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【第一線から】酪農の現場を消費者に伝えたい 〜根室市明郷 伊藤畜産 伊藤泰通さん〜

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最終更新日:2015年11月5日

 北海道の最東端に位置する根室市は、太平洋とオホーツク海に臨み、日本でも有数のさんまの水揚げ量を誇るなど、古くから水産都市として栄えてきました。一方、夏の海霧や冬の厳しい寒さ、火山灰土の痩せた土壌は畑作に適さず、牧草を生産して開拓されてきた酪農地帯でもあります。
 今回お話を伺ったのは、根室市の内陸部にある明郷の有限会社伊藤畜産で酪農を営み、同社の代表取締役を務める伊藤泰通さんです。伊藤畜産は戦後間もない昭和24年に創業した歴史ある牧場で、伊藤さんは3代目の牧場主として経営を継承しました。30歳の時に就農するまで生協のバイヤーとして手腕をふるい、「どうすれば消費者に本当の農業の姿を伝えられるか」を意識しながら仕事をしていたといいます。
 伊藤畜産では、北海道の平均的な酪農家の3倍近くになる288頭の乳牛を飼養し、年間1200tの生乳を生産しています。また、チモシーやクローバーが育つ168haの牧草地は、およそ東京ドーム36個分の広さがあります。牧場の入口横にはレストランがあり、場内には牧草地を歩ける道が続いています。こうした特色ある牧場となった背景には、日本農業に対する伊藤さんの思いがありました。

地図

看板

伊藤さん

◆農業の現場をもっと知ってもらいたい

 伊藤さんが就農されて5年ほど経った2000年頃、日本では行政の効率化が強く求められ、政策や産業の費用対効果が大きな課題となっていました。伊藤さんは「農業には美しい景観の維持や、地域社会の活性化など多面的な価値がある。必ずしも効率化だけでは測れない産業だということを、もっと知ってもらう必要があると思った」と、当時を振り返ります。<br>  そこで2001年、地域の農協青年部の役員5人で協力し、酪農家集団AB―MOBITを設立。5戸の牧場を一周し、牧草地や森の中を歩ける40kmの散策コース「根室フットパス」を整備しました。「根室では畑作はできないが、牧草を育てることで牛乳や肉になる牛を飼っているということを、消費者に実際に歩いて体感してもらいたかった」と、伊藤さんは話します。<br>  そうして、フットパスを通じて牧場を訪れたお客さんから、食事をしたい、酪農体験をしたいとの声を受け、2005年には酪農喫茶を開店し、さらに昨年には、牛舎の梁はりを再利用してデザインされた「レストランATTOKO」をオープンしました。今では観光バスが通う名所となり、牧場で搾った牛乳のソフトクリームや、自身が肥育した「あけさと和牛」使用のメニューに加え、地元の農家が育てた野菜やチーズも販売しています。<br>   伊藤さんは、地元の農畜産物を食べることへの消費者の関心が高まっていると話します。「日本の消費者と生産者が、お互いに少しでも身近な存在になれば」という思いが、伊藤さんの農業を伝える取り組みの原動力になっています。

酪農

ヤギ

◆機械やIT技術を活用し、規模拡大へ

 日本では酪農家戸数が減少し続ける一方で、1戸あたりの飼養頭数は増加し続けています。大規模化に対応する工夫が求められる中、伊藤さんは酪農経営に機械やITを導入する必要性を感じています。「熟練した社員が辞めた時、技術はゼロに戻る。だからこそ、機械などを利用して作業を標準化することが大切」と語ります。
 alicでは、牛が選び食いをしないよう飼料を均等に混ぜ合わせて給与するミキサーフィーダーや、牛の発情を探知してパソコンで管理する発情発見機など、畜産・酪農の収益性向上等につながる機械の導入費用への補助を行っており、伊藤さんもこうした事業を活用しています。
 今後の展望について、伊藤さんは「今の乳価が続けば、3〜4年後に牛舎を増築して増頭したい」と話します。「酪農も店舗も、最初はここまで大きくなると思わなかった。でも、続けていくうちに現在の規模になった」と伊藤さん。気さくな笑顔の中に、明日の酪農を支える力強さが感じられます。
                                           (畜産振興部)

牛

クリーム

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