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【業務関連情報】鶏肉が食肉消費の主役に

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最終更新日:2017年7月5日

 酉年の平成29年がスタートしてから半年が過ぎました。年初は特に酉年にちなんだ鶏肉関連の新商品が相次いで発売され、賑わいました。そこで今回は、国内の鶏肉需給の動向と特徴について紹介します。

豚肉を上回り最も消費される鶏肉

 日本人は従来魚を好んで食べていましたが、食の欧米化が進み、食肉を多く消費するようになりました。昭和35年には1人当たりの食肉(牛肉・豚肉・鶏肉)消費量はわずか3kgでしたが、平成27年にはその10倍の31kgとなりました。その中でも、近年、特に増加しているのが鶏肉です。鶏肉は、牛肉や豚肉と比べて安価でヘルシーなイメージがあるため、消費者の低価格志向や健康志向により人気が高まっています。長年不動の1位であった豚肉を抜いた平成24年以降、日本で最も食べられている食肉となっています。
 

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食肉消費構成の特徴

 食肉の消費構成を見ると、牛肉、豚肉および鶏肉のいずれも、昭和50年代前半までは家計消費(食肉店や量販店などで販売される精肉の消費量)が全体の消費量の半分以上を占めていましたが、平成に入ると外食における消費が増え、家計消費の割合は半分を割っています。
  牛肉は焼肉や牛丼など、鶏肉はフライドチキンや焼鳥など、外食における消費が多いため、その他(業務用、外食等)の割合が高い傾向があります。一方、豚肉は、ハムやソーセージの消費が多いため、加工仕向の割合が高い傾向にあります。
  なお、鶏肉は消費者の国産志向が強いことに加え、牛肉や豚肉に比べて国産の供給力(自給率)が高いことから、家計消費の大半を国産が占めています。また、加工仕向は、サラダチキンやチキンナゲットなどを指し、主にむね肉が利用されています。
 

帯グラフ

過去最高となる鶏肉生産量

円グラフ

 平成28年度の鶏肉生産量は、消費拡大に伴い、6年連続で増加し、過去最高の155万tとなりました(alic調べ)。
 生産量の9割以上を占めるのは、ふ化後、3カ月齢未満の肉用鶏(肉用若鶏または若どり)です。“ブロイラー”といわれている鶏は、この肉用若鶏に含まれます。
 鶏肉には、肉用若鶏の他にも廃鶏とその他の肉用鶏があります。廃鶏(成鶏)とは、食用の卵を産み終えた採卵鶏および種卵(繁殖用の卵)を産み終えた種鶏をいい、スープやレトルト食品などの原材料としても広く利用されています。また、その他の肉用鶏とは、3カ月齢以上の肉用鶏をいい、一般的に「地鶏」、「銘柄鶏」といわれるものが含まれます。しかし、地鶏や銘柄鶏でも、3カ月齢未満のものは肉用若鶏に含まれます。

日本人のもも肉嗜好

 国産鶏肉の卸売価格(東京)をみると、もも肉はむね肉に比べて倍以上の価格で推移しています。この傾向は海外では珍しく、一般的にむね肉価格の方が高い海外と比べ、日本人はもも肉好きであることが背景にあります。
  また、もも肉価格は季節的な変動が見られます。特に冬場は、クリスマスや鍋シーズンでもも肉消費が増加し、上昇する傾向があります。一方、むね肉価格は、加工仕向を中心に年中安定した需要があり、季節的な変動はあまり見られません。最近では、むね肉のヘルシーさをテレビや雑誌でレシピと一緒に紹介されたことなどで、健康志向の気運が高まり、需要も大きくなってきているところで、価格もやや上昇傾向です。

鶏肉輸入量の動向

 平成28年度の鶏肉(非加熱のもの)の輸入量は53万tでした。国別に見ると、ブラジル産が7割以上、タイ産が2割を占めています。タイでは平成16年に鳥インフルエンザが発生し、日本は約10年間にわたってタイ産の輸入を停止していました。輸入を解禁した平成25年以降、タイ産は増加傾向となっています。
 また、日本人のもも肉嗜好を受け、輸入量の大半はもも肉となっています。特にアメリカ産については、主にクリスマス需要向けの骨付きもも肉が高い割合を占めています。
 さらに、平成28年度の鶏肉調製品(加熱処理済みのもの)の輸入量は44万tでした。一般的に、唐揚げ、焼鳥、チキンナゲットなどが該当します。国別にみると、以前はタイ産と中国産がほぼ同量でしたが、近年は、タイ産が中国産を少し上回っています。
 消費者の低価格・ヘルシー志向は今後も続くと考えられることから、これからも鶏肉の消費は堅調に推移するものと予想されます。
(畜産需給部)
 

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グラフ3

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