消費者コーナー 「食」の安全・安心や食育に関する情報、料理レシピなど

ホーム > 消費者コーナー > 広報誌 > alicセミナー 中国のトウモロコシ需給事情〜需給緩和の背景〜

alicセミナー 中国のトウモロコシ需給事情〜需給緩和の背景〜

印刷ページ

最終更新日:2014年5月7日

野菜需給部 参与(前調査情報部審査役)河原 壽

3月26日に開催したalicセミナーでは、中国のトウモロコシ需給事情について、alic職員が最新の統計資料のほか、現地調査の結果などを交えて報告しまし
た。

中国のトウモロコシ生産動向

トウモロコシ作付面積は、価格上昇による収益性向上から、大豆からの転換等により増加しています。2 0 1 2 / 1 3 年度、2013/14年度の生産量は、2年連続して2億トンを超えました。

中国のトウモロコシ消費・輸入動向

 畜産業、でん粉、アルコール産業の発展により、トウモロコシの消費量は増加傾向となり、2009/10年度以降は輸入国に転じています。
2012/13年度は、豊作により生産量は消費量を上回りましたが、270万トンが輸入されました。
その理由としては、つぎの3点があげられます。
(1) 収穫前の多雨による良質なトウモロコシの不足
(2) 豊作による卸売市場価格低下の対応策として、中央政府が大規模な国家臨時備蓄買付を行い、良質なトウモロコシがさらに不足
(3) 小麦価格がトウモロコシ価格を上回り、小麦のトウモロコシ代替飼料としての供給が減少し、トウモロコシの飼料需要が増加

今後の需給動向

 2013年は、飼料生産量が鳥インフルエンザ、黄浦江への死亡豚の遺棄事件による鶏肉・鶏卵と豚肉の消費減少により、前年比1・8%減の見込みとなっています。でん粉およびアルコールに係る工業用消費も、景気後退等により減少するものと見込まれて
います。また、2012年12月の六禁令≠ノよる「倹約運動、浪費削減運動」により食料の消費は減少しています。この結果、2012/13年度の国家備蓄量は8000万トンと推計されます。
グラフ

新たな食糧需給政策の模索

 2013/14年度の輸入量は、需給が緩和するなか550万トンに増加すると予測されています。この背景には、国家備蓄臨時買付価格が農民所得を確保するため毎年引上げられ、国内価格が高止まりする一方、国際価格の下落により国内価格が国際価格を上回っていることがあります。中央政府は、2014年中央 一号文件において、市場価格が目標価格を下回る場合、生産者に差額を支給する農産物目標価格制度の実施を公表しました。2014年は東北(黒龍江省、吉林省、遼寧省)・内蒙古の大豆、新疆の綿花について実施し、今後、米、小麦、トウモロコシ、豚等の農産物目標価格保険制度を模索するとしています。

前のページ               次のページ

このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196