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【alicセミナー】タイの砂糖生産動向 〜国際砂糖価格の下落とエタノール政策を背景に〜

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最終更新日:2014年1月8日

調査情報部 審査役 河原 壽、植田 彩

  10月11日に開催したalicセミナーでは、タイの砂糖生産動向について、職員が調査報告を行いました。

国際砂糖価格の下落を背景とした砂糖生産の動向

 タイは、世界有数の砂糖、タピオカでん粉(キャッサバが原料)の生産・輸出国で、砂糖の生産量は世界第5位、輸出量は第2位、また、タピオカでん粉は生産量、輸出量ともに世界第1位となっています。

収穫面積増加の背景

 タイのサトウキビ収穫面積は、国際砂糖価格の上昇や害虫被害によるキャッサバからの作付転換により、2008/ 09 年度から2010/ 11 年度にかけて増加し、現在もその水準を維持しています。
 2012/ 13 年度は「サトウキビ・砂糖委員会」が定めるサトウキビ価格が、年度初頭は引き下げられたものの、別途、サトウキビ・砂糖基金からの上乗せがあったため、農家の生産意欲は維持され、収穫面積も維持されると考えられます。
グラフ1

サトウキビの増産に向けて

 タイのサトウキビ生産は天水利用が多いため、年度により単収が大きく変動します。政府は、単収の安定による農家の収入安定を目指すため、適地適作とかんがい、土壌改善などを考慮し、単収と生産量の増加を目指す農地ゾーニング制度の導入を2013年2月に公表しました。

製糖業の課題と動向

さとうきび
 タイの砂糖工場の1工場当たりの能力は、主要な砂糖輸出国であるブラジル、豪州とほぼ同水準である一方で、原料となるサトウキビの集荷量が少なく、生産効率の向上が課題となっています。そのため、工場は収穫作業の請負など生産現場に直接関与し、より多くのサトウキビを確保する動きを進めています。
 また、労働者最低賃金の引き上げにより、工場、サトウキビ農家はともにコストが上昇しています。
 砂糖工場は、これに対して糖蜜によるエタノール生産やバガス(搾汁後の残さ)発電など経営の多角化や、小規模工場を傘下に収めるなどの対策を進めているほか、付加価値の高い白糖での輸出量を増加させています。
 またアセアン諸国との関係では、域内の関税撤廃による輸出市場の拡大が見込まれているため、経営効率の向上と共に、アジアの砂糖供給国としての発展が期待されます。

燃料用エタノール政策の砂糖・でん粉産業への影響

燃料用エタノールの政策

 タイでは、「再生可能・代替エネルギー開発計画2012― 2021」を策定し、2021年のエネルギー総使用量における再生可能・代替エネルギーの比率を 25 %、2022年の燃料用エタノールの生産目標を1日あたり9千キロリットルとするなどの目標を掲げています。
グラフ2

燃料用エタノールの生産動向

 燃料用エタノールの原料作物には、サトウキビ(糖蜜)とキャッサバが採用されています。ただし、サトウキビの糖蜜は他用途への需要が大きく、一方のキャッサバはエタノール原料としての余力があるため、今後キャッサバ由来のエタノール生産が拡大する可能性があります。

燃料用エタノールの価格動向と需給動向

 タイ政府は、エタノールを混合した割合に応じてガソリンよりも価格が安くなるように調整することで、エタノール混合ガソリンの消費量を伸ばす試みを行っています。また、2013年1月のレギュラーガソリンの販売停止によりエタノール混合ガソリンの消費が大幅に増加し、需供がひっ迫すると見込まれます。このため、輸出量の大幅な減少、あるいは輸出の停止も考えられます。

砂糖・でん粉産業への影響

キャッサバ畑
キャッサバ畑
 タイでは、燃料用エタノールの原料作物の作付面積や単収の向上を目指した計画が策定されており、その効果が期待されています。
 一方で、エネルギー政策による砂糖・でん粉産業へのマイナスの影響も懸念されています。
 砂糖産業では、サトウキビから油ヤシへの作付け転換が考えられます。また、エタノール需要のひっ迫により、糖蜜を経ることなくサトウキビの搾り汁から直接エタノールを生産する可能性もあり、サトウキビ生産の拡大がなければ、砂糖生産にも影響する可能性があります。
 でん粉産業にとっては、エタノールの買付け価格の引き上げやキャッサバの価格の見直しの可能性から、エタノール仕向け量の増加やキャッサバ生産者の生産意欲低下につながるキャッサバ価格の見直しの可能性が考えられます。

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