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【alicセミナー】「ウルグアイの牛肉生産の現状と輸出市場での潜在力」「カナダの養豚・豚肉産業の現状と見通し」

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最終更新日:2017年9月6日

 alic調査情報部では、最新の農畜産物の需給状況などを把握するため、海外調査を実施しています。6月28日(水)に、同部米元 健太から、堅調な牛肉輸出をみせる南米ウルグアイの牛肉事情について、同じく野田 圭介から日本の主要豚肉輸入国の1つであるカナダの養豚・豚肉事情について、調査結果の報告を行いましたので、その概要を紹介します。

国際市場での評価が高いウルグアイの牛肉

 ウルグアイでの主要品種は、温帯種のヘレフォード種やアンガス種で、放牧主体です。肉用牛の飼養頭数は約1200万頭で、牛肉生産量は日本の1.2倍程度です。そして、その約7割が輸出されます。肥沃な草地を利用した放牧肥育の特徴は“ナチュラル”です。(1)抗生物質、(2)成長ホルモン、(3)増体目的の飼料添加物、(4)畜産副産物の使用や給与がいずれも禁止されています。なお、肉用牛の9割は草地を利用した牧草により肥育されますが、残り1割はEU向け高級牛肉無税枠(Quota481)での輸出を前提とした穀物肥育が行われています。100日以上の穀物給与が要件で、牧草肥育の牛より1〜2割高値で取引されます。今後この枠が削減される可能性が懸念材料としてあります。一方、近年加速度的に輸出量が伸びているのが中国向けで、2013年以降は最大の輸出先となっています。ただし、2017年6月に中国がアメリカ産の牛肉の輸入再開に合意したことが、ウルグアイ産の輸出量にどのような影響を及ぼすか、今後注視する必要があります。
 

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 いくつかの課題は残るものの、ウルグアイは優れた牛肉生産環境を有し、その品質が評価されて国際市場での存在感を発揮しています。輸出志向が強いウルグアイは、今後は需要者のニーズをますますくみ取りながら、輸出単価を引き上げて行きたいという意向も持っています。

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豚肉・生体豚の輸出に力を入れるカナダ

 広い国土と豊富な飼料穀物の栽培、また冷涼な気候により動物の疾病が少ないという環境から養豚生産が盛んなカナダの豚肉は、日本をはじめ多くの国に輸出されています。また、豚肉だけでなく、生きたままの豚(生体豚)の輸出も盛んで、主に巨大市場である隣国アメリカへ輸出しています。このため同国は2016年の豚肉輸出量では、EU、アメリカに次いで第3位、生体豚輸出量では2位の中国を大きく上回る1位であり、世界的に重要な位置を占めています。
 豚肉価格の低迷や飼料穀物価格の高騰に伴う生産者の収益性の悪化により、豚飼養頭数が減った時期もありました。しかし、現在は、アメリカ国内で豚の疾病が多発したことにより生体豚需要が増えたり、飼料価格の下落に伴って養豚業の収益性が向上したりしたことなどにより、2014年から飼養頭数は微増傾向で推移、アメリカへの生体豚輸出も増加傾向で推移しています。現在、国、養豚・豚肉業界全体で、カナダ品質保証プログラムやトレーサビリティの法制化などにより高品質・安全性をアピールしながら、輸出促進に取り組んでいます。
 

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 2017年について、カナダの生体豚輸出は増加し、これに伴って豚肉の生産・輸出量は前年をわずかに下回ると、アメリカ農務省は、見込んでいます。とはいえ、低迷期を脱し、豚肉の生産・輸出ともに堅調に推移しているカナダにとって、今後も日本が重要な豚肉輸出先であることは変わりないと思われます。

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