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【レポート】中国のたまねぎ生産の動向

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最終更新日:2016年9月7日

 日本のたまねぎの自給率は約8割です。残り約2割の輸入品のうち、その約8割は中国産です。そこで今回は、中国のたまねぎ生産の動向などについて紹介します。

産地リレーにより継続出荷

生産地

推移

出荷時期

 たまねぎは、中国ではさまざまな地域で生産されています。その中でも、山東省、甘粛省、雲南省が主な生産地です(図1、表1)。また、地域によって気象条件が異なるため、1月から10月にかけて、出荷地域が南部から北部へとリレーされ、継続的に出荷されています(図2)。
(1) 山東省
 北京から比較的近い山東省は、中国最大のたまねぎ生産地です。さらに、最近は、低温貯蔵施設の普及により、栽培規模は拡大しています。また、たまねぎ栽培は農家や合作社と呼ばれる協同組合組織に加え、加工輸出企業も行っています。こうした企業は、100 ha 以上の大規模経営もめずらしくありません。
(2) 甘粛省
 内陸部に位置する甘粛省のたまねぎは、品質が良いことで知られており、生産量の約6割は輸出されています。
 しかし、近年、たまねぎの価格が低迷する一方、生産コストは増加しているため、他作物に切り替える農家が多く、栽培面積は減少傾向となっています。
(3) 雲南省
 中国南西部に位置する雲南省では、たまねぎの収穫は、他産地に先駆けて1月〜4月上旬に行われます。たまねぎは、主に、農家と合作社によって栽培されていますが、現地では、たまねぎを食べる習慣があまりありません。このためいち早く出荷できる利点を生かしてたまねぎを生産し、主に輸出に仕向けられています。その大部分は、山東省の野菜加工輸出企業によって買い取られています。雲南省では、2015年の相場が良かったため、2016年には、たまねぎ栽培面積が増加し、天候にも恵まれたことから、生産量も1割ほど増加すると見込まれています。
 その一方で、近年、土地の賃借料や人件費の上昇に伴う生産コストの増加が課題となっています。

日本は主要輸出国

推移

加工

 中国のたまねぎの主な輸出先は、日本、韓国、ベトナム、マレーシア、ロシアですが、中でも日本は、最大の輸出先です(図3)。毎年安定的な数量となっている日本向けに加え、2015年は、干ばつにより国内生産が減少した韓国向けが増加しています。また、日本、韓国、ロシア向けは、主に黄たまねぎ(皮が黄色い日本で最も一般的な種類)が輸出されていますが、国ごとの需要により、大きさが異なります。日本、韓国向けは、横径8cm以上のものが、ロシア向けは、横径8cm未満のものが主流となっています。一方、東南アジア向けは、黄たまねぎに加え、赤たまねぎ(皮が赤い)も多く輸出されています。
 なお、日本向けの黄たまねぎは、皮をむいた「むきたま」が多く輸出されており、加工・業務用などに仕向けられていますこのように、中国は広大な国土を生かしたリレー出荷と、国別の需要に合わせた輸出により、たまねぎ生産と輸出を拡大してきました。今後は、どのようにして生産コストの増加を抑えるかが、課題になってくるとみられています。
【参考】 月報『 野菜情報』 2016年4月号「 海外情報 主要国の野菜の生産動向等」 

  https://www.alic.go.jp/content/000123596.pdf

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