消費者コーナー 「食」の安全・安心や食育に関する情報、料理レシピなど

ホーム > 消費者コーナー > 広報誌 > 【第一線から】UFOすいか!? 〜(有)ベジタブルセンターUFO(ユウフォー)を訪ねて〜

【第一線から】UFOすいか!? 〜(有)ベジタブルセンターUFO(ユウフォー)を訪ねて〜

印刷ページ

最終更新日:2019年9月4日

 福岡県北九州市若松区は、九州最北端の玄界灘に面している気候が総じて温暖な土地で、トマトをたくさん食べて赤くなったかっぱの伝説があるほど、野菜に深くなじみのある地域です。今回紹介する有限会社ベジタブルセンターUFOは、そんな北九州市で最大の野菜の経営面積と出荷実績を有する農業生産法人で、すいか、キャベツ、トマトの大規模生産を実現しています。

(有)ベジタブルセンターUFOの皆さん
(有)ベジタブルセンターUFOの皆さん

「UFO」の由来

地図

 代表取締役社長の藤嶋さんは、もともと近隣の農家と共同ですいか栽培を行い、市場に出荷していましたが、後継者の確保や農地の有効活用を目的として、農業生産法人を設立しました。法人名の「UFO」は設立時のメンバー3名の頭文字をとって命名し、区のシンボルであるかっぱをUFOに乗せたロゴは商標登録しています。 

 

すいかの出荷における巧みな連携作業

 UFOでは効率よく作業を進めるため、様々な工夫をしています。完熟の時期を揃えてすいかを収穫できるように、ある程度の大きさになると色分けした着果棒をすいかの近くに立て、その色ごとに収穫していきます。こうすることで広い畑でも一目瞭然でその日収穫するすいかが分かり、1つ1つ確認する手間が省けます。  
 UFOでは、大玉すいかを7月上旬から1ヶ月半ほどの間出荷していますが、その作業は全て人力です。畑からトラックで運ばれたすいかを藤嶋さんが荷台から直接選別台に移しますが、荷台と選別台の間には距離があります。すいかを落とすリスクを減らし、なおかつ効率的に流れ作業をするため、手造りのクッション付きはしごを渡してすいかを選果場へ転がします。その先では女性社員が布巾を使って瞬く間に皮の汚れを落とします。その後、男性社員がすいかを叩いて、その音で瞬時に4種類の等級に分け、それぞれのレーンに流し、その先で重さを量って出荷箱に入れます。その際、重さを量った人から出荷箱に入れる人へとすいかを投げて渡す熟練の技は見事で、その光景を見にくるお客様もいるそうです。すいかの収穫量は多い日で2tトラック4台分にもなり、取材時はトラック2台分(約700個)をわずか1時間程で処理していました。最盛期でトラックが足りない時は荷台にピラミッド型で積むこともあるそうです。 
 

1線1-4

トリミング

UFOのチームワーク

1線1-6

 現在、UFOの従業員は17名おり、30代〜40代の若手社員が多く、人材育成にも力を入れています。藤嶋さんは社員それぞれに畑を任せており、聞かれない限り指導はしません。社員は美味しいすいか作りを実践から学びます。収穫したすいかの出来がふるわなかったとしても、藤嶋さんは翌年に活かせばよいと怒ることはありません。一方で、良いすいかができた時には社員を思い切り褒めるそうです。これによって、社員のモチベーションは上がり、技術力だけでなく、責任感も自然と付いていくそうです。藤嶋さんは「農業は強制的にやらせるのではなく、興味がある人にやってもらうことが1番です。社員はみんな農業が面白いと思って取り組んでいます。」と話します。それは、社員に対し信頼と期待を寄せる藤嶋さんと、それらを力に変える社員とのチームワークから生まれたものに違いありません。  
 

「出会い」を生み出すUFOすいか

 「UFOすいかを食べて美味しかったので、UFOの直売所を探して訪ねてきました」「社員の笑顔あふれる働きぶりを見ると元気をもらえるからつい直売所に寄ってしまう」という言葉をお客様からいただくと、UFOを設立したことで、出会える人の輪と自身の視野が広がったことを実感すると藤嶋さんは話します。  
 現在は九州から関西地方までしかUFOすいかは出回っていないそうですが、玄界灘の潮風に乗り、かっぱを乗せたUFOすいかはどこまで飛んでいくのでしょうか。いつか全国でかっぱ印のすいかに出逢えることを心待ちにしています。  
(野菜業務部)  
 
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 企画調整部 (担当:広報消費者課)
Tel:03-3583-8196