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第42回沖縄県さとうきび競作会表彰式及び「さとうきびの日」関連行事の開催

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最終更新日:2018年5月23日

那覇事務所 針ヶ谷 敦子

はじめに

 4月19日(木)に、那覇市内においてさとうきび競作会(公益社団法人沖縄県糖業振興協会主催)の表彰式が開催された。
 さとうきび競作会は、生産技術及び経営改善の面で創意工夫し、高単収・高品質な生産を上げた沖縄県内のさとうきび農家を表彰し、農家の生産意欲を喚起して沖縄県の糖業の発展につなげることを目的として、毎年行われている。
 また、表彰式に先立ち、「さとうきびの日」(毎年4月の第4日曜日)の関連行事として、新里良章氏(元 沖縄県農業研究センター所長)による記念公演及び國吉和雄氏(元 南部地区さとうきび生産振興対策協議会事務局長)による活動事例発表が行われた。

1 記念講演

 新里氏は、「さとうきび生産法人及びコントラクターの省力機械化への提言」と題して講演を行った。生産者の高齢化等に伴う担い手不足解消のため機械化が進む中で、収穫による圃場の踏圧等の影響による収量低迷について、海外の大型機械による収量低迷の事例とその対策を紹介した。また、その中で沖縄県に合った対策として、燃料消費量を抑えることや作業時間の短縮が期待できる小型軽量の牽引型作業機の利用について紹介し、受託組織や生産法人の経営を安定化させることが重要であると報告された。
新里氏による記念講演の様子
新里氏による記念講演の様子

2 活動事例発表

 國吉氏は、「さとうきび大学〜10周年のあゆみ〜」と題して発表を行った。平成20年に発足したさとうきび大学は、南部地区さとうきび生産振興対策協議会を事務局として講習会や意見交換会等を開催し、活発に活動していることが紹介された。さらに、こうした活動は生産者の意欲向上につながり、この10年間で競作会受賞者を12者輩出するという素晴らしい結果を残している。
國吉氏による活動事例発表の様子
國吉氏による活動事例発表の様子

3 競作会表彰式

 沖縄県1位〜3位、奨励農家、多量生産の部、特別優良事例の部において選出された生産者が表彰された。
 なお、当機構は、多量生産の部における農家の部第1位と生産法人の部第1位に対し、「独立行政法人農畜産業振興機構理事長賞」として賞状の授与を行っている。
 
(1)受賞者の紹介
以下、代表的な受賞者を紹介する。
 
≪農家の部≫
 
○沖縄県第1位(農林水産大臣賞)
 仲本 峻 氏(北部地区代表 宜野座村)

〔審査成績〕
栽培品種:農林29号
作型:春植え
蔗茎重量:13,640kg/10a
甘蔗糖度:14.2度
甘蔗糖重量:3,202 kg/10a
講評概要:さとうきび栽培指針を遵守し、作付け後の除草・施肥・防除等の肥培管理を徹底して行っている。さらに、大工の経験を生かし木製の肥料散布機を自作する等、全ての作業で丁寧なきびづくりを実践し、苗ほからの健全苗で発芽率を高める等、茎数確保に努めている。
仲本 峻 氏(沖縄県糖業振興協会から写真提供)
仲本 峻 氏(沖縄県糖業振興協会から写真提供)
○沖縄県第2位(農林水産省政策統括官賞)
 池間 義光 氏(宮古地区代表 宮古島市)

〔審査成績〕
栽培品種:農林27号
作型:春植え
蔗茎重量:13,512kg/10a
甘蔗糖度:13.7度
甘蔗糖重量:3,050kg/10a
講評概要:採苗及び植付は機械を使わず手作業で行う。施肥・殺虫剤散布は背負式散布機で行っているが、農薬は最低限度の使用にとどめ、除草は全て手作業で行っている。また、良い土こそが丈夫で品質も素晴らしいさとうきびを育てると考え、数年に1度は堆肥を投入して深耕している。
池間 義光 氏(沖縄県糖業振興協会から写真提供)
池間 義光 氏(沖縄県糖業振興協会から写真提供)
○沖縄県第3位(沖縄県知事賞)
 波平 一男 氏(南部地区代表 糸満市)
 
〔審査成績〕
栽培品種:農林21号
作型:春植え
蔗茎重量:12,520kg/10a
甘蔗糖度:14.4度
甘蔗糖重量:2,980kg/10a
講評概要:トラクター、耕耘機、管理機を使用し、栽培管理作業のほとんどを自らで行っている。適期適量のかん水を行っているが、今期は少雨だったことから、積極的にかん水を実施した。
波平 一男 氏(沖縄県糖業振興協会から写真提供)
波平 一男 氏(沖縄県糖業振興協会から写真提供)
≪多量生産の部≫
 
○農家の部 沖縄県第1位(独立行政法人農畜産業振興機構理事長賞)
 新本 敏幸 氏(竹富町 波照間島)

〔審査成績〕
さとうきび生産量:468,000kg
甘蔗糖度:15.1度
講評概要:経営面積10haのさとうきび専作農家である。植付から肥培管理の各作業を自己所有の農業機械で行い、収穫は刈倒機を活用した波照間島特有の組み組織による手刈り作業が中心である。かんがい施設が整備された圃場では点滴チューブを活用して初期のかん水を心がけている。
新本 敏幸 氏(沖縄県糖業振興協会から写真提供)
新本 敏幸 氏(沖縄県糖業振興協会から写真提供)
○生産法人の部 沖縄県第1位(独立行政法人農畜産業振興機構理事長賞)
  農業生産法人 八重山農園有限会社(石垣市)

〔審査成績〕
さとうきび生産量:1,329,880kg
甘蔗糖度:13.2度
講評概要:平成2年に設立され、構成員3名、経営面積32.5haの農業生産法人である。所有する農業機械で効率的に植付から肥培管理まで行っている。収穫作業も委託による機械刈りを行っており、地域に先駆けて機械化一貫体系を取り入れ、省力化栽培を実践している。また、株出しは2回まで行い、4年3収で更新することによって作業削減とコスト低減化を図っている。
農業生産法人 八重山農園有限会社 代表取締役 佐久川 義雄 氏(沖縄県糖業振興協会から写真提供)
農業生産法人 八重山農園有限会社 代表取締役 佐久川 義雄 氏(沖縄県糖業振興協会から写真提供)
(2)表彰式の様子
  はじめに、沖縄県糖業振興協会の長嶺豊理事長が受賞者を称え、今後の糖業振興と地域の発展に向けた理解と協力を呼びかけた。その後、受賞者に賞状および副賞の授与が行われ、「独立行政法人農畜産業振興機構理事長賞」の受賞者には、当機構理事長佐藤一雄から賞状が手渡された。
当機構理事長 佐藤一雄が賞状を手渡す様子
当機構理事長 佐藤一雄が賞状を手渡す様子

おわりに

 表彰式には、受賞者の他にJA職員や製糖工場の職員等、糖業関係者が多数出席していた。表彰式後には関係者も交えた記念撮影も行われ、嬉しそうな表情で受賞者を囲んでいた様子が印象的だった。受賞者である生産者はもちろん、地域の関係者全員で協力していくことが、こうした受賞者の輩出となり、ひいてはさとうきび生産者の生産意欲向上と、さらなる品質や収量の向上に繋がることが期待される。
受賞者集合写真
受賞者集合写真
このページに掲載されている情報の発信元
農畜産業振興機構 地方事務所 (担当:那覇事務所)
Tel:098-866-1033