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【第一線から】豊かな自然が育む「神の島」の肉用子牛生産(鹿児島県屋久島町)

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最終更新日:2014年3月5日

◆日本で最初に登録された世界自然遺産

 屋久島は、鹿児島県本土から南方約 60 kmの位置にあります。面積は、東京 23 区の8割ほどで、その小さな島に 1000 mを超す山が 40 峰以上連なることから、「洋上のアルプス」と呼ばれています。また、北海道から九州までの気候が一つの島内に分布し、気候の変化にしたがって植生が移り変わる植物の垂直分布が見られます。
 こうした悠久の自然の神秘さから、屋久島は「神の島」とも呼ばれ、1993(平成5)年には、日本で最初の世界自然遺産に登録されました。

◆畜産とかんきつ類の複合経営

子牛に哺乳中の西橋豊啓さん
子牛に哺乳中の西橋豊啓さん
 豊かな自然を舞台にしたエコツアーなどの観光産業が盛んな屋久島ですが、海岸沿いは、温暖多雨な亜熱帯性気候を有し、暖地を生かしたポンカン・タンカンと畜産業との複合経営が営まれています。屋久島における肉用牛の飼養戸数は 39 戸、飼養頭数は1230頭(平成 19 年畜産統計調査)となっており、平成9年と比べ飼養頭数に大きな変化はありませんが、戸数は4割ほど減少しています。近年、高齢化と後継者不足が深刻な問題となっており、現在、農協をはじめ地域の関係機関で畜産業の振興に取り組んでいます。

◆豊かな自然を生かした肉牛繁殖経営

屋久島の天然水を飲み健康な牛たち
屋久島の天然水を飲み健康な牛たち
 その屋久島町で、黒毛和種の繁殖経営を営んでいるのが「西橋畜産」の西橋豊啓さんです。奥さんと息子さんの3人で母牛約 40 頭から子牛を生産し、主に種子島の家畜市場へ出荷しています。
 屋久島は、「1か月に 35 日雨が降る」といわれる雨の島です。山々に降った雨や雪解け水が地下に浸透し、数十年もかけて濾過されたミネラルたっぷりの水で育った牛たちはとても健康的で、生き生きとしていたのが印象的でした。

◆公共牧場の活用などでコスト低減

分娩室のカメラで子牛の事故が低下
分娩室のカメラで子牛の事故が低下
 傾斜地が多く、島の総面積に対する耕地面積の割合は約2%と低いことから、牛に与える飼料作物の生産は限られています。そのため、屋久島町では公共牧場を運営しており、西橋さんも公共牧場に牛の一部を預けることで、飼料費等の生産コストや牛の管理時間の削減を図っています。
 また、鹿児島県の平均分娩間隔は 13 ヶ月を超えていますが、西橋さんの母牛は受胎率が良く、分娩は1年1 産を達成しています。このため、多くの子牛を販売することができ、所得の向上に大きな効果を上げています。
 1年1産の達成や病気の早期発見のために、毎日の牛の健康状態の観察は欠かせません。牛の食欲や反すう、排せつ物の状態の確認など、一頭一頭の状態にあった世話をしています。また、分娩室内にはカメラを設置し、お産前の早朝や深夜でも自宅や牛舎から離れた場所で見守ることが可能になり、子牛の事故が減りました。

◆家族で牛の情報を共有しきめ細かい飼養管理

 毎日の健康状態の観察に加え、西橋さんはホワイトボートに牛の血統、種付け状況、分娩年月日、性別等の情報を記録し、繁殖状況を確認しています。これらの情報を日中に牛の世話をする奥さんと共有することにより、一頭一頭の牛の状態にあったきめ細かな管理を行うことができるのです。また、西橋さんは、子牛の増体がよい血統を選んで種付けをします。これは、購買者である肥育農家が好む血統や高値がつくポイントとなる出荷時の体重を意識しているからです。西橋さんの出荷する子牛のほとんどは、種子島家畜市場の日齢体重の平均を上回っており、市場における評価は高く、特定の購買者も付いています。屋久島の特異な地形が織りなす豊かな自然環境の中で育った牛は、近隣の島々だけでなく、県外の購買者からも注目されています。
衛生的な牛舎で快適そうな子牛たち
衛生的な牛舎で快適そうな子牛たち

◆補給金制度加入で子牛低落時に備え

 最近、配合飼料価格の高騰等の影響により、子牛の生産費が増加しています。現在は黒毛和種の子牛価格が高水準にあることから、一定の収益はあるものの、子牛価格の変動に備え、西橋さんは「肉用子牛生産者補給金制度」に加入しています。
 西橋さんは、今後、息子さんに経営を継承し、将来的には母牛を増頭し、子牛の出荷頭数も増やしたいと考えています。
 種子屋久農業協同組合の屋久島担当常務として、屋久島の肉用牛生産の振興にも尽力されている西橋さんの今後のご活躍を願ってやみません。
仕組み

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農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
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