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【第一線から】でん粉原料用かんしょにかける夢 鹿児島県阿久根(あくね)市けいごえ農園 慶越雅弘(けいごえまさひろ) 氏

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最終更新日:2018年9月5日

 鹿児島県は、かんしょ(さつまいも)の生産量が日本一であり、日本で唯一かんしょを原料にしてでん粉を製造しています。でん粉の原料になるかんしょは、皮が白色で大きいことが特長です。
 今回は、同県阿久根(あくね)市で、地域農業の担い手として、でん粉原料用かんしょを中心とした経営で規模拡大を目指す慶越雅弘(けいごえまさひろ)さん(26 歳)の取り組みを紹介します。
 

地図

コラム

 慶越さんは、ご両親と3人で、かんしょ6 ha (でん粉原料用3・7 ha 、焼酎用2 ha 、青果用0・3 ha )、ブロッコリーなど3 ha 計約9 ha を作付けしています。
 平成24 年、農業大学校時代の経験から、かんしょに魅力を感じ、農業経営を始めました。
  当初は、青果用や加工食品用のかんしょを栽培していましたが、砂地で有機質の少ないほ場が多いため、糖度が上がらず悩んでいました。
そこで、平成27 年から、糖度よりも収量が重視されるでん粉原料用かんしょの割合を増やし、でん粉原料用かんしょを中心とした経営にシフトしました。
 現在は、生産拡大を見据えて、今の作付面積で安定的に収量を確保できるように、日々栽培技術の向上に力を注いでいます。
 

美星牧場豚

最も大切なことは苗作り

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 慶越さんはでん粉原料用かんしょ栽培で最も大切なのは、苗作りだと考えます。「生育の9割が決まる」と話す苗作りは、約1年をかけて行われます。まず、種いもを作るため、ウイルスを持たない「バイオ苗」をJAから購入します。バイオ苗は、春に植え付け、
秋に種いもを収穫します。種いもは、冬から春にかけて暖かいビニールハウスの中で土に埋めておくと、つるが伸びてきます。このつるを一定間隔で切ったものが苗となります。つるが鉛筆よりも太くなるのが理想です。
 苗は、毎年4月から5月にかけて植え付けられ、10 月から11 月頃にでん粉原料用かんしょとして収穫されます。
 

でん粉原料用かんしょの魅力

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 慶越さんにとって、でん粉原料用かんしょの魅力の1つは、安定した収入が見込めることです。これはでん粉原料用かんしょが、生産者とでん粉工場との間であらかじめ契約した価格で取り引きされるためです。  また、出荷するいもの大きさや形状にこだわる必要がなく、他の作物と比べて生産にかける労力が少ないことも、利点です。  慶越さんは「どうしたら収量が増えるのか。常に考え、試しながら農作業を行うのは楽しくて仕方がない」と笑顔で話します。でん粉原料用かんしょの栽培について試行錯誤することそのものが、慶越さんの農業経営の大きな原動力となっています。

将来の目標

 日々奮闘する慶越さんには、周囲からも大きな期待が寄せられています。慶越さんの生産を支えるJA鹿児島いずみの大田指導員は、「地域を背負って立つ生産者として、必ずや成功してモデルケースになって欲しい」と話します。慶越さんのもとには、J A、でん粉製造工場、関係機関や先輩農家などからの支援体制が整っており、地域が一丸となって盛り立てています。
 慶越さんは、将来の目標について、「現在は両親をはじめさまざまな関係者の方に支えていただいている。将来は、法人化して雇用を生み出しながら規模拡大を進め、地元の農産物を活かした6次産業化にも取り組みたい。そして、後輩の農業者を育成することで地域を支える農家として恩返しがしたい」と話します。
 地域の有望な担い手として、慶越さんの今後の益々の活躍が期待されます。
 

でん粉の価格調整制度の仕組み

 alicでは、国内産かんしょでん粉の安定供給のため、でん粉の原料となるいもの生産者及びでん粉製造事業者への支援を行っています。 (特産業務部)

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