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【レポート】新たな市場の開拓に向けたタイの鶏肉産業の動き

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最終更新日:2014年3月5日

調査情報部 宗政  修平

はじめに

 タイでは2004年1月に高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)が発生したことで、日本はタイ産生鮮鶏肉の輸入を禁止していました。しかし、昨年、日本とタイ政府との間で清浄性が確認され、家畜衛生条件が整ったことから、2013年 12 月 25 日付で日本向け生鮮鶏肉の輸出が解禁となり、 10 年ぶりに生鮮肉輸入が再開されることになりました。
 タイの鶏肉生産量は、世界の主要鶏肉生産国である米国、ブラジルなどと比べると約 10 分の1程度ですが、鶏肉(生鮮とから揚げや焼き鳥などの加熱加工品)の輸出量は世界第4位を誇り、主な輸出先は、日本や欧州連合(EU)です。タイの鶏肉輸出額(200億円)は、いまや農畜産物全体の 10 パーセント弱を占めるまでに成長しており、鶏肉産業は、タイにとって重要な産業と位置付けられています。
グラフ1
グラフ2

タイ産鶏肉の日本向け輸出状況

 日本の鶏肉輸入を見ると、生鮮と加熱加工品とでは、主な輸入先が異なっており、主に生鮮鶏肉はブラジル、加熱加工品はタイと中国から輸入されています。
 タイ・ブロイラー加工輸出協会によると、タイはブラジルよりも距離的に日本に近いため、今後の日本向け生鮮鶏肉輸出量は 10 万トンまで増加すると見込んでいます。
 しかし、タイはこれまで加熱加工品に重点を置いた生産基盤の確立や販売拡大を行ってきており、現状を踏まえると、タイ産生鮮鶏肉が日本のスーパーなどに陳列されるまでには、しばらく時間がかかるとみられています。

新たな市場開拓

鶏肉の調理例:鶏のから揚げ
鶏肉の調理例:鶏のから揚げ
 タイにとって鶏肉産業は重要な外貨獲得産業であり、今後の持続的な成長のため、さらなる輸出拡大を図っています。 タイが持つ鶏肉の正確なカット技術は、日本の厳しい規格要求(から揚げは1個当たりの重量誤差が+-数gなど)に対応できることから、付加価値の高い製品を生み出す原動力となってきました。
 また、衛生基準の厳しいEU(2012年7月に解禁)に続き、日本との生鮮鶏肉の取引が再開されたことは、タイにとって国際的な信用が確保され、国際市場での輸出が拡大する機会が得られるきっかけになるとみられています。
グラフ3
 タイでは、今後の新たな市場として、経済成長が著しく、鶏肉消費量も伸びている東南アジア諸国連合(ASEAN)が注目されているところですが、2015年に締結予定の自由貿易圏創設のASEAN共同経済共同体(AFC)では、ラオス、カンボジア、マレーシア、フィリピンが自国の鶏肉産業育成のために、輸入鶏肉をセンシティブ品目として保護しているため、輸出拡大の機会は限られている状況にあります。
 このため、タイの一部鶏肉処理工場では、中東の鶏肉消費拡大をにらんで、ハラル認証を取得するなど、新たな市場開拓へ向けた輸出拡大の取り組みを進めています。
 また、タイは、将来的に有望な輸出先として 13 億人の市場を有する中国を視野に入れていますが、中国国内で消費される鶏肉のほとんどは自国産であり、現在、タイ産に比べて価格も安いことから、タイ産が入り込む余地はありません。
 しかし、今後、中国の1人当たり年間鶏肉消費量は現在の8kgから 15 kgまで増加すると見込まれており、これにより中国は自国産だけでは鶏肉が不足し、将来的には輸入国に転じると考えられています。
 さらに、中国国内の富裕層を中心とした品質の高いものを求めるニーズに対応できる技術をタイは有しており、中国の人件費や資材費などの上昇により中国内での鶏肉価格が上昇すれば、タイ産との価格差が縮まり、新たな輸出の機会が生まれることが期待されています。
グラフ4

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