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5. 日本の主要輸入先国の動向(2015年3月時点予測)

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最終更新日:2015年4月10日

5. 日本の主要輸入先国の動向(2015年3月時点予測)

2015年4月

 2014年の甘しゃ糖・分みつ糖(HSコード1701.14‐110)の輸入量は、132万6355トン(前年比4.0%減)となった。輸入先国のシェアをみると、タイが58.0%(同7.3ポイント増)、豪州が30.0%(同2.5ポイント減)、南アフリカが6.9%(同2.6ポイント増)、フィリピンが3.2%(同4.9ポイント減)、グアテマラが1.7%(同2.6ポイント減)と、この5カ国で輸入量のほぼ全量を占める(財務省「貿易統計」)。

 主要輸入先国のうちタイおよび豪州は毎月、南アフリカ、フィリピン、グアテマラについては、3カ月に1回の報告とし、今回はフィリピンを報告する。

タ イ

 
【生産・輸出動向】
2014/15年度の砂糖生産量はかなり減少するも、輸出量は大幅に増加の見込み

 2014/15砂糖年度(10月〜翌9月)のサトウキビの収穫面積は前年度並みの見込みである。サトウキビの生産量は北部と中部における干ばつによる生育の遅れにより、9000万トン(前年度比10.1%減)の見込みであるが、砂糖の生産量は製糖歩留まりが向上していることから1070万トン(同8.4%減)とサトウキビの減産の影響は緩和されている(表6)。

 現地報道によると、圧搾は、サトウキビの生育の遅れから開始が遅れたものの、現在は天候に恵まれて遅れを取り戻しており、10月〜3月上旬まで8583万トン(前年同期比0.7%増)と前年度を上回るペースとなっている。

 一方、砂糖の輸出量は751万トン(同33.2%増)と前年度に比べ大幅に増加する見込みである。これは、ブラジルの輸出が減少することに伴い、高水準の在庫を抱え余力のあるタイが、輸出量を大きく伸ばすと見込まれているためである。
 
 

豪 州

 
【生産・貿易動向】
2014/15年度の砂糖生産量、輸出量ともかなり増加の見込み

 2014/15砂糖年度(7月〜翌6月)のサトウキビの収穫面積は前年度並みの33万ヘクタール、サトウキビの生産量は、主要生産地域であるクイーンズランド(QLD)州北部が天候に恵まれ、単収が1ヘクタール当たり89.3トン(前年度比8.3%増)と向上することから2940万トン(同8.3%増)、砂糖の生産量は459万トン(同5.1%増)と前年度に比べやや増加する見込みである(表7)。また、砂糖の輸出量は増産に伴い319万トン(同6.3%増)と前年度に比べかなり増加する見込みである。

 現地報道によると、日豪経済連携協定(EPA)に基づく、輸入条件が緩和された日本向け高糖度粗糖(注)の輸出が3月中旬から開始された。

 また、豪州農業資源経済科学局(ABARES)が3月に公表した2015/16年度の生産見通しによると、収穫面積の増加に加え、天候に恵まれるとの予測から、甘しゃ糖の生産量は496万トンとなり、この増産を受けて、砂糖の輸出量は359万トンと前年度を上回ると予測している。

(注)日豪EPAにおいて、豪州産の高糖度粗糖(糖度98.5度以上〜99.3度未満)について、精製糖など製造用に限定して輸入条件を緩和し、粗糖(糖度98.5度未満)と同様に関税を無税とした。
 

フィリピン

 
【生産・貿易動向】
2014/15年度の砂糖生産量はかなり減少、輸出量は大幅に減少の見込み

 2014/15砂糖年度(9月〜翌8月)のサトウキビの収穫面積は前年度並みの44万ヘクタール、サトウキビ生産量は3237万トン(前年度比1.6%増)の見込みである。砂糖の生産量は、収穫初期の10月の天候不順により、全体的に収穫が後ろ倒しになり、製糖歩留まりが低下していることから229万トン(同6.8%減)とかなりの減少が見込まれている。砂糖の輸出量は、減産に加え消費が伸びている国内販売向けが増えるため20万トン(同45.8%減)と大幅に減少する見込みである(表8)。

 また、政府の砂糖統制委員会(SRA)は3月12日、2014/15年度の販売割当数量を更新した。旺盛な国内需要を反映し、主に日本向け粗糖の輸出に割り当てられるDケダン(注)はゼロとなっている。

(注)砂糖の国内販売・輸出については、1986年以降、国内の砂糖価格の安定を図るため、政府の砂糖統制委員会(SRA)がケダンシステムにより管理している。SRAは、砂糖の国内販売輸出数量を、A(米国向け(粗糖の関税割当分)、B(国内販売向け)、C(備蓄在庫用)およびD(米国以外の輸出向け)の4つに割り当てている。なお、ケダンシステムの詳細については、「フィリピンにおけるサトウキビの効率的生産に向けた動き(2014年12月号)」を参照のこと。
 
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