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2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

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最終更新日:2017年12月11日

2. 日本の品目別主要輸入先国の動向

2017年12月

 本稿中の為替レートは2017年10月末日TTS相場の値であり、1米ドル=114円(114.16円)、1タイバーツ=3.49円、1ユーロ=133円(133.26円)である。

トウモロコシ・コーンスターチ

米国

【需給動向:トウモロコシ】
生産量、消費量ともに上方修正

 2017年11月時点の米国農務省(USDA)による2017/18穀物年度(9月〜翌8月)のトウモロコシ需給予測によると、生産関連の数値は、単収が1エーカー当たり175.4ブッシェル(4.5トン、前年度比0.5%増)に上方修正されたことに伴い、生産量も145億7800万ブッシェル(3億7030万トン、同3.8%減)に上方修正された。消費関連の数値は、国内消費量のうち飼料など向けおよび輸出量が上方修正されたことにより、総消費量は144億3500万ブッシェル(3億6666万トン、同1.4%減)に上方修正された。

【価格動向:トウモロコシ】
前月予測から据え置き

 同じく2017/18穀物年度のトウモロコシの生産者平均販売価格は、1ブッシェル当たり2.80〜3.60米ドル(319〜410円)と前月予測から据え置かれた(表2)。

表2 米国のトウモロコシの需給見通し

【貿易動向:トウモロコシ】
9月の輸出量は前年同月から大幅に減少

 2017年9月のトウモロコシ輸出量は、353万9228トン(前年同月比43.3%減、前月比0.8%増)と前年同月を大幅に下回ったものの前月をわずかに上回った(図3)。同月の国別輸出量は、次の通り。

メキシコ    156万7778トン  
 (前年同月比30.4%増、前月比26.8%増)
日本      57万7272トン  
 (同63.8%減、同30.2%減)
コロンビア   37万5473トン  
 (同0.6%減、同0.3%減)

 また、同月の輸出価格(FAS(注))は、1トン当たり171.61米ドル(1万9564円、前年同月比0.5%安、前月比0.8%高)と前年同月をわずかに下回った。

(注)Free Alongside Shipの略。貨物を船側に付けた段階で支払われる価格。FOB価格と異なり、横持ち料(倉庫間の移動費)、積み込み料などは含まれていない。

図3 米国のトウモロコシ輸出量および輸出価格の推移

【貿易動向:コーンスターチ】
9月の輸出量は11カ月連続で前年同月比増

 2017年9月のコーンスターチ輸出量は、9883トン(前年同月比34.6%増、前月比12.3%増)と11カ月連続で前年同月を上回った(図4)。同月の国別輸出量は、次の通り。

メキシコ   4558トン  
 (前年同月比3.1倍、前月比28.8%増)
カナダ    3366トン  
 (同2.7%減、同17.7%増)
コロンビア  680トン  
 (同8.0%減、同26.9%減)
中国     204トン  
 (同42.9%減、同58.1%増)
日本     20トン  
 (前年同月輸出実績なし、同2.0倍)

 また、同月の中西部市場のコーンスターチ価格は、1ポンド(注)当たり4.67セント(5.3円、前年同月比10.7%高、前月比6.8%安)と前年同月からかなり上昇したものの前月からかなり下落した。

(注)1ポンドは0.45キログラム。

図4 米国のコーンスターチ輸出量および市場価格の推移

タピオカでん粉

タイ

【価格動向】
タピオカでん粉国内価格、キャッサバ農家価格ともに上昇傾向で推移

 タイタピオカでん粉協会(TTSA)によると、2017年11月第2週のタピオカでん粉の国内価格は、1キログラム当たり12.3バーツ(43円、前年同期比19.4%高、前週比2.5%高)と引き続き前年同期を上回って推移している(図5)。

  また、10月のキャッサバ農家価格は、1キログラム当たり1.41バーツ(4.9円)と前年同月を大幅に上回った(表1)。

図5 タイのタピオカでん粉価格の推移

【貿易動向】
9月の輸出量は前年同月および前月からかなり減少

 2017年9月のタピオカでん粉輸出量は、22万316トン(前年同月比14.1%減、前月比10.1%減)と前年同月および前月をかなり下回った(図6)。同月の国別輸出量は、次の通り。

中国       11万211トン  
 (前年同月比11.2%減、前月比4.7%減)
台湾      2万8367トン  
 (同3.4%増、同12.6%増)
インドネシア  1万8428トン  
 (同40.3%減、同42.8%減)
日本      1万2050トン  
 (同80.4%増、同4.4%増)

 また、同月の輸出価格(FOB・バンコク)は、1トン当たり344米ドル(3万9216円、前年同月比2.6%高、前月比1.1%高)と前年同月および前月をわずかに上回った(図6)。

図6 タイのタピオカでん粉輸出量および輸出価格の推移

コラム 中国のばれいしょおよびばれいしょでん粉生産動向について

 2017年9月15日、中国商務部はEU産ばれいしょでん粉に対する相殺関税(7.5%〜12.4%)を翌16日から5年間延長することを発表した。これは、相殺関税を課さないと、国内産業が被害を受けると商務部が判断したためである。そこで今回は、中国におけるばれいしょおよびばれいしょでん粉生産動向について紹介する。

1.ばれいしょ  
 近年のばれいしょ生産量は、2013年をピークに減少傾向で推移しているものの、世界の約2割を占める世界最大のばれいしょ生産国である(図1)。ただし、種いもの品質が高くないことや、病害の発生などにより、収量はそれほど多くないとされる。  

 生産されたばれいしょの約6割が家庭やレストランなどで生食用として利用される。次いで、飼料用で約2割、でん粉を含む加工用で1割強などとなっている。

 


 


2.ばれいしょでん粉
 業界関係者によると、1トンのばれいしょでん粉を製造するために、約7〜8トンのばれいしょが必要である。ここ数年のばれいしょでん粉生産量を見ると、2014/15年度以降増加傾向で推移しており、2016/17年度は過去最高水準となる60万トンに達すると予測されている。この要因の一つは、先述の相殺関税と考えられている。2007年以降、EU産ばれいしょでん粉に対し、アンチダンピング関税を課しているため、EU産のばれいしょでん粉の輸入量は、2007年および2008年は、減少したものの、2009年および2010年は中国国内のばれいしょ収穫量の落ち込みや旺盛な国内需要を背景に急増した。2011年以降は、相殺関税も課されたこともあり、再び低水準で推移している(図3)。

 相殺関税の延長が、ばれいしょでん粉の生産に与える影響については、引き続き注視する必要がある。





 

ベトナム

【生産動向】
8月の作付面積は前年同月と同水準

 ベトナムの調査会社AgroMonitorによると、2017年8月の調査では、キャッサバの作付面積は、前年同月と同水準の45万7079ヘクタールとなった(表3)。地域別に見ると、中央高原地域が14万8562ヘクタールと最も大きく、次いで南部沿岸地域、北部内陸山岳地域などとなっている。前年同月比を見ると、北部中央地域以外の全ての地域で下回っている。これは、2016年後半から続くキャッサバ価格の低迷により、多くの生産者が収益性に勝るサトウキビなどへ転作したためである。

 キャッサバの供給動向を見ると、主産地である南東地域のタイニン省では8月、主にカンボジアからの輸入により十分な供給があった。2017年のカンボジア産は、天候に恵まれたことや病害の影響が少なかったことから、国内産よりもサイズが大きく、でん粉含有率も高いと評価されている。一方タイニン省産は、悪天候や病害により、収穫量と品質は前年度を大きく下回っている。

 中央高原地域や南部沿岸地域のうち、ダクラク省やザライ省などでは、収穫期に入ったことにより、8月下旬から9月上旬にでん粉工場の操業が再開された。しかし、トレーダーによると、2017年におけるこれらの地域のキャッサバ供給量は、前年を30〜40%下回ると見込まれている。

表3 ベトナムのキャッサバ作付面積

【貿易動向】
8月の輸出量は前月からやや増加

 AgroMonitorによると、2017年8月のタピオカでん粉輸出量は、15万812トン(前年同月比6.1%減、前月比3.5%増)と前月をやや上回った(図7)。これは、輸出量が少なかった前月から反発し、最大の輸出先である中国向けがかなり増加したためである。

図7 ベトナムのタピオカでん粉輸出量および輸出価格の推移

ばれいしょでん粉

EU

【貿易動向】
9月の輸出量は前年同月からかなり減少

 2017年9月のばれいしょでん粉輸出量は、2万5324トン(前年同月比7.4%減、前月比28.3%増)と前年同月をかなり下回ったものの前月を大幅に上回った(図8)。同月の国別輸出量は、次の通り。

韓国   5863トン  
 (前年同月比16.2%減、前月比16.1%増)
米国   2493トン  
 (同33.5%減、同2.9%減)
中国   1605トン  
 (同2.7倍、同52.7%増)
日本   522トン  
 (同22.0%減、同20.9%減)

 また、同月の輸出価格(FOB)は、1トン当たり609ユーロ(8万997円、前年同月比3.0%安、前月比1.2%安)と9カ月連続で前年同月を下回った。

図8  EUのばれいしょでん粉輸出量および輸出価格の推移

化工でん粉

 デキストリンおよびその他の化工でん粉(以下「化工でん粉」という)の主要輸出国の、主要仕向け先国別輸出量および輸出価格は以下の通り。

タイ

【貿易動向】
9月の輸出量は前年同月および前月から大幅に増加

 2017年9月の化工でん粉の輸出量は、9万7996トン(前年同月比18.2%増、前月比18.1%増)と前年同月および前月を大幅に上回った(図9)。同月の国別輸出量は、次の通り。

日本     3万7525トン  
 (前年同月比44.5%増、前月比70.3%増)
中国     2万598トン  
 (同1.6%増、同2.8%増)
インドネシア  8091トン  
 (同29.3%増、同22.7%減)

図9 タイの化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

米国

【貿易動向】
9月の輸出量は前年同月からかなり増加

 2017年9月の化工でん粉の輸出量は、2万7155トン(前年同月比10.9%増、前月比6.9%減)と前年同月をかなり上回ったものの前月をかなり下回った(図10)。同月の国別輸出量は、次の通り。

カナダ     7377トン  
 (前年同月比9.9%増、前月比6.9%減)
中国      3162トン  
 (同49.7%増、同1.4%減)
メキシコ   2741トン  
 (同12.0%減、同38.0%減)
コロンビア  1247トン  
 (同20.1%増、同8.2%増)
日本      735トン  
 (同26.2%減、同19.1%減)

図10 米国の化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

中国

【貿易動向】
9月の輸出量は前年同月および前月から増加

 2017年9月の化工でん粉の輸出量は、6210トン(前年同月比39.3%増、前月比1.1%増)と前年同月および前月を上回った(図11)。同月の国別輸出量は、次の通り。

韓国   1752トン  
 (前年同月比2.6倍、前月比5.7倍)
日本   1136トン  
 (同58.0%増、同53.3%減)
香港   439トン  
 (同8.9%増、同2.0倍)

図11 中国の化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

EU

【貿易動向】
9月の輸出量は前年同月および前月からやや減少

 2017年9月の化工でん粉の輸出量は、4万2912トン(前年同月比4.5%減、前月比4.8%減)と前年同月および前月をやや下回った(図12)。同月の国別輸出量は、次の通り。

トルコ   8012トン  
 (前年同月比42.6%増、前月比0.7%増)
ロシア  5429トン  
 (同5.3%増、同13.1%減)
中国   5169トン  
 (同31.7%減、同13.1%増)
日本   3032トン  
 (同11.4%減、同16.8%減)

図12 EUの化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

豪州

【貿易動向】
9月の輸出量は前年同月および前月から減少

 2017年9月の化工でん粉の輸出量は、1995トン(前年同月比8.1%減、前月比20.9%減)と前年同月および前月を下回った(図13)。同月の国別輸出量は、次の通り。

日本         1089トン  
 (前年同月比28.7%減、前月比36.6%減)
ニュージーランド  244トン  
 (同51.6%増、同2.1%増)

図13 豪州の化工でん粉の輸出量および輸出価格の推移

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