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幻の肉「古代豚」のおいしさをお届けしたくて〜埼玉県美里町 白石光江さん〜

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最終更新日:2014年7月2日

美里町
 埼玉県の北西部に位置している児玉郡美里町は、中央以北に平坦地が広がり、南部には陣見山(じんみやま)をはじめとする関東平野北端の山々を望みます。
平坦地では、ブルーベリーを中心とする観光果樹園が点在し、自然と田畑の広がる農村風景が多
く残されています。
白石農場は、南部の山々の麓に位置し、利根川の支流にあたる天神川が近くを流れています。白石農場
は、その礎を築いた白石光江さんに加え、ご主人とご子息の5人で経営をされています。
同農場は、年間約900頭の豚を生産しており、そこで飼育しているのは希少品種と呼ばれる中ヨークシャー種です。生産から加工、さらには宅配業務も行っており、ご家族で多忙な日々を過ごされています。

◆幻の肉「古代豚」への思い

豚舎内の古代豚
豚舎内の古代豚
 白石農場で飼養している中ヨークシャー種は、全国的に見ても生産農家が少なく、現在では希少な品種です。中ヨークシャー種の歴史は古く、明治時代にイギリスから日本に渡り、昭和30年代までは日本の主流の品種でした。しかし、中ヨークシャー種は出荷するまでに9〜10か月という期間を要し、その間にかかる飼料コストの点において生産効率が悪いため、年月とともに経済効率のよいLWDなど三元交配(出荷まで6カ月)に移り変わり、飼育頭数が減少していきました。
白石光江さんが養豚を始めたころは、すでに日本では中ヨークシャー種の飼育は衰退していました。
そんな中、養豚をはじめて数年目に、昔、食べた豚肉のおいしさを求めて中ヨークシャー種の飼育を始めたそうです。
中ヨークシャー種は、肉のきめが細かく、臭みもなく旨味の成分や栄養価も高いとされています。白石農場では、これに肉質の相性の良い大ヨークシャー種を交配させ、「古代豚」の登録商標をとり生産・販売しています。
また、おいしさの8割は品種、2割は飼料で決まると考え、昭和55年から「よりおいしく、より安全・安
心」と「貴重な中ヨークシャー種の保存」をモットーに、古代豚の生産に取り組み始めました。

◆生産者であり加工者であり販売者であること

古代豚工房ではハムやソーセージを手作りで製造
古代豚工房ではハムやソーセージを手作りで製造
 白石農場では、昭和56年から約15年間、生協と取引をしていました。生協の組合員である地元の方々からも美味しいと評判でしたが、より多くの方に自ら美味しい豚肉を届けたいという思いから、平成8年に宅配業務を始めました。当時としては、生産者が直接購入者のもとへ行き、販売することは珍しい
ことでした。
宅配を開始した年にはレストランへの販売も開始。現在ではこれが一番の収入源となっています。
半丸セット(一頭の半分程度)での販売が基本になっていますが、販売した半丸セットの一部(カタやモモなど)や、その加工品の大きさや味を変えるなどレストランのニーズに合わせた受託加工を行う努力もしています。
所有する加工場「古代豚工房」では、桜の薪を使用した直火製法により、添加物を極力減らしてハム、ソーセージの製造を行うなど、美味しさを追求しています。また、意欲的に新製品の開発を行い、飽きのこない、ニーズに合った商品開発に余念がありません。
「道の駅おかべ」の古代豚専用ブース
「道の駅おかべ」の古代豚専用ブース
そんな白石農場の商品は、国道17号線沿いの「道の駅おかべ」で販売しています。「道の駅おかべ」では、週末とイベント時は店頭販売を行うこともあり、その場で購入して召し上がる方も多いそうです。店頭で古代豚を取り扱っている店は少なく、わざわざ遠方から来て購入する方もいます。また、より多くの方に古代豚を味わっていただけるように、インターネットによる販売も行っています。

◆家族の支え

古代豚を愛情たっぷりに育てる白石さん
古代豚を愛情たっぷりに育てる白石さん
白石光江さん一人でスタートした養豚でしたが、20年の時を経て、現在では、ご主人も退職を機に事業に参加。その後、長男夫婦と三男も経営に加わり、家族全員で生産から加工、販売を行っています。
また、古代豚の「安全・安心」のために品質管理を徹底し、ブランド豚のイメージ維持にも努めています。
家族の参加による事業拡大、そして、各人の強い思いが人を動かした結果、幅広い皆様に古代豚を手にしていただける場を開拓していった、そんな姿に強い信念を持ち続けることの重要性を感じました。
今年6月からは新たにJA埼玉ひびきのが展開する「美里万葉の里直売所」(国道254号線沿い)で
加工品の販売を開始したそうです。
これからも発展し続ける白石農場の今後が楽しみです。

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Tel:03-3583-8196