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でん粉の国内需給

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最終更新日:2019年5月14日

でん粉の国内需給

2019年5月

調査情報部

1. 需給見通し

 農林水産省は、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)により、でん粉に関して適切な価格調整を図るため、半期ごとにでん粉の需給見通しを公表している。3月に公表したでん粉の需給見通しの概要は、次の通り。
 
 
 

(1)でん粉の需要量の見通し

 用途ごとのでん粉の需要量の見通しは以下の通り。

【糖化用向けでん粉の需要量】
平成29でん粉年度は、前年度からわずかに減少

 29でん粉年度は、上期に、暖冬であった前年度と比較して気温が低い傾向にあったことなどから、前年度を1万6000トン下回る、173万7000トンとなった。

 30でん粉年度は、上期は、平年よりも気温が高い傾向で推移し、下期は、異性化糖の需要期である夏場の需要が平年並みで推移するとの見込みから、前年度を2万7000トン上回る、176万4000トンと見通している。

【化工でん粉用向けでん粉の需要量】
平成29でん粉年度は、前年度からやや減少

 29でん粉年度は、製紙向けの需要が減少したことなどから、前年度を1万4000トン下回る、32万3000トンとなった。

 30でん粉年度は、全体の需要がおおむね維持されるとの見込みから、前年度を1000トン上回る、32万4000トンと見通している。

【その他用途向けでん粉の需要量】
平成29でん粉年度は、前年度からかなりの程度増加

 29でん粉年度は、段ボール向けの需要が増加したことなどから、前年度を5万トン上回る、61万4000トンとなった。

 30でん粉年度は、全体の需要がおおむね維持されるとの見込みから、前年度を1万7000トン下回る、59万7000トンと見通している。

(2)でん粉の供給量の見通し

各種でん粉の供給量の見通しは以下の通り。

【かんしょでん粉の生産量】
平成29年産は、前年から大幅に減少

 29年産の原料かんしょについては、植え付けの遅れや9月以降の日照不足および多雨などの影響により、いもの肥大が抑制されたことなどから、かんしょでん粉の生産量は、前年を1万トン下回る、過去最低の2万9000トンとなった。

 30年産は、台風24号による塩害や、収穫ほ場において新たな病害による立枯症状や塊根の腐敗が発生したことから、前年をさらに2000トン下回る、2万7000トンと見込まれている。

【ばれいしょでん粉の生産量】
平成29年産は、前年から大幅に増加

 29年産の原料ばれいしょについては、作柄が平年並みには届かなかったものの、台風による被害などのあった前年産を上回ったことから、ばれいしょでん粉の生産量は、前年を3万1000トン上回る、18万2000トンとなった。

 30年産は、夏場の低温、日照不足および大雨などにより小玉傾向となったことに加え、北海道胆振東部地震の発生に伴う停電の影響により、一部の工場で受け入れ原料の腐敗などによる製造ロスが発生したことから、前年を1万4000トン下回る、16万8000トンと見込まれている。

【コーンスターチの供給量】
平成29年でん粉年度は、前年度をわずかに上回る

 コーンスターチの原料となるトウモロコシ(2017年産)は、わが国のコーンスターチ用トウモロコシの過半を供給する米国において、生産量は前年より1400万トン減少し、3億7100万トンの見込みとなったが、必要量は安定的に供給されたことから、29でん粉年度の供給量はでん粉ベースで前年度を3万2000トン上回る、230万3000トンとなった。

 2018年産の米国のトウモロコシ生産量は前年を500万トン下回り、3億6600万トンと見込まれるものの、これまでと比べ、高い水準が維持されていることから、必要量は安定的に供給されるものと見込まれている。

  このため、30でん粉年度は、需要に応じた供給がなされるものとして、供給量はでん粉ベースで前年度を1万1000トン上回り、231万4000トンと見通している。

【輸入でん粉の供給量】(糖化製品、化工でん粉用)
平成29でん粉年度は、前年度からやや減少

 29でん粉年度は、需要に応じた必要量が輸入され、前年度を8000トン下回る、13万5000トンとなった。

 30でん粉年度は、環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定(TPP11協定)および日EU・経済連携協定(日EU・EPA)に基づき新たに設定された関税割当枠が活用されることなどを見込み、前年度を1万トン上回り、14万5000トンと見通している。

【輸入でん粉の供給量】(その他用)
平成29でん粉年度は、前年度と同水準

 29でん粉年度は、用途に応じた必要量が輸入され、前年度同の9000トンとなった。

 30でん粉年度はTPP11協定および日EU・EPAに基づき新たに設定された関税割当枠が活用されることなどを見込み、前年度を5000トン上回る1万4000トンと見通している。

【小麦でん粉の供給量】
平成29でん粉年度は、前年度同

 小麦でん粉は、主に畜水産練製品向けとして供給されており、29でん粉年度は1万7000トンとなった。
 
 30でん粉年度についても、安定した供給がなされると見込まれ、1万7000トンと見通している。

2. 輸入動向

【タピオカでん粉の輸入動向】
2月の輸入量は前年同月および前月から大幅に増加

 財務省「貿易統計」によると、2019年2月のタピオカでん粉の輸入量は、1万1890トン(前年同月比17.3%増、前月比34.8%増)と、前年同月および前月から大幅に増加した(図1)。

 輸入先国はタイおよびベトナムで、国別の輸入量は次の通りであった。

タイ 1万1882トン
 (前年同月比17.3%増、前月比34.7%増)
ベトナム   7トン
 (同3.8倍、前月輸入実績なし)
 2019年2月の1トン当たりの輸入価格は、4万9201円(前年同月比5.1%高、前月比4.2%安)と、前年同月からやや上昇した(図2)。

 国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

タイ       4万9102円
 (前年同月比5.0%高、前月比4.3%安)
ベトナム  20万9892円
 (同23.7%安、前月輸入実績なし)
【サゴでん粉の輸入動向】
2月の輸入量は前年同月および前月から大幅に減少

 財務省「貿易統計」によると、2019年2月のサゴでん粉の輸入量は、1121トン(前年同月比29.7%減、前月比42.5%減)と、前年同月および前月から大幅に減少した(図3)。
 
 輸入先国はマレーシアおよびインドネシアで、国別の輸入量は次の通りであった。

マレーシア   817トン
 (前年同月比32.8%減、前月比51.3%減)
インドネシア  304トン
 (同19.6%減、同12.6%増)
 
 2019年2月の1トン当たりの輸入価格は、6万319円(前年同月比7.0%高、前月比2.0%高)と、前年同月からかなりの程度上昇した(図4)。

 国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

マレーシア     6万845円
 (前年同月比7.2%高、前月比2.1%高)
インドネシア  5万8908円
 (同6.7%高、同4.8%高)
【ばれいしょでん粉の輸入動向】
2月の輸入量は前年同月からかなり大きく減少

 財務省「貿易統計」によると、2019年2月のばれいしょでん粉の輸入量は、1500トン(前年同月比14.9%減、前月比25.1%増)と、前年同月からかなり大きく減少した(図5)。

 輸入先国はドイツ、デンマーク、オランダおよび米国の4カ国で、国別の輸入量は次の通りであった。

ドイツ    1100トン
 (前年同月比19.4%減、前月同)
デンマーク   300トン
 (同50.0%増、前月輸入実績なし)
オランダ    100トン
 (同50.0%減、前月同)
米国        1トン
 (前年同月および前月輸入実績なし)
 2019年2月の1トン当たりの輸入価格は、8万9776円(前年同月比3.0%高、前月比7.3%高)と、前年同月からやや上昇した(図6)。

 国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

ドイツ     8万3940円
 (前年同月比3.6%安、前月比0.4%高)
デンマーク  8万5153円
 (同3.3%安、前月輸入実績なし)
オランダ    8万3890円
 (同4.0%安、同0.7%安)
米国     941万4444円
 (前年同月および前月輸入実績なし)
【でん粉誘導体の輸入動向】
2月の輸入量は前年同月からかなり大きく増加

 財務省「貿易統計」によると、2019年2月のでん粉誘導体の輸入量は、3万2654トン(前年同月比11.7%増、前月比1.4%増)と、前年同月からかなり大きく増加した(図7)。

 でん粉誘導体の輸入先国は16カ国、主要輸入先国からの輸入量は次の通りで、タイが輸入量の約7割を占めており、次いで中国、ベトナムとなっている(表3)。
 
 2019年2月の1トン当たりの輸入価格は、9万1625円(前年同月比8.1%高、前月比4.6%安)と、前年同月からかなりの程度上昇した。
 
【デキストリンの輸入動向】
2月の輸入量は前月から大幅に減少

 財務省「貿易統計」によると、2019年2月のデキストリンの輸入量は、672トン(前年同月比3.8%増、前月比38.5%減)と、前月から大幅に減少した(図8)。

 デキストリンの輸入先国は12カ国で、輸入量は、上位輸入先国の数量および各国のシェアも含め、月ごとの変動が大きい。

 上位輸入先国からの輸入量は次の通りで、マレーシアとタイで輸入量の約5割を占め、次いでベトナム、ドイツとなっている(表4)。
 
 2019年2月の1トン当たりの輸入価格は、10万9820円(前年同月比10.0%高、前月比6.8%高)と、前年同月からかなりの程度上昇した。
 
【コーンスターチ用トウモロコシの輸入動向】
2月の輸入量は前年同月および前月からかなりの程度増加

 財務省「貿易統計」によると、2019年2月のコーンスターチ用トウモロコシの輸入量は、22万1410トン(前年同月比9.0%増、前月比9.5%増)となり、前年同月および前月からかなりの程度増加した(図9)。

 輸入先国は、米国が約9割を占め、国別の輸入量は次の通りであった。

米国   20万3360トン
 (前年同月比41.4%増、前月比0.6%増)
ブラジル 1万8050トン
 (同2.3倍、前月輸入実績なし)

  2019年2月の1トン当たりの輸入価格は、2万4089円(前年同月比8.7%高、前月比0.5%安)と、前年同月からかなりの程度上昇した。

 国別の1トン当たりの輸入価格は、次の通りであった。

米国   2万4190円
 (前年同月比7.0%高、前月比0.1%安)
ブラジル 2万2944円
 (同2.9%高、前月輸入実績なし)
 
 
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