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第一線から

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最終更新日:2013年7月3日

飼料用米を用いて地産地消の養豚経営を実践〜岐阜県揖斐川町〜

山川 忠一郎さん
山川 忠一郎さん
 岐阜県北西部に位置する揖斐郡揖斐川町は、周囲を標高1,200メートルの山々に囲まれ、また、木曽三川の一つである揖斐川が町内を貫き、川沿いに水田地帯が広がる自然豊かな町です。
 その田園に周囲を囲まれる立地の中「菖蒲谷牧場」の屋号で養豚を営んでいるのが山川忠一郎さんです。山川さんは、平成20年に東京の大学を卒業して実家に就農。平成22 年に父親の忠郎さんが60歳を迎えたことを機に、経営を引き継ぎました。現在は両親と妻の4人で、年間約900頭の豚を生産、出荷しています。

◆地元産米を豚の飼料に

 菖蒲谷牧場の大きな特徴の一つは、地元の水田で作られた飼料用の米を豚の飼料として活用していることです。
 一般的に、豚に与える飼料はトウモロコシが中心で、そのほとんどは輸入品に頼っています。食料自給率の向上が求められている中で、国産の米を家畜の飼料として活用する取組みが全国で広がっており、米を与えていることを特徴にブランド化されているものもあります。
 地元産の米を飼料として使い始めたきっかけは、忠郎さんが7〜8年前に、消費者から「この豚肉は、国産の飼料で育てられた豚の肉ですか?」と尋ねられたことです。この問いかけを受けた忠郎さんの心には、輸入飼料を使い続けることへの疑問や自給率向上に貢献したいという思いが湧き上がってきました。
 「消費者にしっかりと説明のできる安全・安心な豚肉を生産したい」と考えるようになった忠郎さんは、平成20年から地域内の稲作農家の協力を仰ぎ、飼料用米の生産を開始しました。菖蒲谷牧場自体も小規模ながら稲作を行っていたこともあり、稲の収穫作業や収穫後の輸送を受け持つことで、養豚農家と稲作農家とが手を携えた飼料用米生産を実現することができました。

◆より多くの飼料用米を豚に与えたい

養豚経営安定対策事業のしくみ
 この取組みは忠一郎さんにも引き継がれ、平成 24 年度は 50 ヘクタール以上の水田で生産された飼料用米が菖蒲谷牧場の豚に給与されており、地域内の水田活用に大きな役割を果たしています。
 山川さんは、飼料会社が通常、工場で行う飼料の配合も自分で実践しています。そのため、飼料用米の配合割合などの工夫を行いやすく、豚も米を好んで食べたことから飼料用米の配合割合を増やしていきました。
 その結果、一般的な飼料用米の給与事例では、給与割合は 10 〜 30 %のところ、山川さんの経営では飼料全体の 60 %を飼料用米が占めている状況です。残り 40 %の麦や穀物も将来的には岐阜県産に切り替えていきたいと山川さんは考えています。
 養豚経営では生産コストの6〜7割を飼料代が占めていることから、経営の収益はトウモロコシや小麦などの輸入穀物価格の変動に大きな影響を受けます。また、山川さんのように飼料を国産のもので調達している生産者であっても、国産飼料は輸入飼料と比較して割高です。加えて、季節要因や豚肉輸入量の影響も受けるため、豚肉の相場が大幅に下がると、収益が一時的にマイナスになってしまうことがあります。
 当機構では、養豚経営の収益性を確保することを目的として、収益がマイナスになった場合に補?金を交付する養豚経営安定対策事業を実施しており、山川さんもこの事業に参加して経営の安定を図っています。

◆6次産業化の取組みも実践

 菖蒲谷牧場のもう一つの特徴は、母親の房子さんが中心となり、自宅敷地内に豚肉加工施設を整備し、6次産業化の取組みを行っていることです。商品ラインナップは精肉やハム、ソーセージのほか、ハンバーグや豚丼の具などバラエティに富んでいます。 
 注文は、町内の消費者から電話やFAXで受けつけ、移動販売車で直接届けています。移動販売は、消費者の顔を直接見ながら行い、また、地産地消の魅力を伝えることができるため、山川さん家族も消費者の意見や感想を直接肌で感じながら、さらに品質の高い商品開発に取り組んでいます。 
 「自分の身の丈に合った経営で、東京などの大消費地向けの展開ではなく、なるべく地元の消費者の方に地元産の豚肉、ハム・ソーセージを味わってほしい」と話す山川さん。地元産の飼料用米、地元産の豚肉、そして地元での消費にこだわるこの取組みは、地域活性化の源として大きな期待が寄せられています。
菖蒲谷牧場の加工品は、移動販売の他JAファーマーズマーケットでも販売されています。
菖蒲谷牧場の加工品は、移動販売の他JAファーマーズマーケットでも販売されています。

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