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かんしょでん粉の食品用途拡大に向けたJAグループ鹿児島の取り組み

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最終更新日:2017年11月10日

かんしょでん粉の食品用途拡大に向けたJAグループ鹿児島の取り組み
〜こなみずき生産者部会の設立と安定供給に向けた体制づくり〜

2017年11月

鹿児島事務所 岸本 真三市

【要約】

 鹿児島県では、特定の品種のみで製造されたかんしょでん粉を安定的に流通させる仕組みを構築し、野菜や果物のように品種を全面に打ち出した販売戦略を展開している。  
 この取り組みをさらに飛躍させるため、JAグループ鹿児島においては、新たに生産者部会を設立し、部会員の生産技術の向上やコンタミネーションの防止意識の醸成などを通じて、必要十分な原料の確保と需要喚起に努めている。

はじめに

 かんしょでん粉の多くは、水あめや異性化糖などの糖化製品に仕向けられており、安価な輸入トウモロコシを原料とするコーンスターチと競合する関係にある。しかし、食品に程よいかみ応えや口どけを演出できるほか、小麦粉と置き換えることで昨今注目を浴びるグルテンフリー(注)にも対応できるなど、潜在的な食品用途の拡大の余地は大きいと考えられる(図1)。このため、製造事業者は、工場の設備投資や技術の改善などにより、高付加価値が見込まれる食品用途の拡大に向けて取り組んでいる。

 原料作物に目を向けると、青果用のかんしょの品種に「なると金時」「紅あずま」「べにはるか」など多様な品種があるのと同様、でん粉原料用かんしょにも10種類以上の品種が存在するが、南九州地域で作付けされている品種の主力はシロユタカ、コガネセンガン、ダイチノユメおよびシロサツマで、この4品種だけで流通するかんしょでん粉の約9割を占める。でん粉としての特性に大きな差がないことから、さまざまな品種を混合して製造されるため、でん粉原料用かんしょの品種名を消費者が知る機会は少ない。

(注)小麦アレルギーやセリアック病(小麦や大麦に含まれるグルテンに対する過敏症を主な症状として生ずる自己免疫疾患)の患者向けの食事療法として欧米で始まったもの。

図1 でん粉の特徴

 こうした中、かんしょでん粉の食品用途の拡大を後押しする品種として平成24年1月に品種登録されたのが「こなみずき」である。「こなみずき」から製造されるでん粉は、従来のでん粉特性と異なり、低温糊化性、耐老化性、優れた成形性の特性を持つ(表1)。行政や製造事業者(JAおよび民間)などの関係者は、かんしょでん粉の食品用途の拡大の起爆剤になるものとして期待を寄せている。

表1 「こなみずき」でん粉の主な特徴

 本稿では、JAグループ鹿児島(注)のこなみずき生産者部会(以下「部会」という)の設立を機に新たなステージへ進みつつある現場の取り組みについて、生産、製造、販売の各段階ごとに紹介するとともに、食品用途拡大に向けた今後の展望を紹介する。

(注)鹿児島県のJA・連合会・中央会および関係団体を総称してJAグループ鹿児島という。

1.こなみずき生産者部会の取り組み

(1)設立の経緯
 産地では、「こなみずき」の品種登録から5年が経過したこともあり、品種特性に応じた栽培のノウハウがある程度蓄積され、「こなみずき」でん粉の需要の増加に伴い生産者が増えてきたことから、さらなる安定生産・安定供給体制の確立に向けて、専門部会設立に対する要望が挙がり始めた。これを受け、南さつま農業協同組合、いぶすき農業協同組合およびさつま日置農業協同組合の3農協を構成員とする広域事業体「JA南薩甘しょでん粉協同事業体」(以下「協同事業体」という)が旗振り役となり、平成29年3月27日、部会を設立した(写真1)。
 

 写真1 部会設立総会の様子(写真提供:協同事業体)

 部会は、高品質の「こなみずき」の安定供給に寄与し、でん粉原料用かんしょの生産振興を図るとともに部会員の農業所得の確保を目的としており、部会員を対象とした「こなみずき」の特性の把握や生産技術の向上のための研修会を開催するほか、商品開発や販売活動の情報共有などを行う計画である。

 設立直後の加入者は、協同事業体が運営するJA南薩拠点霜出澱粉工場(以下「JA南薩澱粉工場」という)に出荷する生産者の約6%に相当する51名となった(表2)。

表2 協同事業体におけるでん粉原料用かんしょ生産者数および部会加入者数

(2)今後の見通し
部会の今後の取り組みなどについて、副会長に就任した前村()()()(注)から話を伺った。

(注)前村千香男氏のかんしょでん粉の生産の取り組みは、本誌2016年3月号に掲載。

ア.コンタミネーションの防止
 最も重要な取り組みは、コンタミネーション(注)の防止である。「こなみずき」の特性を引き出したでん粉を製造するためには、でん粉工場における混入防止対策に加え、原料出荷段階における厳格な管理が欠かせない。そのため、生産者のコンタミネーション防止に対する理解醸成が必要不可欠であり、部会の本格的な始動に先立ち行われた第1回目の研修会では、生産から販売までのサプライチェーン全体の基礎知識を共有し、川上から川下までの協力・連携体制の重要性を認識してもらう場とした。

 前村氏は、「この研修を通じて、こなみずきの特性を生かしたさまざまな商品が販売されていることを初めて知った部会員も多く、生産意欲の向上とともに、コンタミネーション防止の自覚が芽生えた」と言う。

 同時に、生産者が責任を負うべきリスクを網羅的に洗い出し、把握、管理していくことも重要である。異なる原料(品種)の混入防止およびトレーサビリティーの確保の観点から、部会員に対しJA南薩澱粉工場と生産・出荷に関する契約を締結することとし、契約の中で、栽培履歴を記録した日誌の提出を出荷時に義務付けている(図2)。

 原料出荷段階におけるコンタミネーションの防止には、従来品種のかんしょの出荷時に「こなみずき」を混入させないことも含まれている。これは、「こなみずき」の混入により、従来のかんしょでん粉本来の性質が変わってしまう恐れがあるためである。

 今後の部会の方針について前村氏は、「安易に加入者を増やすのではなく、『約束を守ることができる生産者を育成する』ことで、安定供給の体制を築いていく」と語る。

(注)食品を製造する際に、原材料としては使用していないにもかかわらず、特定原材料などが意図せずして最終製品に混入すること。本稿では、「こなみずき」でん粉を製造する際に、異なる品種の原料が混入すること、または、従来品のでん粉を製造する際に、「こなみずき」が混入することを表す。

図2 こなみずき栽培プロフィール日誌

イ.バイオ苗の安定供給
 次に重要な取り組みは、部会員にバイオ苗(注)を安定的に供給することである。平成24〜26年産は、「こなみずき」のバイオ苗の供給をJAの育苗センターが行っていたものの、作付けできる生産者を限定し、わずかな供給量としていた。「こなみずき」でん粉の需要増に対応するため、27〜29年産は、生産者が種芋から採苗する方式に変更し、収穫面積を増やしてきたところである。

 さらに安定した生産体制を整備するため、30年産からJA育苗センターが部会員へのバイオ苗の供給量を増やすことを予定している(図3)。

 このようにJAグループ鹿児島においては、部会を中心とした「こなみずき」の産地形成が整いつつある(図4)。

(注)バイオ苗とは、植物の芽の最先端部(茎頂)を取り出して培養させたもの(茎頂培養苗)の俗称。

図3 苗の供給体制の変遷と生産実績

図4 こなみずき生産者部会を中心とした産地形成

コラム 前村千香男氏の「こなみずき」の生産

 前村氏は、「こなみずき」を作付けする専用の()(じょう) 3カ所を有し、計90アールを確保している。「こなみずき」の栽培は、200日以上の栽培期間を設ける必要があるため、5月上旬までの植え付けが望ましいとされている。前村氏の「こなみずき」の植え付けは4月下旬から6月中旬ごろまで行っている()。

 前村氏は、収量を増やすため、土壌分析を行いながら、それぞれの圃場の状態を適宜把握し、圃場に応じて施肥量などを調整している。平成29年産の「こなみずき」の生育は、今のところ順調であるが、収穫期が12月上旬となるため、収穫時期の気温によっては、かんしょの糖化が進むことなどの懸念もあり、まだまだ気を緩めることができないと言う(写真1)。

 

 

 また、でん粉原料用かんしょの圃場も含めてすべて生分解性マルチフィルムを使用し、収穫時のマルチ剥ぎに係る労力の軽減を図っている(写真2)。前村氏いわく、一緒に汗を流す妻の(じゅん)()さんを思ってのことだそうだ。



2.「こなみずき」でん粉の製造現場

(1)JA南薩拠点霜出澱粉工場の概要
 部会員が生産したかんしょの出荷先は、南九州市にあるJA南薩澱粉工場である(図5)。JA南薩澱粉工場は、平成23年に操業を開始し、年間原料処理能力2万トン、でん粉製造数量同6000トンの処理能力を有する最新鋭のでん粉工場である。

 協同事業体における28年産のこなみずきの集荷量は、1008トンであり、でん粉原料用かんしょの集荷量の5%となっている(表3)。

図5 南九州市の位置図

表3 平成28年産でん粉原料用かんしょ集荷実績

(2)「こなみずき」でん粉の製造
 「こなみずき」でん粉の製造について、JA南薩澱粉工場の工場長 門田(もんでん)賢治郎氏に話を伺った。
 JA南薩澱粉工場では、平成24年産から「こなみずき」100%のでん粉製造を開始した。従来のかんしょでん粉と同じ製造ラインを使用しているため、「こなみずき」でん粉を製造する場合、その製造が完了した後に3日間かけて設備を徹底的に洗浄した上で、原料を受け入れている(図6)。製造した「こなみずき」でん粉は、専用の紙袋に詰め、出荷される(写真2)。

図6 JA南薩澱粉工場の年間のスケジュール

写真2 「こなみずき」でん粉(左)と従来品(右)の紙袋(ともに25kg)

 28年産の「こなみずき」でん粉の製造数量は245トンで、原料受け入れ量の増加に伴い歩留まりも向上しつつあるが、依然として、従来のかんしょでん粉の歩留まり(30%)を下回っている(表4)。

 これは、品種によるでん粉の粒子の違いや「こなみずき」が持つ保水性の高さなどが影響していると推察される。このため、機械への付着・滞留に起因するロスを減らすため、製造ライン通過時の水分量や、工場内の気温および湿度をこまめに確認しながら、()(べつ)、精製、乾燥工程での機械の回転数や時間を微調整することで、歩留まりの向上を図るとともに、製造ラインの安定稼動と異常の早期発見にも努めている。さらなる歩留まりの向上を図るため、脱水設備から押し出す装置の改良を計画している。「生産者から託されたでん粉原料用かんしょを少しでも無駄なく、でん粉にするのがわれわれ製造部門の使命」と門田工場長は語った(写真3)。

表4 協同事業体における「こなみずき」でん粉の製造実績

写真3 製造部門30年の経験豊かな門田工場長

3.商品開発と販売促進活動

 かんしょでん粉の食品用途への販売拡大に向けた商品開発と販売促進活動は、「鹿児島県さつまいもでん粉食品用途拡大推進協議会(注)」(事務局:鹿児島県経済農業協同組合連合会〈以下「JA鹿児島経済連」という〉農産事業部米穀特産課)(以下「協議会」という)が担っている。

 3工場あるJAグループ鹿児島のかんしょでん粉工場のうち種子島を除く2工場(JA鹿児島きもつき農協新西南澱粉工場〈以下「JA新西南澱粉工場」という〉、JA南薩澱粉工場)が、食品用途向けのでん粉を製造しており、平成28年産は、販売量の約80%が食品用途向けとなる見込みである(表5)。
 協議会の取り組みについて、主査福元(きみ)(なり)氏、主査野元さゆり氏、長ア有希氏に話を伺った。

(注)日本国内において鹿児島県だけで生産される特産品としての“かんしょでん粉”を、鹿児島県内を中心に食品用へ利用促進することを目的として、平成25年7月に設立され、JA鹿児島県経済連と鹿児島県、食品メーカー、流通業者、消費者、管理栄養士、生産団体などで構成されている。なお、掲載の役職名は、JA鹿児島県経済連の名称を使用している。

表5 JAグループ鹿児島の平成28年産用途別販売見込み

(1)商品開発
 協議会は、「こなみずき」でん粉の特性を生かした商品開発を食品メーカーなどと行っている。これまでに開発した商品は季節限定品も含めて、13品である。「こなみずき」でん粉を使うことで、これまでにないしっとり感や弾力を演出することが可能となっている(図7)。
 



 

 また、以前は早期に普及・定着させることを基本としていたため、使用量にかかわらず「こなみずき」でん粉を使用した商品には「こなみずき使用認証マーク」(図8)の使用を認めていたが、今後は一層のブランド力の強化を図るため、新たに設定した基準をクリアした商品にのみ使用を許可することとした(表6)。この認証マークの認知度の向上を図るため、商品数の増加を促進しつつ、販売促進の活動にも取り組んでいく。

 




 

(2)販売拡大
 協議会は、テレビでの紹介や県内外の量販店でのイベントなどを通じた宣伝活動を積極的に行ってきた。しかし、生産地の鹿児島県でも、かんしょでん粉に関する消費者の認知度はあまり高くない。

 このため、平成28年度から新たな取り組みとして、鹿児島県、鹿児島県さつまいも・でん粉対策協議会(注)と機構の3者と協力し、消費者の認知度向上とともに、家庭料理でのさまざまな活用方法の提案を通してかんしょでん粉の用途の拡大を目的とした「さつまいもでん粉応援プロジェクト」(以下「プロジェクト」という)を立ち上げた。

(注)鹿児島県の原料用かんしょおよびかんしょでん粉の生産・流通などに係る基本方針を一体的に推進し、かんしょ生産農家の所得向上と関連産業の経営安定を図ることを目的に設立された協議会。事務局は、鹿児島県農政部農産園芸課。

 プロジェクトは、鹿児島県での消費拡大には、イベントの参加者やマスメディアによる情報発信が重要であるとの認識の下、プロジェクトメンバーごとに役割分担はあるものの、イベントの企画・立案においては、「いかにしてかんしょでん粉のファンを獲得し、応援の輪を広げていくか」という視点で、組織の枠を超えてさまざまなアイデアを出し合った。

 さらに、イベントによる効果を高めるため、JA鹿児島県経済連のネットワークを活用し、地元で料理教室を主宰している本田かおり氏やイベント進行の経験豊富な鹿児島県くみあい開発株式会社重信朋美氏を協力者として、万全の体制を整えた(図9)。

 


 

 29年度は、計8回の事前協議を経て、希少価値のある「こなみずき」でん粉や協議会が商品開発に携わった「こなみずき」でん粉入りのそうめんを使用した親子料理教室を8月20日に開催した(写真4)。




 

 参加者のアンケートの結果では、参加者からのかんしょでん粉の普及効果や市販の商品の購入が期待できることが確認されたほか(図10)、当日のイベントの模様は、複数の新聞にも写真付きで大きく掲載された。

 野元主査および長ア氏は、「このプロジェクトを通じて、鹿児島県でかんしょでん粉の認知度が向上するとともに、食品用途の需要拡大につなげていきたい。すでに来年度に向けた検討は始まっており、メンバーがさまざまなアイデアを持ち寄り、新たな取り組みを模索している」と、今後の展開について語った。



 このほか、協議会では、鹿児島県でのかんしょでん粉の普及促進および地産地消の取り組みの一環として、「かごしま食育フェスタ」(主催:鹿児島市、鹿児島女子短期大学 協力:鹿児島市食育推進ネットワーク 後援:一般社団法人全国栄養士養成施設協会)への出展(写真5)や、家庭で片栗粉と同じ用途で使ってもらえるような商品の開発などにも取り組んでいる。

写真5 食育フェスタででん粉原料用かんしょ(実物)に触れる来場者

 今後の販売戦略としては、少しでも多くの実需者に「こなみずき」でん粉を供給していく方針としている。まずは、「こなみずき」でん粉の魅力を広く知ってもらい、少しずつ使っていただくことを目指している。福元主査は、「『こなみずき』でん粉の販売は、生産現場、製造現場と歩調を合わせて進めていくことが重要である。その意味では、部会の存在意義は大きい。今後も部会を通じて、情報共有を図り、生産、製造、販売が一体となって推進していきたい」と抱負を語った。

4.課題と今後の展望について

 このようにJAグループ鹿児島においては、部会を中心とした「こなみずき」の産地形成の取り組みにより、食品用途拡大に向けた高品質の「こなみずき」でん粉の安定供給体制が整備されつつある。

 一方、かんしょでん粉の食品用途拡大に向けた課題としては、北海道産ばれいしょでん粉と比較すると全国的な知名度が低いことや絶対的な供給量が少ない▽鹿児島県からの輸送に係る採算性などから東日本以北からの実需者の引き合いが少ない▽かんしょでん粉の特性に関する認知度が低い−などが挙げられる。

 これらは、一朝一夕に解決できるものではないが、「国産」に対するニーズや関心が高い現状を踏まえると、かんしょでん粉や「こなみずき」でん粉の特性に対する認識が広がっていけば、加工食品メーカーを中心に需要を伸ばせる余地は十分にあると考えている。

 このため、当機構鹿児島事務所においても、でん粉の価格調整制度の周知とともに、鹿児島県大隅加工技術研究センター 参事付 時村(かな)()氏が考案したでん粉ゲル(ばれいしょでん粉、コーンスターチ、かんしょでん粉、「こなみずき」でん粉)を参考に作成し、関係機関と連携しながらプロジェクトや食育フェスタなどを通じて、でん粉の特性の違いを広くPRする取り組みを行っている(写真6)。今後、原料作物により異なるでん粉の特性をPRしていく中で、おそらく他のでん粉の中では特異な特性を有する「こなみずき」でん粉という存在が、大きな価値を持っていくのではないだろうか。

写真6 特性の違いを体験する子どもたち

おわりに

 国内産かんしょでん粉は、鹿児島県でのみ生産されるでん粉であり、その中の「こなみずき」でん粉は、世界的にもオンリーワンの存在である。このかんしょでん粉を高付加価値が見込まれる食品用途の拡大に向けて、関係機関がさまざまな取り組みを行っているが、JAグループ鹿児島においては、「こなみずき生産者部会」の誕生により、生産、製造、販売が一体となった産地形成が整い、これが加速していくものと思われる。

 今回の取材を通じて、生産、製造、販売のそれぞれの担当の方々に共通していることは、「少しでもいいものを、確かなものを」というひたむきな姿勢であった。

 特に販売の取り組みについては、プロジェクトメンバーとして、機構鹿児島事務所もその輪に微力ながら参画させていただき、協議会や県の皆さまの「かんしょでん粉を何としても広めたい」という並々ならぬ情熱を肌で感じながら一緒にイベントに携わることができ、貴重な経験となった。

 今後、このような関係者の皆さまの取り組みによりかんしょでん粉や「こなみずき」でん粉が広く認知され、日本全国でかんしょでん粉が使用された商品が手に取られるようになることを期待したい。

 また、かんしょでん粉の食品用途の拡大に向けては、民間の製造事業者においても、多様な取り組みが行われている。「こなみずき」でん粉の製造のほか、国際認証のFSSCやISOを取得している工場、アレルギー特定材料など27品目を使用していないことから、受託加工に対応できることをPRしている工場など、非常に魅力ある内容である。今後、これらの民間の製造事業者の皆さまのご協力をいただきながら、その取り組みも取材させていただき、かんしょでん粉の魅力を情報誌などを通じて広く発信できればと考えている。

 最後に、お忙しい中、取材にご協力いただきましたこなみずき生産者部会副会長前村様、JA南薩拠点霜出澱粉工場工場長門田様、鹿児島県さつまいもでん粉食品用途拡大推進協議会(鹿児島県経済農業協同組合連合会)主査福元様、主査野元様、長ア様、取材に同行していただきましたいぶすき農業協同組合調査役金山祐一様、鹿児島県経済農業協同組合連合会本村遼太様、関係者の皆様にこの場を借りてお礼申し上げます。
 
【参考文献】
1)片山健二(2011)「新しい低温糊化性でん粉品種「こなみずき」の特性」『でん粉情報』(2011年4月号)
2)時村金愛(2012)「新しいかんしょでん粉の特徴と食品への利用」『でん粉情報』(2012年7月号)
3)吉永優(2013)「かんしょでん粉の市場価値の向上をめざして〜でん粉原料用かんしょの新品種「こなみずき」〜」『砂糖類・でん粉情報』(2013年2月号)
4)丸吉裕子(2014)「かんしょでん粉の用途拡大に向けて」『砂糖類・でん粉情報』(2014年3月号)
5)鹿児島事務所(2011)「鹿児島県薩摩半島に大型かんしょでん粉製造工場完成」『でん粉情報』(2011年10月号)
6)竹牟禮穣(2016)「低温糊化性でん粉原料用サツマイモ「こなみずき」の多収栽培法」『砂糖類・でん粉情報』(2016年12月号)
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