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【レポート】オーストラリアの生体牛輸出

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最終更新日:2018年3月7日

 世界では牛(生体牛)が、年間480万頭も輸出されています。日本の最大の牛肉輸入先国であるオーストラリアは、世界最大の生体牛の輸出国でもあります。日本も、年間1万頭程度の食肉向けの牛(肉用牛)と300頭程度の乳を搾るための牛(乳用牛)をオーストラリアから輸入しています。そこで今回は、オーストラリアの生体牛の輸出の動向について紹介します。

レポ1-1

大部分は東南アジア向け

 オーストラリアは国土が広く、北部と南部で牛の品種や輸出先国が違います。北部から輸出される牛は、全体の9割程度を占めており、熱帯種と呼ばれる熱帯地域に適した品種の牛が、主に東南アジア向けに輸出されています。北部は、食肉処理場が少なく、遠方にあるオーストラリア国内の食肉処理場に輸送するよりも、船で東南アジアに輸送した方が効率的でもあることから、特に西オーストラリア州北部や北部準州北部の牛は、大部分が生体で輸出されます。また、需要者である東南アジアでは、冷蔵・冷凍の物流網が未発達で、常温販売されるウェットマーケット(生鮮市場)が主要な牛肉の購入場所となっており、生体牛を輸入して、国内で肥育・と畜しています。生体での取引が、輸出国、輸出先国ともに効率的な牛の流通形態となっていることが背景にあります。
 なお、南部からは、英国種や温帯種などと呼ばれる肉質がよい品種の牛が中東などに、生乳生産のための乳用種が中国などに輸出されています。

レポ1-2

 輸出先別にみると、インドネシアが最大の輸出先国であり、過半を占めています。しかし、インドネシア政府は、牛肉自給率向上のため、輸入する牛の頭数を制限するなどの政策を実施してきており、同国向けの輸出頭数は同国政府の政策に大きく左右されています。2016年、インドネシア政府は、輸入する牛の頭数を制限する政策を廃止しましたが、代わりに食肉向けの子牛(肥育もと牛)5頭に対し、肥育もと牛の母牛となる繁殖めす牛1頭の輸入を義務付けました。オーストラリアでは、輸出向けの肉用牛繁殖めす牛が十分に確保できないことから、実質的にインドネシア向けの輸出が制限されている状況にあります。

熱帯種

アンガス

乳用種

中国向けが増加傾向

 中国は、インドネシア、ベトナムに次ぐ輸出先国です。中国向けは、乳用種の輸出が中心となってきましたが、2 0 1 5 年、オーストラリア政府と中国政府は、肉用牛(肥育またはと畜向け)に関する家畜衛生条件に合意し、それ以降、中国向けに肉用牛の輸出も可能となりました。中国は、所得の増加に伴い牛肉の消費増が見込まれる一方、同国内の牛肉生産量の大きな増加は見込めないことから、牛肉または生体牛の輸入の増加が期待されています。

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生体牛輸出需要の増加 牛肉価格の上昇要因に

 輸出向けの牛を主に飼養している生産者は、もともと西オーストラリア州北部や北部準州北部が中心でしたが、生体牛輸出需要の増加に伴いクイーンズランド州などの東部や西オーストラリア州の南部などにも範囲が広がってきています。こうした地域では、生産者は、その時々の国内と畜向けと生体輸出向けの取引価格を比較し、より高い仕向先に牛を販売することが可能となり、相互の価格上昇要因となっています。これが牛肉価格の上昇にもつながっており、オーストラリアの牛肉輸出にも影響しているといった意見もあります。

牛肉と生体牛の輸出バランスが今後のカギ

 今後の生体牛輸出頭数は、最大のインドネシア向けが、政策的な制限により伸び悩むことから、オーストラリア全体として80万頭台で推移し、大きな増加は見込めないとされています。しかし、長期的には、インドネシアや中国など、世界的に牛肉需要の増加が見込まれ、肉用牛への需要は増加していくと期待されています。主要な牛肉輸出国であるオーストラリアは、今後、どのように牛肉輸出と生体牛輸出を両立させ、競争力を高めていくかが注目されます。
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Tel:03-3583-8196



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