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【レポート】 アルゼンチンのトウモロコシをめぐる情勢について

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最終更新日:2012年5月31日

畜産振興部 畜産流通課 (前調査情報部) 石井 清栄

はじめに

アルゼンチンの2010/11年度のトウモロコシ生産量は2375万トンと世界第5位であるものの、肉牛を中心に牧草を利用した畜産が行われ、飼料向けの需要が少ないことから、輸出量はアメリカに次いで第2位です。

一方、日本は世界最大のトウモロコシ輸入国であり、その90%近くを米国に依存していますが、トウモロコシの国際価格(シカゴ市場)がアメリカの在庫率低下などから堅調に推移している中、今後の
 (1)アメリカにおける天候条件悪化などによる生産量減少や品質悪化
 (2)中国における畜産物消費の拡大に伴うトウモロコシの需要拡大
などを考慮すると、飼料関係者にとって原料入手先の多様化が求められるため、アルゼンチンのトウモロコシをめぐる情勢が注目されます。

そこで、農畜産機構は、平成23年11月、アルゼンチンの首都であるブエノスアイレス市の業界団体や周辺の生産現場を訪問し、最近の生産・輸出状況等を調査しました。調査結果は以下のとおりです。

生産について

2011/12年度の生産量は、ラ・ニーニャによりトウモロコシのは種時期に降雨が不足した影響から単収が減少し、対前年7・4%減の2120万トンと見込まれています。(図1)
トウモロコシの生産および単収

輸出について

アルゼンチンのトウモロコシ輸出は、政府の輸出管理政策により、まず国内需要分が確保された上で、天候などによるその年の生産状況により余剰分が輸出に回る仕組みとなっています。

2011年は、生産量の減少及び最大の輸出相手先であるイラン向けが大幅に減少したことなどから、輸出量は前年比13・3%減の1537万トンになりました。しかし、金額ではトウモロコシの国際需給を反映して、同42・5%増の42億9000万ドル(3560億円)となりました。(図2)
トウモロコシ輸出の推移

対日輸出について

日本市場については、2009年まではあまり実績がありませんでしたが、2010年は、アメリカ産が一時期天候不良から品質に低下がみられたことなどから、数量で前年比358・3%増の88万トン、金額で同351・7%増の1億4500万ドル(120億4000万円)と大幅に増加し、過去最高となりました。(対日シェア約6%)

しかし、2011年は、ブラジルからの輸出が増加したことなどから、数量で前年比49・0%減の44万9000トン、金額で同12・2%減の1億2700万ドル(105億4000万円)となりました。(図3)
対日向けトウモロコシの推移

おわりに

アルゼンチンの2011年の生産量は減少すると予想されていることから、輸出についても減少が見込まれます。日本向けの輸出については、アメリカ産と比べた場合、
 (1)海上輸送コストなどの問題
 (2)政府の輸出管理政策
 (3)品種の違い
があり、現在はアメリカ産トウモロコシの補完的な役割に過ぎません。

しかし、天候状況次第では、1ヘクタール9トンとアメリカに迫る単収であり、一部の肥沃な地域では10トンを超え、また、作付け面積を拡大させる余地もあるほか、日本の業界関係者の品質評価
も改善してきています。

今後、日本がトウモロコシの入手先国の多様化を進めようとした場合、同国も有力候補の一国であり、引き続きアルゼンチンの動向を深く注視する必要があります。

【参考】今回紹介しているレポートの詳細は、機構のホームページでご覧いただけます。
http://lin.alic.go.jp/alic/month/domefore/2011/oct/wrepo01.htm

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Tel:03-3583-8196