、カロリー低減製品の甘味料としての使用であった。

 清涼飲料では、カロリーゼロやカロリーオフタイプの炭酸飲料、スポーツ飲料、紅茶、コーヒーなど使用製品は多岐にわたっている。これらの飲料の多くは、アスパルテームやスクラロースと併用している。これは、他の人工甘味料との併用により、砂糖に近い甘味となる特性を生かすためであると考えられる。

 菓子ではゼリーやガム、錠菓などで使用されていた。乳製品ではヨーグルト製品に使用されていた。いずれの場合もアスパルテームなどとの併用が多い。

 漬物では、素材の辛みや臭みを抑制するために使用している事例があった。
 
(3)スクラロース

 スクラロースを使用している企業は、調査対象企業のべ99社のうち、のべ40社と全体の40.4パーセントであった。仕入れ先は、英国メーカーの代理店である国内業者がほとんどであった。一部の企業で中国製のものも使用しており、数量がわずかであったが、「中国製の品質が向上した」との回答もあり、今後、中国製へのシフトが進む可能性がある。

 仕入価格帯は、1キログラム当たり2万〜5万7000円と幅があり、中心価格帯は3万5000円前後であった。

 使用製品別で見ると、清涼飲料が19社(47.5%)と最も多く、次いで菓子が11社(27.5%)、漬物が3社(7.5%)、乳製品、パンがそれぞれ2社(5%)となった(図9)。また、佃煮・煮豆や調味料といった、他の人工甘味料では見られなかった製品で使用する企業もあった。主な用途は、カロリー低減製品の甘味料としての使用であった。

 清涼飲料では、カロリーゼロやカロリーオフタイプの炭酸飲料、紅茶、コーヒーなど使用製品は多岐にわたっている。これらの多くは、アセスルファムカリウムと併用している。スクラロースは熱に強いことなどから、特に、カロリーオフの紅茶や減糖タイプのコーヒーに使用されている事例が多かった。

 菓子では、ガム、あめ、錠菓、ゼリーなどで使用されていた。ゼリーを製造する企業から、「コストダウンのためにカロリー低減製品以外でも砂糖の代替として利用している」との回答があった。

 パンでは焼き色の抑制のために使用する事例があった。これはスクラロースが砂糖に比べ、熱に強く褐変しにくい特性を利用しているものである。
 
(4)まとめ

 人工甘味料の主な使用製品は、清涼飲料と菓子であった。カロリーオフやカロリーゼロといったカロリー低減製品の甘味料として、カロリーの低減化を目的として使用されていた。使用に当たっては、砂糖の甘味により近づけるために、複数の人工甘味料を併用する事例が多かった。スクラロースを使用する一部の企業で、コスト削減のために砂糖の代替甘味料として使用している事例があった。しかしながら、砂糖を多く使用する和菓子や洋菓子の製造企業では、人工甘味料を使用する事例が見られなかったことや、菓子製造分野における人工甘味料の使用製品が、ガムなどの一部の製品に限られていることを踏まえると、コスト削減を目的とした砂糖から人工甘味料への切り替えは、現時点では限定的であると考えられる。

 清涼飲料のカロリーオフやカロリーゼロ製品は、トクホ炭酸飲料の登場などにより、依然として好調であるとみられるが、平成24年度の調査において、「カロリー低減製品は、一定の市場を確保したことから販売量は落ち着くのではないか」「カロリー低減製品を減少させる」「カロリー低減製品を縮小し自然甘味への切り替えを検討している」との回答もあった。また、流通量の多くを輸入に依存しているとみられるアセスルファムカリウムの2013年1〜11月の輸入量が、前述のとおり前年同期比で11.8パーセント減少している。清涼飲料に多く使用される異性化糖の2013年における移出量が、猛暑などの影響により、前年の水準を上回ったことを踏まえると、カロリー低減飲料の市場が落ち着いたと見ることもできると思われる。人工甘味料の需要は、今後もカロリー低減製品市場に大きな影響を受けるとみられる。

おわりに

 人工甘味料は、消費者の健康(低カロリー)志向の高まりにより、カロリー低減製品の甘味料として消費量を伸ばしてきた。介護食や糖尿病食などの甘味料として、医療食品分野でも使用されており、今後も一定の市場規模を確保していくとみられる。コスト削減などを目的とした砂糖の代替使用は限定的であるが、今後も消費者の健康(低カロリー)志向が続けば、人工甘味料の消費量が増加する傾向が続く可能性がある。

参考文献
「食品と甘味料」 伊藤汎、小林幹彦、早川幸男 編(光淋)
「高甘味度甘味料スクラロースのすべて」 藤井正美 監修(光淋)「食品添加物・素材市場レポート2012」食品化学新聞社
「砂糖以外の甘味料について」 脇谷和彦 菊池美智子(砂糖類情報2007年7月号)
「平成23年度食品添加物一日摂取量調査結果」厚生労働省薬事・食品衛生審議会 食品衛生分科会添加物部会(H.24.12.6)資料
公益財団法人日本食品化学研究振興財団ホームページ
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-8713



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