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【レポート】 増産著しいニュージーランド酪農について

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最終更新日:2012年7月25日

調査情報部 総括調整役 岩波 道生
前田 昌宏

はじめに

近年、ニュージーランドの生乳(搾乳されたままの乳)生産量は、急速に増加しており、乳製品の国際市場において、輸出国としての存在感が増しています。また、中国など新興市場の需要の拡大が見込まれているので、その供給力が注目を集めています。

そこで、農畜産機構は、平成24年2月、生産量増加の要因と今後のさらなる増産の可能性について調査しました。調査結果は以下のとおりです。

生乳生産量の推移

(図1) ニュージーランドおよびオーストラリアの生乳生産量の推移
(図1) ニュージーランドおよびオーストラリアの生乳生産量の推移
ニュージーランドの生乳生産量は世界の2・8%(日本は1・3%)にすぎませんが、その約95%(生乳ベース)を輸出しているため、世界有数の乳製品輸出国となっています。

特にバターや全粉乳(育児用粉ミルクなどの原料)の輸出量は世界第1位で、シェアは5割を超えています。日本にとっても重要な輸入先国で、2011年にはバター5300トン(日本の全輸入量の32%)、チーズ5万6300トン(同26%)を輸入しました。

近年、ニュージーランドの生乳生産の伸びは著しく、2010/11年度(6〜翌5月)は、過去最高の1734万キロリットルを記録しました。同じオセアニアの輸出国であるオーストラリアの生産量が減少しているのとは、対照的な推移です。(図1)

2011/12年度も前年度を1割程度上回り、過去最高を更新する見込みです。

増産の要因

このような増産の要因は、以下のとおりです。
(図2) 乳用牛、肉用牛および羊飼養頭数の推移
(図2) 乳用牛、肉用牛および羊飼養頭数の推移
(1)肉用牛・羊経営からの転換

酪農経営の収益性が好調なため、酪農への転換が進んでいます。羊と肉用牛の飼養頭数は、最近5年間にそれぞれ、22 %減、13%減少しましたが、乳用牛は2005年以降右肩上がりの推移で、2011年の乳用牛頭数は618万頭となっています。(図 2)
(2)牧草以外の飼料給与の定着

ニュージーランドでは、草地に依存した「放牧」が主体でしたが、パームやしの搾りかすを粉末状にしたもの(PKEと呼ばれ、繊維質に富み高カロリー)など牧草以外の飼料の利用量が増加しています。PKEはインドネシアやマレーシアから輸入され、輸入量は、2011年までの5年間で約6倍に増えました。

牧草以外の飼料の活用により、利用可能な飼料の絶対量が増加したことから、面積当たりの飼養頭数が増加しています。

(3)かんがいの普及による酪農用草地の拡大

降水量が少ないため酪農には不向きだった南島のカンタベリー地域では、地下水によるかんがい施設の整備が進んでいます。これにより生産性の高い酪農用草地(写真)が急速に増加しており、増頭が可能となっています。

ニュージーランドにおける過去5年間の生乳増産量の4割超をこの地域が占めており、カンタベリー地域が酪農生産拡大の主役となっています。
かんがい施設の有無による草地の状態の差(カンタベリー地域にて撮影)
かんがい施設の有無による草地の状態の差(カンタベリー地域にて撮影)

おわりに

ニュージーランド酪農は、乳製品の国際価格の上昇を理由とした良好な収益性により、放牧を基本としつつも、コストをかけてでも生産量を増やし、経営全体としてより大きな利益を目指す方向に変化しています。

今後、乳製品の国際価格が引き続き好調に推移すれば、かんがい施設の整備などによる増産余地がまだあると考えられます。

この場合、乳製品の国際市場における影響力が一段と強まり、日本をはじめとする輸入国は、安定的な乳製品の調達や価格交渉のため、ニュージーランドの生産動向を今まで以上に注視する必要があります。

他方、乳製品の国際価格が下落した場合、ニュージーランド酪農は、高コスト体質に変化してしまった生産構造をシェイプアップする必要が生じると予想されます。
なお、今回紹介しているレポートの詳細は、機構のホームページでご覧いただけます。

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このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196



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