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【alicセミナー】干ばつの影響を受けた2012年の米国トウモロコシ事情 中国のトウモロコシ需給事情

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最終更新日:2013年8月5日

調査情報部調査役 小林 誠 
調査情報部審査役 河原 壽

 平成24年10月12日に開催したalicセミナーでは、米国および中国のトウモロコシについて報告会を行いました。以下にその概要をご紹介します。

米国の干ばつは深刻だが、収量は悪くない

 米国のトウモロコシは約85%が米国中西部のコーンベルト地帯で生産されています。今年は6月中旬頃からコーンベルト地帯に乾燥状態が広がり、8〜9月には深刻な干ばつとなり、9月以降も降雨は限定的でした。冬期の降雨や降雪が少なければ来年度のトウモロコシ生産も危ぶまれています。しかし、今年度の主要生産州では作付が早かったアイオワ州やミネソタ州、かんがい設備が整ったネブラスカ州では平年作以上が約5割を上回っており、収穫量は思ったほど悪くありません。
 生育が早く進んだため、収穫は例年よりも早めに進み、収穫時の 水分も15〜18%と低めです。小粒ですが、収穫・乾燥段階でトウモロコシの粒が砕けることも少ないようです。
 米国では、ガソリンに一定割合のバイオ燃料(エタノールは10%)を混合することを義務付けています。トウモロコシの増産を支えてきた一方、不作時には価格高騰の要因との批判もありますが、エタノール精製時の副産物として栄養価が高く飼料として利用価値のあるDDGS(乾燥醸造粕)が生産される利点もあります。EPA(米国環境保護庁)は6州の知事からの要請を受け、エタノールの混合義務の停止を検討していま すが、停止してもトウモロコシの価格にはほぼ影響が出ないとの見方もあり、停止の判断は行わない可能性が高いとみられます。
かんがいの有無によるトウモロコシの米国における生育状況(インディアナ州中部・コロンバス周辺にて撮影)
かんがいの有無によるトウモロコシの米国における生育状況(インディアナ州中部・コロンバス周辺にて撮影)

中国はきびしい需給状況が継続

 中国では、畜産業の発展による飼料用トウモロコシの需要拡大や、トウモロコシ由来の異性化糖およびアルコールの工業用需要の増加により、ここ3年でトウモロコシの輸入量が大幅に増加しています。また、トウモロコシ価格が高騰したことにより、トウモロコシより安価な小麦が養豚の代替飼料として消費され、小麦の需給もひっ迫しています。
 今後も、飼料・工業用需要の増加傾向が続く見込みですが、経済発展の減速による食肉需要の減少により、トウモロコシの需要拡大は緩やかになる可能性があります。また、大豆からトウモロコシへの転換によって作付面積は増加していますが、気象条件の制約から生産量拡大も今後緩やかになると考えられます。人口が減少に転じると予測されている2030年が需給トレンドの分岐点になると予想されます。当面の輸入量は、 小麦の作柄とトウモロコシの飼料・工業用需要の動向に影響されると考えられます。
中国のおけるトウモロコシの需給動向
中国のおけるトウモロコシの需給動向

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