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3. 世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2015年2月時点予測)

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最終更新日:2015年3月10日

3. 世界の砂糖需給に影響を与える諸国の動向(2015年2月時点予測)

2015年3月

ブラジル

 
【生産・輸出動向】
2014/15年度の砂糖生産量はかなり減少、輸出量は大きく減少の見込み

 2014/15砂糖年度(4月〜翌3月)のサトウキビの収穫面積は、前年度並みの889万ヘクタールの見込みである。主要生産地であるサンパウロ州では生育時期の干ばつが影響し、単収が低下するものとみられ、サトウキビの生産量は6億9249万トン(前年度比6.3%減)、甘しゃ糖の生産量は3700万トン(粗糖換算(以下、特段の断りがない限り砂糖に係る数量は粗糖換算)、同6.3%減)と減産となる見通しである。砂糖の輸出量は減産の影響が響き2349万トン(同13.2%減)と前年度に比べかなり大きく減少する見込みである(表2)。

 ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA(注1))が公表した2014/15年度の4月から1月までの、ブラジル中南部地域の製糖実績報告によると、サトウキビ生産量は、干ばつの影響により、年度後半のサトウキビ収穫量が平年の水準を下回ったことから、5億7011万トン(前年同期比4.3%減)と減少した。また、堅調な国内需要を反映し、エタノール生産量が260億3790万リットル(同2.3%増)と増加したため、甘しゃ糖の生産量は3196万トン(同6.7%減)と減少した。

 政府は2月15日、ガソホール政策を強化し、ガソリンに混合する無水エタノール(注2)の比率を25%から27%に引き上げると公表した。これに伴い、エタノールは8億リットル(サトウキビ換算では1000万トン)の追加需要が見込まれ、エタノールへのサトウキビの仕向量が増加し、砂糖向けは減少する見込みである。

 なお、ガソホール政策の強化は、ガソリン価格が高水準にあった昨年4月に、国内の物価上昇(インフレ)の抑制のため、鉱山動力省と農務省から提案されており、所定の手続きを経て承認されたものである。

(注1)ブラジルサトウキビ産業協会(UNICA)は、ブラジル全体の甘しゃ糖生産量の9割を占める中南部地域を所管している団体。
(注2)自動車の燃料として用いられるエタノールには、含水と無水の2種類がある。含水エタノールは製造段階で蒸留した際に得られた水分を5%程度含み、フレックス車(ガソリンとエタノールいずれも燃料に利用できる自動車)でそのまま燃料として利用される。一方、ガソリンに混合して利用される無水エタノールは含水エタノールから水分を取り除いた100%アルコールである。
 

インド

 
【生産・輸出動向】
2014/15年度の砂糖生産量は前年度を上回る見込み

 2014/15砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は前年度並みにとどまるものの、高単収苗の普及に伴い単収の向上が見込まれることから、サトウキビの生産量は3億4439万トン(前年度比0.9%増)、甘しゃ糖の生産量は2700万トン(同0.9%増)と前年度を上回る見込みである(表3)。

 また、1月末までの甘しゃ糖の生産量は、精製糖換算で1348万トン(前年同期比15.1%増)とかなり増加している。これは、主要生産地であるマハーラーシュトラ州、ウッタル・プラデーシュ州、カルナータカ州の生産が前年度を上回っていることが要因である(図3)。

 一方、砂糖の輸出量は、粗糖に対する輸出補助金の適用が前年度末(9月)で終了し、粗糖の輸出量が10月以降、激減していることから、150万トン(同45.3%減)と前年度に比べ大幅に減少する見込みである(図4)。

 こうした中、2月19日2年連続で、在庫削減のため輸出用粗糖に対する輸出補助金の導入が発表された。対象数量は140万トンで、補助金単価は対米ドルの為替に連動して2カ月ごとに決定される。2〜3月はドル高・ルピー安を反映し、1トン当たり4000ルピー(8320円(1月末TTS:1ルピー=2.08円)と前年度の平均を約1000ルピー上回る。

 インド砂糖製造協会(ISMA)によると、現在の過剰在庫量は、推定250万トンあり、この決定により、100万トン程度の在庫削減の効果が期待され、かつ、生産者に対するサトウキビ代金の支払いが遅延(1230億ルピー(2558億円)が未払い)している製糖事業者にとっての支援につながると期待している。また、この決定により、精製糖から粗糖の生産に切り替える製糖事業者が増えるとの見方が強い。
 
 

中国

 
【生産・輸入動向】
2014/15年度の砂糖生産量はかなり減少、輸入量は大幅に減少の見込み

 2014/15砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は182万ヘクタールと前年度並みであるものの、サトウキビの生産量は、最大生産地である広西自治区が天候不順により大幅な減産となったことから、1億1225万トン(前年度比10.6%減)と前年度に比べかなりの減少が見込まれる(表4)。この減産を受け、甘しゃ糖の生産量は1222万トン(同10.6%減)の見込みである。

 てん菜の収穫面積は前年度並みの25万ヘクタール、てん菜の生産量は1235万トン(同2.4%増)、てん菜糖の生産量は83万トン(同2.5%増)の見込みである。この結果、中国の砂糖生産量は1305万トン(同9.9%減)と前年度に比べかなり減少する見込みである。

 また、中国砂糖協会によると、10月から1月までの砂糖生産量(精製糖換算)は、479万トン(前年同期比26.6%減)と前年度を大幅に下回る水準となっている。これは、てん菜糖は前年度並みであるものの、広西自治区の甘しゃ糖生産量が324万トン(同24.6%減)と大幅に減少していることによる(図5)。

 一方、砂糖の輸入量は、政府の輸入制限(注)により、271万トン(同33.1%減)と大幅に減少する見込みである。また、最近の粗糖の輸入動向として、ブラジル産からタイ産にシフトしてきたことがうかがえる(図6)。この動きは、ブラジルの一時的な減産による輸出量が減少し、地勢的優位性を生かした価格メリットのあるタイ産が台頭してきたことによるものと考えられる。

(注)中国政府は2014年11月1日、関税割当(精製糖換算195万トン、税率15%)の枠外(税率50%)で、安価な精製糖の輸入量が増加した結果、国内価格が下落して国内産砂糖の在庫が増加する事態となっていることを受け、輸入割当制度を見直し、枠外で輸入できる業者に登録を義務付けることとした。さらに、2015年1月、枠外数量の上限を190万トンと設定し、実質385万トンの輸入数量の上限を定めた。
 
 
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