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〜鹿屋中央高等学校レシピ開発コンテスト〜

さつまいもでん粉応援プロジェクト3年目の取り組み(中編)
〜鹿屋中央高等学校レシピ開発コンテスト〜

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最終更新日:2019年1月30日

2018年11月

はじめに

鹿児島事務所 米元 健太

 8月18日(日)、鹿児島市のかごしま県民交流センターにて、さつまいもでん粉を使った親子料理教室を開催した。当日は、一般公募により申し込みのあった10組25名の親子が参加した。
  当料理教室の目的は、鹿児島県でのみ生産されているさつまいもでん粉の家庭料理への様々な活用を提案し、認知度向上や食品用途としてのさつまいもでん粉の需要拡大を図ることにあり、鹿児島県、JA鹿児島県経済連、鹿児島県さつまいも・でん粉対策協議会、(独)農畜産業振興機構鹿児島事務所の4者で構成される「さつまいもでん粉応援プロジェクト」の4年目の取組として開催した。
 なお、同プロジェクトでの親子料理教室の開催は2年ぶり2回目の試みで、今年は「〜親子でつくろう!夏を乗りきるワンプレートランチとタピオカ風ドリンク〜」と題して行われた。
 
 はじめに、当機構の石井稔鹿児島事務所長から、でん粉の価格調整制度や、さつまいもでん粉の特性・製造手法等について説明を行い、さつまいもでん粉の周知および認知度向上を図った。併せて、参加者には、さつまいもでん粉の原料で、普段目にする青果用のいもとは異なる色をした白いさつまいもの写真を見せた上で、でん粉ゲル4種類(コーンスターチ、ばれいしょでん粉、さつまいもでん粉、「こなみずき」でん粉)に触れてもらい、各種でん粉の触感や特性の違いを体験してもらった。
 
 続いて、料理講師として活躍されている本田かおりさんより、この日のために考案いただいたメニュー5品について紹介いただき、料理教室がスタートした。
 
 (注)本田かおりさんのプロフィール
日本テレビ系「ヒルナンデス」のレシピの女王シーズン3や、MBC「たわわのわ」、「かごしま4」等に出演。栄養士免許、栄養教諭2種免許。現在、鹿児島市西谷山にあるJAグループ鹿児島の複合型商業施設「たわわタウン谷山」で月1回料理教室「Smile Dish」を開催。
 

1.コンテストの模様

(1)調理

 本コンテストは、鹿屋中央高等学校の食のスペシャリストを目指す食物コースの2年生38名を対象に行われた。7月27日に、コンテストに先駆けて、使用する食材であるさつまいもでん粉とグリーンパパイヤの特性などを学んだ上で、各班ごとに試行錯誤を重ね、11月14日の本番を迎えた。
当日は、多くのマスコミが取材に訪れる中、生徒は若干緊張した面持ちで、120分の調理時間内に、これまで準備してきたものをすべて出し切るべく懸命に腕を振るった(写真1、2)。

(写真1 レシピを確認する生徒) 
(写真1 レシピを確認する生徒) 

(写真2 真剣な眼差しで粉砂糖を振る生徒)
(写真2 真剣な眼差しで粉砂糖を振る生徒)

(2)料理紹介

 各班の生徒が完成した料理を展示場所に運ぶと、多くのマスコミがその見事な出来栄えに一斉にカメラを向けた(写真3)。その後、各班ごとに生徒は工夫した点などの料理紹介(プレゼンテーション)を審査員に向けて行った(写真4)。今回のコンテストは、鹿屋中央高等学校の授業としての一面も有しており、食物コース長のコ留教諭は、生徒には自分たちが作った料理を、言葉でも伝える経験も積んでほしいとの思いから、評価の対象外ではあるものの、生徒からの料理紹介も行うこととした。 

(写真3 完成した料理を撮影するマスコミ)
(写真3 完成した料理を撮影するマスコミ)

(写真4 料理を紹介する生徒)
(写真4 料理を紹介する生徒)

 完成した料理やそれぞれの工夫した点(()内は班の名前)は表1のとおり。
(表1)完成した料理と工夫した点等
【おかず部門】
料理名 工夫した点等
グリーンパパイヤ ピザ
・さつまいもでん粉とグリーンパパイヤをたくさん使うレシピを開発した。
・ピザらしさを演出するため、グリーンパパイヤを細く千切りにした。
(班名:ひこれあ)
ぎょうざ

・生地にさつまいもでん粉を使うことで、もちもちととした食感に仕上げた。
・生地の色もグリーンパパイヤをイメージするように鹿児島県産の緑茶粉末を使った。
(班名:2班)

とろっとほわほわ
グリーンパパイヤのトマト煮あんかけspecial
〜鹿屋名産かんぱちを添えて〜

 
・カンパチをさつまいもでん粉で揚げることで、カリッとした食感にした。
・グリーンパパイヤを下ゆですることで、独特の風味を抑えた。
(班名:SHR〜ショートホームルーム)
鹿児島いっぱいだ()()

 
・郷土料理のがね(さつまいもと野菜のかきあげ)をアレンジした。
・大根おろしではなくグリーンパパイヤのすりおろしとした。
(班名:K4
本格中華バラまん
・鹿屋市には黒豚、グリーンパパイヤ、さつまいもでん粉の他にも「バラ園」が有名で、バラに見立てて、バラまんを作った。
・せいろを使うことで見た目にもこだわった。
(班名:A4base)
【デザート部門】
料理名 工夫した点等
パパイヤ好きにはたまらないパフェ

 
・さつまいもでん粉のスポンジが入っていて食感が変わるので、最後までおいしくたべることができる。
・グリーンパパイヤの汁を使って風味の良いババロアを作った。
(班名:N)
グリーン和パイ

・さつまいもでん粉を使ったわらびもちを作る時の水と砂糖の量を工夫した。
・グリーンパパイヤを細かく切り食感を残した。
(班名:あくもにー)

 
グリーンパパイヤのもちもちミルクレープ
・ミルクレープの生地にさつまいもでん粉を入れて、もちもちの食感を出した。
・グリーンパパイヤのコンポートはスライスしたものと刻んだものの2種類を入れて食感の違いを出した。
(班名:MAK)
誰でも簡単!!グリーンパパイヤのパウンドケーキ

 
・どんな人でも作りやすく、おいしく、家庭でも楽しく作れるような簡単なレシピにした。
・グリーンパパイヤの素揚げ、あめ細工をそえて見栄えを良くした。
(班名:りぐのうえもなか)
がっしー
・アイスの中に入れるカラメルソースをグリーンパパイヤの食感が残るように作った。
・グリーンパパイヤは苦味があるので、アイスを少し甘くした。
(班名:たっぴおか)

(3)審査および審査結果

 生徒からの発表を聞いた後、審査員5名は、評価基準である(1)見た目、(2)おいしさ、(3)作りやすさ、(4)独創性(各5点満点、一審査員につき合計20点満点)の評価を行った。
(審査委員(敬称略))
・鹿屋市副市長 今崎裕一(審査委員長)
・鹿屋中央高等学校食物コース長 コ留秀昭
・料理講師 本田かおり
・でん粉原料用さつまいも生産者 田島晴海
・グリーンパパイヤ生産者 平岡健一

 審査の結果、おかず部門の最優秀賞は、「鹿児島いっぱいだ()()〜」が選ばれ、審査員から「郷土料理のがねに高級な感じが出せていてよかった」と評価された(写真5)。デザート部門の最優秀賞は、「グリーン和パイ」が選ばれ、審査員から「全体的に良くまとまっていて、味も見た目もよい」と評価された(写真6)。
【審査結果】
(おかず部門)
最優秀賞:鹿児島いっぱいだ()()
→最優秀賞のレシピはこちらから。
優秀賞:本格中華バラまん
 
(デザート部門)
最優秀賞:グリーン和パイ
→最優秀賞のレシピはこちらから。
優秀賞:誰でも簡単!!グリーンパパイヤのパウンドケーキ
 
(おかず部門、デザート部門共通)
審査員特別賞:パパイヤ好きにはたまらないパフェ
 

 

(写真5 おかず部門最優秀賞のK4の生徒)
(写真5 おかず部門最優秀賞のK4の生徒)

(写真6 デザート部門最優秀賞のあくもにーの生徒)
(写真6 デザート部門最優秀賞のあくもにーの生徒)

 鹿児島事務所では、今後も関係者と連携して鹿児島県内でのさつまいもでん粉の浸透と普及を図るとともに、でん粉の価格調整制度の周知に努め、さつまいもでん粉応援プロジェクトの親子料理教室を通じて、さつまいもでん粉の家庭料理における利用が進むことを期待している。
 
 最後に今回の親子料理教室開催に当たり、ご参加いただいた皆様と、講師を引き受けていただきました本田かおりさんおよび関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。
 

(写真7 記念撮影 (前列中央5名が審査員))
(写真7 記念撮影 (前列中央5名が審査員))

2.鹿屋市農業まつりでの表彰と振る舞い

 11月23日(金・祝)、鹿児島県鹿屋市の霧島ヶ丘公園自由広場で「第42回鹿屋市農業まつり」が開催され、鹿屋市の豊かな自然に育まれた良質な農林水産物を目当てに、3万3千人の来場者で賑わった。
式典では、レシピ開発コンテストの最優秀賞を受賞したおかず部門とデザート部門の生徒に、中西茂市長から改めて表彰状が授与された(写真8)。
 

(写真8 第42回鹿屋市農業まつりの式典で表彰される様子)
(写真8 第42回鹿屋市農業まつりの式典で表彰される様子)

 式典後、出展ブースでは、おかず部門の最優秀賞「鹿児島いっぱいだ()()〜」と、デザート部門の最優秀賞「グリーン和パイ」の振る舞いが鹿屋中央高等学校の生徒により行われたが、レシピ開発コンテストの様子をテレビや新聞で知った方々も大勢訪れ、用意していたそれぞれ250食は、1時間半程度で終わった。
 

(写真9 長蛇の列となった鹿屋中央高等学校のブース)
(写真9 長蛇の列となった鹿屋中央高等学校のブース)

(写真10 振る舞われたグリーン和パイ)
(写真10 振る舞われたグリーン和パイ)

3.最後に

 
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農畜産業振興機構 地方事務所 (担当:鹿児島事務所)
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