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搾乳ロボットと雌雄産み分け技術で生乳生産の安定を目指す

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最終更新日:2015年7月6日

 近年、酪農においては、後継者の確保が難しく乳用牛飼養戸数は減少傾向で推移しています。平成 26 年の乳用牛飼養戸数は18、600戸となっており、この 10 年間で約4割弱減少しました。飼養頭数や生乳生産量が減少する一方で、一戸当たりの飼養頭数は増えており、酪農家の労働時間は増加傾向にあります。
 生乳(搾ったままの乳)を安定的に生産するための労働時間削減の救世主として注目されているのが、 24 時間体制で乳を搾ることができる搾乳ロボットです。日本のみならず世界的にも注目されているこの技術を先進的に導入し、規模拡大を実現された酪農家を訪ねました。

生乳生産関連データの推移
生乳生産関連データの推移

就農のきっかけは病気の牛を救うこと

栄養士から酪農経営に転身された美穂さん
栄養士から酪農経営に転身された美穂さん

 昭和 45 年(1970年)に開業した須貝牧場は群馬県安中市にあり、オーナーご夫妻と長女の美穂さんの 3名で経営しています。
 後継者である美穂さんは、食品会社で栄養士として勤務していましたが、出産後の牛に病気が多く、飼養頭数が増えないことに苦慮していた両親を手伝っていくなかで、平成 15 年に本格的に経営・管理に加わることになりました。
 就農後は勉強を重ねて分娩前の管理を見直し、牛の健康状態の改善を実現した美穂さん。キャリアを積み人工授精師、そして受精卵移植師の資格を取得しました。

搾乳ロボット導入で24時間搾乳が可能に

 搾乳ロボットを導入したのは、飼養頭数が増え作業要員が必要になったことがきっかけです。1台あたり2〜3千万円以上もする高価な機械であるため、中古機械を導入したといいます。
 導入から6年目となる現在、間仕切りのない広々としたフリーストール牛舎内には搾乳牛 77 頭、それ以外に肉用の和牛や子どもの牛などを含め約150頭がのびのびと飼養されています。最初は搾乳ロボットに怯えていた牛たちも慣れてくると、おとなしく搾乳の順番を待つようになります。
 24 時間いつでも好きな時に搾乳できる環境は、牛にストレスを与えず乳量も増えます。当牧場では搾乳1回当たりの時間は約 10 分で、1日の搾乳回数は平均2・6 回、多い牛では4回ほどになります。また、1頭当たりの乳量は約 28 ?/日で多い牛では 50 ?/日にもなります。
 通常、搾乳ロボット1台当たりの理想的な頭数は65 頭といわれているので、やや頭数がオーバーしている状況のなか、今後は経営を安定させるためにも搾乳ロボットの追加を検討中とのことです。

1 乳房が張ってくると搾乳ロボットに入ります。
1 乳房が張ってくると搾乳ロボットに入ります。

2 手前のブラシで乳房を洗浄します。
2 手前のブラシで乳房を洗浄します。

3 センサーで乳頭の位置を確認し、カップを装着します。
3 センサーで乳頭の位置を確認し、カップを装着します。

4 空気に触れることなくパイプを通って保冷タンクに運ばれます。
4 空気に触れることなくパイプを通って保冷タンクに運ばれます。

搾乳ロボット普及に必要なこと

 「搾乳ロボット導入のためには、牛の体型をロボットにあわせることも大切」と語る美穂さん。
 後ろ足が長すぎたり乳房の位置が水平でない牛の場合、4つの乳頭にうまくカップが装着しないことがあります。その場合は手で搾乳をしなければならず牛にとっても人間にとってもストレスになってしまいます。搾乳ロボット導入と同時に、牛の体型を改良することも検討課題です。

乳牛を増やすための雌雄産み分け技術

 生乳は妊娠、分娩した牛からしか搾ることができません。健康管理はもちろんのこと、発情を的確に判断し、人工授精で高率に受胎させることは非常に大切なことです。また、当然のことながら雌牛が生まれてこなければ生乳の生産は伸びません。このため、一般社団法人家畜改良事業団では雌雄産み分け用の選別精液の生産や受胎率を向上させるための関連技術の改良・開発に取り組み、現場を支えています。
 概ね5年ごとに定められる酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針(酪肉近、平成 27 年〜 37 年)が本年3月に策定され、このなかでも搾乳ロボット等の省力化機械の導入を推進することが明示されました。
 alicでは地域ぐるみで畜産の収益性を向上させる取組を応援しており、酪農の分野では、省力化や規模拡大に役立つ搾乳ロボットなどが注目を集めています。
 機械化により労働時間が短縮され、若者や女性にも酪農へ挑戦できる可能性が広がっています。
 (広報消費者課)
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196



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