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【レポート】消費者の味覚に基づいた牛肉評価基準〜オーストラリア・MSAプログラム〜

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最終更新日:2013年6月28日

調査情報部 伊藤久美

はじめに

MSAのロゴマーク
MSAのロゴマーク
 日本にとって牛肉の最大の輸入相手先のオーストラリアでは、一人当たりの牛肉消費量は約35キログラムと、日本人の3・6倍になっています。
 しかしながら、オーストラリアでは最近、牛肉離れが進んでいます。主な理由は、(1)健康志向の高まり、(2)価格に見合った牛肉の選択の難しさにあります。
 日本では、牛肉の柔らかさを「さし(脂肪交雑)」で判断できますが、脂肪の少ない赤身肉を好むオーストラリアでは、肉質を見ためで判断するのは難しいことです。
 消費者は、鶏肉などと比べて高い代金を支払っても、必ずしも美味しい牛肉が買えないということに不満を持っていました。
 そこで、牛肉の美味しさの指標として、業界によってMSA(ミート・スタンダード・オーストラリア)プログラムが開発されました。
 農畜産機構は、昨年6月、MSAが日本の牛肉ブランド化など産地の独自の取組みの参考になると考え、MSAを巡るオーストラリアの牛肉産業の現状を調査しました。

MSAの概要

MSA牛肉が置かれた精肉店のショーケース
MSA牛肉が置かれた精肉店のショーケース
オーストラリアの肉牛生産は、日本の穀物肥育とは異なり、牧草肥育が一般的です。
 また、北部が熱帯、南部が温帯といった異なる気候条件に対応するために、イギリス原産のアンガス種(温帯種)やインド原産のブラーマン種(熱帯種)など様々な品種が飼養されています。
 牧草の状態や肉牛の品種の違いにより、肉質にバラツキが出てしまうことから、よりきめ細かい項目の評価が必要となります。MSAの肉質評価は、日本やアメリカの評価の2倍の項目が設けられています。
 MSAの特徴は、消費者の試食結果を基に、美味しさの指標として、柔らかさやジューシーさなどを数値化したことです。
 このスコアにより、牛肉の部位ごとに消費者が最も美味しく食べることができる熟成期間や調理方法の明示が可能となりました。つまり、消費者は自分の食べたい調理方法などに応じて、購入する牛肉を選択できるのです。

MSAをめぐる最近の変化

 MSAの開始から約10年、最近、特に注目を集めています。きっかけは、2012年1月、国内スーパーマーケット最大手のウールワースが、MSAで評価した牛肉を積極的に販売展開することを決めたことです。国内牛肉販売量の約4割を占める大手チェーンストアーの動きは、MSAの認知度を一気に高めました。
 オーストラリアでは好調な経済を背景に、高価でも美味しい牛肉を食べたいというニーズが高まっています。ウールワースは、消費者が高付加価値牛肉を求めていることに着目し、MSAを1つのブランドとして売り出したのです。
 MSAは今では、消費者が牛肉を選択する重要な情報といえるでしょう。
 食品事業者を対象としたアンケートでは、多くの事業者が「MSA牛肉はリピート購入率が高い」、「MSAは自分のビジネスの付加価値なる」と高く評価しています。
 MSAに適合した牛肉は、流通業者・消費者から高い評価を得ていることで、高付加価値牛肉として高値で取引されています。これが、オーストラリアの生産者にとっても、より高品質の牛肉を生産しようとする誘因ともなっています。
オーストラリアでは東部の州で肉牛が多く飼養され、特にクイーンズランド州は最大の生産地
オーストラリアでは東部の州で肉牛が多く飼養され、特にクイーンズランド州は最大の生産地

今後の動向

アンガス種の種雄牛
アンガス種の種雄牛
オーストラリアの肉牛生産は、消費者の好みに合った牛肉にシフトしつつあります。
 例えば、肉牛の主要生産地で、日本にも多くの牛肉を輸出しているクイーンズランド(QLD)州では、肉牛の品種が肉質の劣る熱帯種から、肉質の良い温帯種やその交雑種に切り替える動きがみられています。MSAの普及がさらに進めば、消費者の好みに合った牛肉生産が加速するでしょう。
 日本の牛肉の産地でも、オレイン酸といったうま味成分など消費者の味覚を用いた基準で、牛肉の美味しさを評価する試みがあります。こうした評価により各産地の牛肉の特色が示されれば、消費者は自分の味覚に合った牛肉を選ぶことが可能になるのではないでしょうか。
 このような評価手法が、牛肉のブランド化の確立に役立てられることを期待しています。
 なお、機構のホームページに『牛肉の付加価値を高める豪州のMSAプログラム』と題した詳細なレポートも載せておりますので、こちらもぜひご覧ください。

URL:牛肉の付加価値を高める豪州のMSAプログラム
http://lin.alic.go.jp/alic/month/domefore/2012/oct/wrepo02.htm
 

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このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196



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