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【レポート】ニュージーランド産のかぼちゃについて〜生産、輸入の動向〜

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最終更新日:2018年9月5日

 国産かぼちゃの出荷は、ちょうど今の時期、夏から秋にピークを迎え、冬至にかけて需要が高まっていきます。
 しかし、冬から春にかけては、国産かぼちゃの出荷が減少し、その代わりに、輸入かぼちゃが多く出回っているのをご存知でしょうか。
 今回は、輸入かぼちゃの中で最大のシェアを占める、ニュージーランド産かぼちゃをご紹介します。
 

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(1)輸入品のシェアは約4割

 日本で消費されているかぼちゃのうち、輸入品は約4割を占めています。
 高齢化による離農などで、輸入品のシェアが高まった時期もありましたが、近年は、貯蔵・栽培技術の進歩により国産かぼちゃの出荷期間が延びたことで、シェアはやや下がった後、横ばいで推移しています。
 こうした輸入かぼちゃのうちニュージーランド産のものは、価格が国産の約半額と安い上、適切な温度管理により品質も向上している、との流通業者からの評価もあります。
 

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ちづ

(2) 生産は非常に大規模

 南半球のニュージーランドでかぼちゃ生産が始まったのは、1970 年代です。日本と季節が逆で、国産の出荷が少ない時期に多く出荷できることから、日本の輸入業者が産地開拓を行ったと言われています。現在も「えびす」などの日本でも馴染みのある品種が多く生産されています。
 主産地は北島のネイピア地方で、生産量の4割を占めます。
 播種(はしゅ)は9月以降、収穫は翌年1 月初旬から5月半ばにかけて行われています。
 かぼちゃ農家の戸数は同国全体でわずか25 戸ですが、日本の5 割強に当たる8万tものかぼちゃを生産しており、一戸当たりの経営規模が非常に大きいことが特徴です。
 現地を取材した際も、かぼちゃ畑が見渡す限り広がっていたのが印象に残っています。
 今回取材した大手生産者は、経営規模が1,000 ha 以上と非常に大きく、収穫の際は、大型の機械を利用しています。
 さらに、この生産者は、生産したかぼちゃの出荷や輸出まで自社で手掛けています。
 収穫時期には、フィジーやナウルなど近隣の島国から、数十人もの労働者を雇用して作業に当たっています。
 収穫されたかぼちゃはほとんどが輸出向けで、コンテナに詰められ船で輸出されます。日本向けが7割を占めており、その他は韓国や中国向けです。
 収穫されてから日本の店頭に並ぶまでには、およそ20 〜30 日かかりますが、船やトラックの輸送中、12 ℃に温度管理され、品質が維持されます。
 

熱帯種

アンガス

今後も注目される動向

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 ニュージーランド産かぼちゃは、産地開拓から30 年以上経過した現在、スーパーマーケットでも多く見かけられるようになりました。
 今後、「環太平洋パートナーシップ協定(TPP)」が発効すれば、ニュージーランド産についても日本に輸入する際の関税(3%)が撤廃され、メキシコ産と同様無税となることから、輸入かぼちゃの供給先のシェアに変化がみられるのか、今後の動向が注目されます。
(調査情報部 竹谷 亮佑)
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