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砂糖類の国内需給

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最終更新日:2017年5月10日

砂糖類の国内需給

2017年5月

調査情報部

1. 需給見通し

 農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、四半期ごとに砂糖および異性化糖の需給見通しを公表している。3月に「平成28砂糖年度における砂糖及び異性化糖の需給見通し(第3回)」を公表した。

平成28砂糖年度(10月〜翌9月)の見通し

(1)砂糖の消費量

 28砂糖年度の砂糖の消費量は、195万9000トン(前年度比0.1%増)と見通している。内訳を見ると、分みつ糖の消費量は、近年の消費動向を基に、景気は一部に改善の遅れもみられるが、緩やかな回復基調が続いていることなどを踏まえ、192万3000トン(前年度同)と見通している。含みつ糖の消費量は、近年の消費動向などを勘案し、3万6000トン(前年度比2.3%増)と見通している。

(2)砂糖の供給量

 28砂糖年度の砂糖の供給量は、188万9000トン(前年度比5.0%減)と見通している。内訳を見ると、分みつ糖が186万9000トン(同5.1%減)、含みつ糖が2万トン(同5.3%増)と見通している。国内産糖(分みつ糖)の供給量は、てん菜については、2年連続の豊作基調から作付面積が前年産に比べて1.2%(約700ヘクタール)増加するものの、5月の強風、6月以降の長雨、8月中下旬の台風被害、11月初旬の降雪の影響により生育停滞が生じたことから、産糖量は50万6000トン(前年産比25.3%減)、供給量は50万5000トン(精製糖換算。前年度比25.2%減)と見通している。

 サトウキビについては、長雨で前年産の収穫が遅れ、植え付けが遅れた地域もあることから、収穫面積は前年産に比べて1.9%(約400ヘクタール)減少するものの、全体として作柄はおおむね順調に推移していることから、産糖量は17万8000トン(前年産比32.1%増)、供給量は17万1000トン(精製糖換算。前年度比32.1%増)と見通している。

(3)異性化糖の需給

 平成28砂糖年度の異性化糖の消費量は、近年の消費動向などを踏まえ、82万9000トン(前年度比1.4%増)と見通している。また、異性化糖の供給量は、消費量に見合った量が供給されると見通している。

表1 平成28砂糖年度における砂糖の需給見通し

表2 平成28砂糖年度における異性化糖の需給見通し

2. 異性化糖の移出動向

3月の移出数量は前年同月からやや減少
 2017年3月の異性化糖の移出数量は、7万6547トン(前年同月比4.2%減、前月比30.1%増)であった(図1)。
 3月の規格別の移出量は、次の通りであった(図2)。

果糖含有率40%未満    428トン
 (前年同月比8.3%減、前月比11.6%増)
同40%以上50%未満   2万404トン
 (同2.0%増、同19.6%増)
同50%以上60%未満 5万4403トン
 (同6.8%減、同34.0%増)
同60%以上          1311トン
 (同20.8%増、同64.2%増)
 

図1 異性化糖の移出量の推移

図2 異性化糖の種類別移出量の推移

3. 輸入動向

【分みつ糖の輸入動向】
2月の輸入量は前年同月から大幅に減少

 財務省「貿易統計」によると、2017年2月の分みつ糖(HSコード 1701.14-110)の輸入量は、2万3882トン(前年同月比61.5%減、前月比5.7%増)であった(図3)。

 輸入先国はタイ、豪州および米国の3カ国で、国別の輸入量は次の通りであった(図4)。

タイ   1万2467トン
 (前年同月比79.9%減、前月比44.8%減)
豪州  1万1396トン
 (前年同月および前月輸入実績なし)
米国     19トン
 (前年同月比69.8%減、前月輸入実績なし)

 また、同月における豪州からの高糖度原料糖(糖度98.5度以上99.3度未満、HSコード1701.14-200)の輸入量は、3万2511トン(前年同月比41.1%増、前月比2.3倍)であった。

図3 分みつ糖の輸入量の推移

図4 分みつ糖の国別輸入量の推移

 2017年2月の1トン当たりの輸入価格は、5万9667円(前年同月比33.0%高、前月比1.0%高)であった(図5)。

タイ  5万6241円
 (前年同月比25.6%高、前月比4.8%安)
豪州  6万3327円
 (前年同月および前月輸入実績なし)
米国  11万2263円
 (前年同月比25.6%安、前月輸入実績なし)

 また、同月における豪州からの高糖度原料糖の1トン当たりの輸入価格は、5万8969円(前年同月比33.6%高、前月比0.2%安)であった。
 

図5 分みつ糖の輸入価格の推移

【含みつ糖の輸入動向】
2月の輸入量は前年同月から大幅に減少

 財務省「貿易統計」によると、2017年2月の含みつ糖の輸入量は、1334トン(前年同月比37.8%減、前月比15.9%増)であった(図6)。

 輸入先国はタイ、中国、ボリビアおよびフィリピンの4カ国で、国別の輸入量は次の通りであった (図7)。

タイ    1014トン  
 (前年同月比35.2%減、前月比87.8%増)
中国    171トン  
 (同33.7%減、同64.7%減)
ボリビア 102トン  
 (同54.5%減、前月同)
フィリピン 47トン  
 (同38.2%増、前月比88.0%増)

図6 含みつ糖の輸入量の推移

図7 含みつ糖の国別輸入量の推移

 2017年2月の1トン当たりの輸入価格は、12万4484円(前年同月比5.6%安、前月比5.1%安)であった(図8)。
 国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

タイ     12万643円  
 (前年同月比5.2%安、前月比7.4%安)
中国   12万9450円  
 (同2.1%高、前月同)
ボリビア 13万3922円  
 (同1.6%安、前月比2.1%安)
フィリピン 16万8787円  
 (同2.6%高、同4.2%高)

図8 含みつ糖の輸入価格の推移

【加糖調製品の輸入動向】
2月の加糖調製品の輸入量は前年同月並み

 財務省「貿易統計」によると、2017年2月の加糖調製品の輸入量は、4万2334トン(前年同月比1.0%減、前月比4.0%減)であった(図9)。
 品目別の輸入量は、次の通りであった。

ミルク調製品     1万1233トン  
 (前年同月比0.4%増、前月比6.2%減)
ココア調製品       9340トン  
 (同23.0%増、同5.8%増)
ソルビトール調製品   9051トン  
 (同2.3%減、同8.1%増)
調製した豆(加糖あん) 3824トン  
 (同15.4%減、同30.3%減)
穀粉調製品        2973トン  
 (同21.7%減、同8.0%減)
コーヒー調製品       35トン  
 (同6.6%減、同2.7%増)
その他調製品       5879トン  
 (同7.7%減、同5.0%減)

図9 加糖調製品の品目別輸入数量の推移

4. 価格動向

【市場価格】
上白糖(小袋)は3円値上がり

 3月の糖種別・地域別の砂糖価格(日経相場)は次の通りであった。

上白糖(大袋)
東京 1キログラム当たり195〜196円
大阪 同196円
名古屋 同199円
関門 同199円

上白糖(小袋)
東京 1キログラム当たり208〜209円
大阪 同210円

本グラニュー糖(大袋)
東京 1キログラム当たり200〜201円
大阪 同201円
名古屋 同204円

ビート・グラニュー糖(大袋)
東京 1キログラム当たり195〜196円
大阪 同196円
名古屋 同197円

 3月の異性化糖の価格(日経相場、大口需要家向け価格、東京、タンクローリーもの、JAS規格品、水分25%)は、次の通りであった。

果糖分42%もの  
 1キログラム当たり131〜132円
果糖分55%もの          
 同137〜138円

【小売価格】
3月の上白糖小袋の地域間の価格差は最大で25.9円

 KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける3月の上白糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、193.8円(前年同月差5.5円高、前月差2.7円高)であった。
 同月の地域別(注)の平均小売価格は次の通りであった。

北海道   198.5円  
 (前年同月差6.3円高、前月差2.1円高)
東北    200.4円  
 (同0.8円高、同5.0円高)
関東など  180.5円  
 (同1.5円高、前月同)
首都圏   201.9円  
 (同17.1円高、前月差8.0円高)
中部    179.8円  
 (同1.5円高、同1.3円高)
関西    190.6円  
 (同1.0円高、同0.2円安)
中国・四国 205.7円  
 (同9.4円高、同2.1円高)
九州・沖縄 189.1円  
 (同1.9円安、同0.9円安)

 最も高かったのは中国・四国で、最も安かった中部との価格差は25.9円であった。

(注)地域の内訳は次の通りである。以下、グラニュー糖および三温糖も同じである。
関東など:茨城県、栃木県、群馬県、長野県、山梨県、静岡県
首都圏:東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県
中 部:新潟県、富山県、石川県、福井県、岐阜県、三重県、愛知県
関 西:大阪府、兵庫県、京都府、滋賀県、和歌山県、奈良県


3月のグラニュー糖小袋の地域間の価格差は最大で75.3円
 KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける3月のグラニュー糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、240.3円(前年同月差3.6円高、前月差0.8円高)であった。
 同月の地域別の平均小売価格は次の通りであった。

北海道    199.7円  
 (前年同月差6.1円高、前月差4.8円高)
東北      275.0円  
 (同4.6円高、同0.2円高)
関東など  245.7円  
 (同0.4円安、同0.1円高)
首都圏   246.2円  
 (同5.5円高、同1.3円高)
中部    251.1円  
 (同0.6円高、前月同)
関西    230.1円  
 (同2.3円高、前月差0.2円高)
中国・四国 254.1円  
 (同9.9円高、同2.0円高)
九州・沖縄 218.1円  
 (同1.2円安、同1.4円安)

 最も高かったのは東北で、最も安かった北海道との価格差は75.3円であった。

3月の三温糖小袋の地域間の価格差は最大で54.7円
 KSP−POSデータ(全国535店舗)によると、スーパーにおける3月の三温糖小袋(1キログラム)の平均小売価格は、236.6円(前年同月差4.4円高、前月差2.1円高)であった。
 同月の地域別の平均小売価格は次の通りであった。

北海道   241.9円  
 (前年同月差2.5円高、前月差3.8円高)
東北    262.5円  
 (同0.7円高、同5.6円高)
関東など  240.0円  
 (同3.3円高、同0.6円安)
首都圏   235.9円  
 (同7.8円高、同3.5円高)
中部    226.4円  
 (同0.1円安、同0.1円高)
関西    231.2円  
 (同5.5円高、前月同)
中国・四国 251.2円  
 (同8.7円高、前月差2.5円高)
九州・沖縄 207.8円  
 (同0.1円高、同1.4円高)

 最も高かったのは東北で、最も安かった九州・沖縄との価格差は54.7円であった。

【購入金額および購入量】
2月の砂糖の支出金額および購入数量ともに前年同月からかなり大きく減少

 総務省「家計調査」によると、2017年2月における100世帯当たりの砂糖の購入頻度は38で、1世帯(2人以上)当たりの支出金額は、88円(前年同月比11.1%安、前月比11.4%高)であった(図10)。また、同月の1世帯当たりの砂糖の購入数量は、394グラム(同12.4%減、同19.4%増)であった(図11)。

図10 1世帯当たりの砂糖に係る支出額の推移

図11 1世帯当たりの砂糖の購入数量の推移

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