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【第一線から】島のサトウキビ生産のバトンを繋いでいくために〜沖縄県久米島町 サトウキビ生産者輿那嶺(よなみね)さんと有限会社球美(きゅうび)開発の奮闘〜

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最終更新日:2019年9月4日

美しい海に面してサトウキビ畑が広がる久米島
美しい海に面してサトウキビ畑が広がる久米島

 沖縄といえば、美しい海やサトウキビ畑を連想される方も多いと思いますが、そのサトウキビを生産する農家戸数は、高齢化や担い手不足により減少しています。こうした中、沖縄本島(那覇市)から西方100kmにある久米島で、担い手不足などの課題に取り組む方々の姿を紹介します。  
 

オオヤブデイリーファーム代表の大薮裕介さん。牧場の看板は裕介さんが中学生の時にデザインしたものです。

サトウキビ農家 與那嶺さんの取組み

 サトウキビ農家の2代目の與那嶺勉(よなみねつとむ)さんは、ご自身でサトウキビを栽培する一方、10年前から島内の受託作業(※1)も行っています。  
 與那嶺さんは、「島の将来を見据えたら現状を放っておくことはできない。自分のサトウキビ畑は後回しにしてでも、自分がやるしかない」との思いから、平成29年に自己資金でビレットプランタ(※2)の購入に踏み切りました。與那嶺さんの確かな経験による高い植え付け技術に、多くの生産者が信頼を寄せ、現在では、多くの生産者から約30 haの植え付けなどを請け負っています。  

※1  他の生産者のサトウキビの植え付けや収穫作業を代わりに行うこと。  
※2  効率良くサトウキビの苗を植えつけるための機械(写真)。  

 また、「島内の自分より年上の先輩方が暑い中、作業をする後ろ姿を見ていると、島のサトウキビ生産のために、引き続き尽力したいという気持ちが強まる」と語る與那嶺さんは、サトウキビの植え付けや収穫作業の担い手育成にも力を入れています。大型特殊免許を取得している島内の若者に声を掛けたり、島外でビレットプランタなどの機械の導入を検討している生産者に対して講習会を行うなど、與那嶺さんは自らの経験や知識の積極的な共有を図り、労働力の確保や人材育成に取り組んでいます。  
 

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トリミング

有限会社球美開発の取組み

 與那嶺さんのような個人農家による取組みに加え、機械化による作業の効率化や、後継者の育成に島全体で取り組む動きもあります。久米島製糖株式会社の支援のもと、平成22年に設立された有限会社球美開発は、町役場やJAなどとも協力し、補助事業で導入した機械で、約44 haのサトウキビの植え付けや収穫作業を請け負っています。高齢化により多くの生産者にとって農作業が負担になる中、「縁の下の力持ち」として、島内のサトウキビ生産を支えています。
 また、同社は、ほ場の維持や管理をすることで、耕作放棄地の発生の予防に取り組んでいます。同社代表取締役の吉永氏は、「新規就農者や土地の保有者の後継者など、新たに借り手が現れた時に、すぐにサトウキビ生産ができる環境を整備することが重要だ」と語り、これまでに手掛けた農地が5人の農家に引き継がれるなど、島内の持続的なサトウキビ生産の一翼を担っています。
 生産農家戸数が減少する中、島のサトウキビ生産の将来をしっかりと見据え、生産体制の構築に取り組む與那嶺さんと有限会社球美開発。その熱い思いは島内の生産者をより動かす原動力となり、島のサトウキビ生産を支えていくものと考えます。
  (特産業務部)
 

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