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【業務関連情報】精製糖企業によるCO2削減・食品安全への取り組み

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最終更新日:2016年1月6日

 現代においては、各企業の「社会的な責任」が注目される場面が増えています。
 食品製造業の一つである精製糖企業においても、消費者に安定的に製品を供給するという基本的な役割のほか、普段皆さんの目には留まりにくい部分でもさまざまな努力が行われ、社会的な責任を担っています。環境保全への取り組みや食品安全対策などはその例と言えるでしょう。今回は、精製糖企業によるこのような取り組みについてご紹介します。
 なお、今回は業界全体での取り組みについては精糖工業会に、各企業における具体的な取り組みの事例については三井製糖株式会社に、それぞれご協力をいただいてお話をうかがいました。

業界として早期から取り組んだ環境保全

 日本経済団体連合会(経団連)は、CO2削減、産業廃棄物削減など環境保全への各業界の自主的取り組みとして、1997年に「環境自主行動計画」を策定しましたが、国内精製糖企業の団体である精糖工業会では、初年度からこの計画に参画しました。精製糖業界ではこれ以前の1979年からすでに業界全体のエネルギー使用量の把握を開始しており、経団連の取り組みにもスムーズに参画するなど、早くから省エネや環境保全に取り組んできました。

表

CO2削減の取り組み実績

 精糖工業会のまとめによる精製糖業界のCO2の削減実績は、表のとおりです。精製糖業界では、2030年には、1990年比で33%のCO2削減の目標を掲げている中、2011〜2013年の平均では、すでに1990年と比べて30%の削減を達成しています。砂糖需要の減少に伴う生産量の減少という要素もありますが、精製糖業界では、燃料種の転換や省エネ設備の積極的な導入といった取り組みにより、CO2排出量の削減を実現してきました。
 使用する燃料種の面では、重油からCO2発生量の少ない天然ガスへの転換を進めてきました。1990年頃までは重油が65%程度、天然ガスが30%程度であったものが、現在は約8割を天然ガスが占めています(図)。

図

自己制御型ヒーター

 また、ヒアリング先では、設備の面において砂糖液を濃縮・結晶化させる工程で発生する廃熱を回収して再利用するシステムの開発や、結晶と蜜を振り分ける工程での電気効率に優れたモーター、液糖の温度管理のため、タンクにケーブル型ヒーターを直接巻き付ける自己制御型ヒーターなどの、省エネ型設備の導入を行ってきました。
 さらに、配送ロットの大型化やトラック輸送よりも環境負荷の低い船舶輸送や貨物輸送を行うなど、物流面でもCO2削減に取り組んでいます。

食品安全への取り組み

 「企業の社会的責任」という面で最近よく話題になるのが、食品への異物混入の問題です。精製糖企業においても、以前から衛生管理対策に力を注いできましたが、近年は国際的な承認規格であるFSSC22000という食品安全マネジメントシステムを導入し、安全・安心な製品の提供に向けてさらなる努力を続けています。このシステムは、オランダに本部を置く食品安全認証財団(FFSC)が開発・運営している食品安全のための国際認証規格で、安全管理のために行うべき項目が、細かく具体的に定められています。これに基づきヒアリング先の製造現場では、次のようなさまざまな対策が行われています。
 製造における工程の一つ一つにおいて、異物混入など発生する可能性のあるリスクを徹底的に洗い出し、それに対する対策を立てています。例えばポケットの中の物がこぼれ落ちることのないよう、作業着はポケットなしのものにしています。また、各作業を監視するのではなく、作業工程で何も問題がなかったことを証明するために、品質保証カメラを設置しています。
 そのほか、原材料などについても、タイ、オーストラリアなどの国々から輸入される原料糖(粗糖)の残留農薬分析を行うことはもちろん、上白糖やグラニュー糖といった、ユーザー・消費者の手元に届けられる製品の包装材料も万一口に入っても害のない材質を使用するなど、安全であることが証明されたものを使用しています。
 精製糖工場を見学に訪れる多くの消費者の方々からは、普段はあまり身近に触れることのない、このように徹底した安全管理の取り組みに対して、「ここまで徹底した安全対策が行われることによって、安全・安心な砂糖が供給されていることがわかった」との声が聞かれるとのことです。精製糖企業によるこのような地道な努力が、安全・安心な我が国の食生活を支えているのだと言えます。

金属検出器

作業着

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