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【レポート】米国の肉用牛繁殖経営の現状と見通し

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最終更新日:2015年11月5日

調査情報部 渡邊 陽介

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 米国の肉用牛の飼養頭数は減少傾向で推移しており、2014年には最も飼養頭数が多かった1975年以降で最低となりました。これは、2011年、2012年に米国で深刻な干ばつが発生したことにより、子牛の生産を行う繁殖農家で母牛を減らす動きが増加したことが原因とみられています。
 繁殖農家では、通常、牛を放牧で飼うため、干ばつにより草地の状態が悪化すると、飼っている母牛の頭数を減らさざるを得なくなります。母牛が減ると生まれる子牛の頭数も減少するため、その後の飼養頭数に大きな影響を及ぼします。
 飼養頭数が減少した結果、と畜頭数や牛肉生産量が減少し、牛肉価格は高値で推移しています。この状況は、多くの牛肉を米国から輸入している日本にも影響を与えています。
 そこで今回は、米国最大の子牛生産地帯であるテキサス州を中心に、今後の牛肉生産量を左右する繁殖経営の動向について紹介します。

草地の状況は回復傾向

 テキサス州では、2009年から一部地域で干ばつが始まり、2011年から2014年まで、4年連続で深刻な干ばつに見舞われていました。現地の生産者協会の話では、テキサス州の草地は長引く干ばつによって、干ばつ前と比べおよそ35%も減少したと言われています。このため、同州の牛飼養頭数は、2010年から減少傾向で推移し、2014年は母牛の減少が進んだことなどで1100万頭(1月1日現在)と過去最低を記録しました。
 しかし、2015年に入りテキサス州の降雨量は増加しており、草地の状態は改善に向かっているといいます。米国農務省(USDA)が実施した草地の状態に関する調査では、干ばつの被害が最も深刻だった2011年には、草地の状態を「とても悪い」または「悪い」と回答した割合が全体の93%を占めていましたが、2015年には「とても良い」または「良い」と回答した割合が全体の58%を占め、草地の状態が改善していることがうかがえます(図2)。

図

草地環境の改善を受け、飼養頭数は増加に転じる

 干ばつが解消し、飼養環境が改善に向かっていることで、現在では多くの繁殖農家が牛の増頭に意欲的だとみられています。実際に、2015年7月の米国の牛飼養頭数は、前年同月比2.2%増の9840万頭と、増加に転じています(図3)。USDAでは、草地の状態が順調に改善に向かえば2016年以降も飼養頭数は増加傾向で推移し、これに伴う牛肉生産量の増加を見込んでいます。

グラフ

子牛を販売するか、育てるか、選択する繁殖農家

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 頭数を増やすには、自身の農場で繁殖した子牛を育てて妊娠、出産させるか、外部から子牛や母牛を購入するかの大きく分けて2つの方法があります。前者の場合、牛の妊娠期間は約10カ月ですから、増頭には時間がかかってしまいます。対して後者は即効性がありますが、長年に及ぶ干ばつで繁殖農家の収益が低下しているため、牛を購入するための資金確保が困難な状況にあります。これらのことから、増産意欲の高まりに対して頭数の増加が進みにくい状況にあります。
また、需要高により子牛が高値で取り引きされているため、子牛を販売し現金収入を得る方が、子牛を育てるよりも有益だと考える農家もいて、個々の農家では判断が分かれているところです。いずれにしろ、子牛生産地帯では、増頭に対する機運が高まっていることから、今後の進展に期待が持たれるところです。
【参考】畜産の情報2015年8月号「米国の肉用牛繁殖経営の現状と見通し」
http://lin.alic.go.jp/alic/month/domefore/2015/aug/wrepo01.htm

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