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【レポート】韓国の食肉需給動向

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最終更新日:2016年3月3日

  隣国韓国の畜産業は、飼料の輸入穀物依存度が高い、アメリカやオーストラリア、ブラジルなどから食肉を輸入しているなどの点で、日本の畜産業と共通しています。また、経営規模や自給率なども似ているところが多い状況です。そこで今回は、日本との比較を交えながら、韓国の食肉需給動向を紹介します。

日本と比較した生産構造

表1

 表1は、韓国と日本の畜産(牛・豚・鶏)について、生産の概況や自給率を示したものです。
(1)肉用牛
 肉用牛農家戸数は日本の2倍ですが、飼養頭数は日本と同程度で、1戸当たりの飼養頭数は24頭と日本の45頭よりも小規模です。また、一頭当たりの枝肉重量が日本と比べて軽いことなどから、牛肉生産量は日本の7割程度で、およそ5割を自給しています。
(2)豚
 養豚農家戸数、飼養頭数はいずれも日本と同程度で、1戸当たりの飼養頭数は1796頭(日本は1810頭)です。また、豚肉生産量は口蹄疫の影響で2011年に大きく落ち込みましたが、翌年には回復しています。なお、飼養頭数は日本よりも多いものの、一頭当たりの産子数が少ない(豚肉となる頭数が少ない)ため、生産量は日本と同程度で、自給率はおよそ8割です。
(3)肉用鶏
 養鶏農家戸数(肉用および採卵用の両方を含む)、飼養羽数はいずれも日本の6割程度です。また、鶏肉生産量は日本の4割程度で、およそ8割を自給しています。

増加傾向にある食肉消費

(1)牛肉
 牛肉の消費量は、増加傾向で推移しています。これに合わせて国内生産量も増えてきています。
 韓国独自の品種である韓牛の肉は、贈答向けの需要が多いとされており、旧正月と秋夕(チュソク)(注)の時期に、年間消費量の約4割が消費されています。

(注)旧暦の8月15日(中秋節)を指す言葉で、この日を含めた前後3日間は祝日となり、日本でのお盆のように、帰省してお墓参りを行う習慣があります。

図1

韓牛

焼肉

(2)豚肉

 豚肉の消費量は、2008年から2011年までほぼ横ばいでしたが、2012年以降増えています。最近では、キャンプブームによりバーベキューなどでの国産豚肉の消費が増えています。焼肉ではバラ肉を多く消費することから、輸入品もバラ肉が中心です。国産品もバラ肉以外の部位は余剰になる傾向にあり、余剰部位の輸出も検討されていますが、国内で口蹄疫が発生しているため、現時点では輸出はしていません。

豚肉

(3)鶏肉
 鶏肉消費は拡大傾向で推移しています。主な鶏肉料理としては、参鶏湯(サムゲタン)が有名ですが、この参鶏湯には鶏の専用品種が使われるため、すべて国産品が利用されています。

鶏肉

サムゲダン

 韓国は、日本と同様に中小零細農家が多いのですが、焼肉や参鶏湯などの料理を通じて国産食肉が多く消費されており、これが国内の畜産生産を支えています。今後も、消費者の国産志向が、生産の拡大・維持のかぎになると思われます。
【参考】 畜産の情報2015年10月号「韓国における自由貿易協定の進展と今後の食肉需給の見通し」

https://lin.alic.go.jp/alic/month/domefore/2015/oct/wrepo01.htm

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