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【レポート】米国のブロッコリー生産および日本の輸入状況

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最終更新日:2015年9月2日

調査情報部 野田 圭介

 緑の彩りが鮮やかで、日本の食卓でもおなじみの野菜であるブロッコリー。その国内供給量の2割以上、輸入量(生鮮ベース)の9割は、米国産が占めています。米国においても、日本は、カナダに次ぐ輸出先国となっています。最近では、主産地であるカリフォルニア州での干ばつや、米ドルに対して円安で推移する為替相場の影響により、ブロッコリーの輸入価格は上昇基調で推移しているものの、今後とも生鮮ブロッコリーの輸入相手先は同国が中心とみられています。そこで、今回は、カリフォルニア州を中心とした米国のブロッコリー生産と生産コストおよび日本の米国産ブロッコリーの輸入状況について紹介します。

生産加工がカリフォルニア州に集約

 ブロッコリーの最大生産州はカリフォルニア州であり、米国農務省(USDA)の生産統計によると、2014年の同州の生産量は、全米の生産量の 96 %に当たる 91 万トンに達しました。生産が同州に集中している要因の一つとして挙げられるのが、袋入りのカット・ブロッコリーやブロッコリー・スローを含む生鮮商品の増加です。周年でこれらを生産する加工工場を効率的に稼働させるためには、原料となる野菜を大規模かつ安定的に生産することが求められるため、生産者や加工業者の集約化が進んだとみられています。

表1 米国のブロッコリー生産農場数および生産面積
表1 米国のブロッコリー生産農場数および生産面積

生産・加工がカリフォルニア州に集約

ブロッコリー

 ブロッコリーの最大生産州はカリフォルニア州であり、米国農務省(USDA)の生産統計によると、2014年の同州の生産量は、全米の生産量の 96 %に当たる 91 万トンに達しました。生産が同州に集中している要因の一つとして挙げられるのが、袋入りのカット・ブロッコリーやブロッコリー・スローを含む生鮮商品の増加です。周年でこれらを生産する加工工場を効率的に稼働させるためには、原料となる野菜を大規模かつ安定的に生産することが求められるため、生産者や加工業者の集約化が進んだとみられています。

生産コストの大半は人件費

 スプリンクラーなどのかんがい施設の稼働費に加え、収穫期および収穫後の作業に多くの人手が必要となることから、ブロッコリーは比較的コストのかかる作物であるといわれています。このため、米国の農場では、約 10 万株/ ha と日本の2倍程度に密植したり、定植の手間が省ける直まき栽培を行ったりと、コスト削減に向けたさまざまな工夫がみられます。カリフォルニア州立大学農業普及センターが実施した調査では、同州サンルイスオビスポ郡での生産コストはおよそ1 5 0 0 米ドル/ 10 a( 18 万円)と推定されています。なお、生産者価格は激しく変動しますが、2014年の平均はおよそ881米ドル/トン( 10 万5720円)でした。

図1 ブロッコリーの生産コストの内訳(2012年、カリフォルニア州サンルイスオビスポ郡)
図1 ブロッコリーの生産コストの内訳(2012年、カリフォルニア州サンルイスオビスポ郡)

米国産ブロッコリーの輸入価格は上昇傾向

 2014年 12 月までのデータでは、日本が輸入している生鮮ブロッコリーの約9割は米国産で、残りの1割は主に中国産です。日本の市場では、国産ブロッコリーの入荷量は、 10 月から翌3月にかけて増加します。そのため、米国産ブロッコリーは、春から夏にかけての国産が不足する時期に輸入量が多くなります。近年は米国の干ばつに伴う現地価格の上昇と為替の影響を受け、対日輸出価格は上昇傾向にあり、2010年に169円/kgであった輸入価格は、2014年には214円/kgまで上昇しました。

図2 東京都中央卸売市場における米国産生鮮ブロッコリーの月間平均卸売価格
図2 東京都中央卸売市場における米国産生鮮ブロッコリーの月間平均卸売価格

今後の輸入量を推察

 米国カリフォルニア州では、現在も記録的な干ばつが続いています。同州では、水不足からブロッコリーより少ない水で栽培できるいちごなどの作物に切り替える農家も出てきたとされるなど、ブロッコリー生産への影響が懸念されています。また、米ドルに対して円安で推移する為替相場も、ブロッコリーの輸入に影響を及ぼしているとみられ、米国産ブロッコリーの月間平均卸売価格は上昇基調で推移しています。こうしたことから、今後、輸入量の大幅な増加は考えにくい状況にあるとみられます。

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