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生活に密着した菓子やデザートにも変化

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最終更新日:2018年2月9日

生活に密着した菓子やデザートにも変化
〜『おやつ・間食に関する実態調査2017』より〜

2018年2月

株式会社日本能率協会総合研究所 経営・マーケティング研究部
研究員 土井 晴子

【要約】

 「チョコレート」は大人の女性に支えられ、「高カカオチョコ」が増加している。「おやつ」目的の時は「ビスケット」他、常温流通のお菓子、「食後のデザート」目的の時は生菓子やチルド・冷凍のものが多い。女性30代・40代で、「食後」「ご褒美」シーンの減少が目立っている。子供にとって一番のおやつは「アイスクリーム」である。

はじめに

 菓子・デザート・軽食などの“おやつ(間食)マーケット”の全体像を明らかにするため、株式会社日本能率協会総合研究所では、2017年6月に、15〜79歳の男女個人を対象とした〔本調査〕、および同居している小・中学生を対象とした〔子供調査〕を、『おやつ・間食に関する実態調査2017』として実施した1)。本調査では、2008年からの継続調査で、時系列の変化も捉えている。本稿ではその一部を紹介する。

1.「ヨーグルト」ブームを支えているのは女性60代、「チョコレート」をよく食べるのは女性10代・40代

 菓子・デザート・軽食の19ジャンルの中から、よく食べるジャンルを答えてもらった。最も多かったのは「パン類」(57%)で、次いで「ヨーグルト」「チョコレート」が5割台と続く(図1)。

 「ヨーグルト」「チョコレート」はここ近年、健康にいいと評判のジャンルである。この二つを性・年代別に時系列で分析した。

 「ヨーグルト」をよく食べると答えた人は、女性では60代が8割を超えて最も高く、次いで50代が7割台、70代が6割台、20代・30代が6割弱である。男性の中では70代・60代が5割を超えて高く目立つ。時系列で比較すると、2011年から2017年にかけて、女性60代で20ポイント近く増加しており、次いで女性15〜19歳で15ポイント、女性50代で10ポイント強増えていた。

 「チョコレート」をよく食べると答えた人は、女性では15〜19歳が7割を超えて最も高く、次いで40代が7割弱、30代が約6割である。男性の中では60代が5割を超えている。時系列で比較すると、2011年から2017年にかけて男性60代・女性50代では10ポイント以上増加していた。
図1 よく食べるジャンル

2.「高カカオチョコ」は急成長、シニア女性に加えてミドル女性にも消費が拡大

 ここ1カ月の間に食べたことがあるチョコレートの種類を聞いた。「チョコスナック・チョコ菓子」が約5割、「プレーンなチョコレート」「ナッツ入りチョコ」が4割台で続き、これらがチョコレートの上位の顔ぶれと言えるが、これらは2008年から減少傾向にある(図2)。

 一方、「高カカオチョコ」は2014年と比較して倍増し、3割弱になった。2006年ごろ各社から“高カカオポリフェノール”のチョコレートが続々と発売されてブームとなった。その後いったん落ち着いたが、近年改めて注目を浴びている。

 さらに性・年代別に見ると、男性60代と女性20代〜70代が3割を超えており、特に女性40代・60代では4割近くと高率である。2014年と比較して、女性は20代〜60代で10ポイント以上増加しており、特に30代・40代では25ポイント以上増加した。

 2017年は再び健康効果を訴求したチョコレートがブームとなっている。その背景を見ると、女性のシニア層に加えてミドル層にも消費が拡大したと言えそうだ。
図2 1カ月間に食べたことのある『チョコレート』(複数回答)

3.おやつの定番は「クッキー」「スナック菓子」「和生菓子」、間食は「パン類」「素材菓子」「栄養補助食品」、デザートは「くだもの」

 菓子・デザート・軽食の19ジャンルの中から、よく食べるジャンルを聞き、それぞれそのジャンルの食べる目的を聞いた。目的が「おやつ」「食事までのつなぎ・小腹満たし」「食後のデザート」と回答した人を比較した。

 「おやつ」目的の回答を見ると、クッキー・ビスケット・クラッカーが59%と、よく食べる人の6割に達し、19ジャンル中で第1位である。次いで、スナック菓子、和生菓子、チョコレートが5割台と続く(図3)。

 「食事までのつなぎ・小腹満たし」という間食目的の回答を見ると、スナック菓子が27%で、以下、せんべい・あられ・おかき、クッキー・ビスケット・クラッカー、チョコレートが4人に1人の割合である。この4ジャンルは「おやつ」目的で食べる上位とも重なる。食べ応えのある常温で手軽なお菓子が多く、おやつとしても間食としてもよく食べられている。

 一方、パン類、素材菓子・つまみ、栄養補助食品は、「食事までのつなぎ・小腹満たし」目的と答えた人が約2割で「おやつ」目的を上回り、間食として食べることが多いジャンルだった。

 「食後のデザート」が目的という回答は、くだものが49%と最も多く、ケーキ・洋生菓子、プリン・ゼリー、アイスクリーム・シャーベットが4割前後で続く。ケーキ・洋生菓子、プリン・ゼリー、アイスクリーム・シャーベットは、「おやつ」目的としても重なるが、くだもの、ヨーグルトは、「おやつ」というよりも「食後のデザート」目的の方が圧倒的に多い。「食後のデザート」として挙げられたジャンルは、生菓子や冷蔵(チルド)・冷凍のものが多いようだ。
図3 菓子・デザート・軽食を食べる目的

4.「食後に甘いもの」「自分へのご褒美」は女性50代で最も定着、女性30代の「食後に」、女性40代の「ご褒美に」離れ目立つ

 おやつに関する習慣や行動について、当てはまるものを答えてもらった。

 「食後にお茶やコーヒーを飲む」が68%、「家にはいつも菓子やデザートの買い置きがある」が62%、「おやつを食べる習慣がある」が49%である。

 「食後に甘いものを食べる習慣がある」は全体で35%、女性では4割・男性では3割と、女性に多い習慣である。特に女性の50代は54%と半数を超え、20代も45%と多く、これらの年代では2014年と比較して増加している。また、男女とも15〜19歳は食後に甘いものを食べる習慣が拡大しているのが目立つ一方で、女性30代は10ポイント減少したのが特徴的だ(図4)。

 「自分へのご褒美にちょっとぜいたくな菓子やデザートを食べる」は全体で25%だが、女性の36%に対し男性は13%と、大きな男女差があった。女性20代〜50代では4割以上と一般的な習慣だが、2014年と比較して20代・50代では増加傾向なのに対し、40代の減少が目立っている。男性でも、コンビニデザート市場の成長とともに増加し2014年では2割を超えていた40代・50代が、今回一気に低下したのが目立つ。
図4 おやつに関する習慣や行動(複数回答)

5.子供にとって一番のおやつは「アイスクリーム」、好きだが家で食べる機会が少ないのは「ケーキ・洋生菓子」

 〔子供調査〕として、〔本調査〕の回答者と同居している小・中学生の子供に、「好きなおやつ」「家でよく食べるおやつ」を聞いた。

 「好きなおやつ」は、アイスクリーム・シャーベットが87%と最も多く、次いでチョコレート、プリン・ゼリー、スナック菓子、あめ・キャンディ・グミが75%以上で続く(図5)。

 「家でよく食べるおやつ」は、アイスクリーム・シャーベット、スナック菓子がともに61%と同率第1位、チョコレート、あめ・キャラメル・グミが5割以上である。

 アイスクリーム・シャーベットは、「好きなおやつ」「家でよく食べるおやつ」両方で第1位となり、子供にとって一番のおやつだ。一方、プリン・ゼリーは、「好きなおやつ」で上位に入りながら、「家でよく食べるおやつ」では4割と低く、食べる機会はそれほど多くはないようだ。また、ケーキ・洋生菓子、その他デザートは、「好きなおやつ」が6 割以上と多いながら、「家でよく食べるおやつ」では1割台と、子供に人気があるのに家で食べる機会が少ないおやつである。
図5 〔子供調査〕好きなおやつ/家でよく食べるおやつ(複数回答)
【調査概要】
参考文献
1)「おやつ・間食に関する実態調査2017」
http://www.jmar.biz/report/life/17_snack.html
※調査結果の詳細は、別途販売しているレポートをご覧ください。
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 調査情報部 (担当:企画情報グループ)
Tel:03-3583-9272