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砂糖・でん粉に係る制度改正の概要について

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最終更新日:2008年12月2日

2006年9月
農林水産省生産局 特産振興課
法令係長 米田 立子


1
改正の背景及び趣旨
2
改正の概要

先般、第164国会において改正法が成立し、平成19年から施行されることとなった砂糖・でん粉に関する新たな制度は、生産者に対する政策支援の手法を改める等の点で、昭和40年に糖価調整制度が創設されて以来の大改正であり、これまでの施策を大きく変える転換点となる改正となります。この制度改正については、本誌においても折に触れ取り上げられているところですが、7月に関係政省令も公布されたことから、その概略について簡単に御紹介いたします。

今回の改正の背景には、農政改革の一環として、品目横断的な経営所得安定対策が導入されることを契機に、砂糖・でん粉分野においてもこれに対応した施策体系を構築することが要請されたことに加え、
(1)
短期的な課題としての、砂糖の調整金収支における構造的な赤字を解消し、市場シグナルを反映した価格形成の仕組みへの移行
(2)
長期的な課題としての、WTO・EPA等の国際規律の強化に対応したより透明性の高い制度への移行や、国産の砂糖・でん粉についてのさらなるコスト削減を図る必要性が高まってきていたこと
が挙げられます。これらの課題への対応方策を検討するため、平成16年夏に「砂糖及びでん粉に関する検討会」が設置され、関係者の方々による熱心な議論を経て、昨年3月には報告書がとりまとめられました。今回の改正は、この報告書で打ち出された方向性を踏まえ、その内容を具体化したものとなっています。
この制度改正の骨子としては、大きく分けて、(1)砂糖・でん粉の原料作物に係る最低生産者価格の廃止と生産者に対する直接支払いへの転換(2)でん粉に関する価格調整制度の導入の2つとなります。これらの改正の方向性は、同じく昨年3月に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」において、施策の対象となる担い手を明確化した上で、その経営の安定を図る対策に転換するという農政全体の見直し方向にも即したものであり、今後の砂糖・でん粉政策の基礎となるとともに、農政の方向を指し示す道筋のひとつともなります。

(1)砂糖の価格調整に関する法律の一部改正

今回の制度改正においては、砂糖の価格調整に関する法律(以下「糖価調整法」という。)について、次のような改正を行うとともに、法律の題名が、「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」と改められます。


ア)砂糖に関する制度の主な改正内容


(1)甘味資源作物の生産者への支援(甘味資源作物交付金)

現行の糖価調整法においては、政府が定める最低生産者価格以上で買い入れた甘味資源作物を原料とする砂糖について交付金を交付するという制度の下、甘味資源作物の生産者の手取りを保証するという仕組みがとられていました。今般の改正では、砂糖の市況が生産段階に的確に伝達され、需要動向に応じた生産が行われることを確保するため、最低生産者価格制度を廃止し、甘味資源作物の生産コストのうち、甘味資源作物の取引価格(原料代)として生産者に対して支払われる額をもっては賄えない部分について、(独)農畜産業振興機構(以下「機構」という。)の予算内で直接交付金を交付する方式に改めます。
具体的には、甘味資源作物の栽培適地として農林水産大臣が指定する地域内で、改正後の砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律施行規則(以下「施行規則」という。)に定める要件を満たす生産者が国内産糖製造事業者に売り渡した甘味資源作物であって、同じく施行規則に定める糖度及び用途を満たすものについて、糖度別に定められた単価に基づき甘味資源作物交付金が支払われることとなります。
ただし、輪作体系の一環であるてん菜については、今般新たに導入された品目横断的経営安定対策の対象品目として位置づけられ、麦や大豆とともに横断的な施策へ移行することとなるため、実際に糖価調整法に基づく交付金が支払われる対象はさとうきびのみとなります。
この交付金の対象となる生産者の要件は、さとうきびの収穫作業の委託や共同利用の促進により、担い手へ収穫作業を集約することにより、安定的な生産や生産コストの低減を図ることを主眼に設けられたものです。ただし、地域によっては、作業受託組織の育成に向けての取組はあっても、まだ環境が整っていない等の理由で、作業委託の受け手や共同利用組織が確保できない場合が生じ得ます。そのようなケースを考慮し、施行規則においては、農林水産大臣が別途指定する地域においては、法の施行から3年間(平成19年度から平成21年度)に限り、地域のさとうきび生産農家の2分の1以上が参加して、受託組織等の生産体制の核となる担い手の育成を行うことを目的とする組織に参加する生産者も対象とする旨の特例措置を設けています。


(2)国内産糖製造事業者への支援(国内産糖交付金)

生産者に対し直接支払い制度を導入することにより、これまで国内産糖製造事業者へ一括して支払われていた交付金については、生産者への支払い分と切り分けられた製造事業者への支援として、機構の予算内で交付されることとなります。
具体的には、国内産糖の原料代と砂糖の製造コストの合計のうち、砂糖の販売価格をもっては賄えない部分について、これら国内産糖製造事業者に対し、国内産糖交付金が支払われることとなります。
この国内産糖交付金を受けることができる国内産糖製造事業者については、糖価調整法及び施行規則に基づき、国内産糖の効率的な製造に必要な一定の設備を有していること、甘味資源作物の生産者に支払う原料代について、砂糖の販売収入を適正に分配することにより決定する旨を生産者と予め約定していることに加え、生産性や財務内容の健全性の向上を内容とする経営改善計画を作成し、農林水産大臣による認定を受けていることが必要となります。これらの要件は、最低生産者価格の廃止後における甘味資源作物の適正な取引を確保し、かつ、国内産糖製造事業の経営の改善を図る趣旨で設けられたものであることから、生産者との適正な取引を確保するために必要がある場合や、認定を受けた経営改善計画の内容を正当な理由なく実施していない場合には、農林水産大臣から当該製造事業者に対し勧告が行われることとなるとともに、この勧告に従わない場合には、交付金の交付停止または返還に係る措置が講じられる旨規定されました。


(3)新たな価格調整の基準となる価格(砂糖調整基準価格)

輸入糖と国産糖の価格調整となる基準について、これまでは、近い将来における国内産糖製造の目標コストである国内産糖合理化目標価格を設定し、この価格と輸入糖の平均輸入価格との差を調整するという方式を採用してきました。しかしながら、制度の発足後40年以上が経過し、てん菜糖・甘しゃ糖のコスト実態や生産規模に大きな差が生じていることを踏まえると、現在では、この合理化目標価格の持つ「コスト目標」としての意味合いが薄くなってきています。このため、今般の制度改正においてこれを改め、価格調整の基準となる国内産糖の価格については、現在達成されている特に効率的なてん菜糖及び甘しゃ糖の全体コスト、これを加重平均したものとして、新たに砂糖調整基準価格を設定する旨の改正が行われました。
この新たな砂糖調整基準価格は、砂糖年度ごとに決定されることとなりますが、この水準が実質的に国民負担の水準を決定するものであることから、決定に際しては、食料・農業・農村政策審議会の意見を聴くこととなります。


(4)価格調整を行うに際しての国内産糖の数量の考え方

現行の糖価調整制度において、輸入糖との価格調整を行う国内産糖の数量については、これまで、毎年の製造数量を基礎としてカウントしていました。しかしながら、近年、国内産糖の生産量が過剰基調にある状況下で、市場の動向を的確に制度運営に反映していく趣旨から、価格調整を行う際にカウントする国内産糖の数量についても、砂糖年度ごとに、繰越在庫として積み増されるものを除いた供給数量ベースでカウントする方式に改めることとしました。
このことにより、制度自体に市場シグナルや需給の動向を反映させていくという今回の制度改正の趣旨が、輸入糖と国内産糖の価格調整の場面においても反映され、全体として、的確な制度運営が図られることとなります。


図1 砂糖及び甘味資源作物に関する制度
図1 砂糖及び甘味資源作物に関する制度
図2 生産者及び製造事業者に対する政策支援の考え方
図2 生産者及び製造事業者に対する政策支援の考え方

イ)でん粉に関する新たな制度の概要


(1)でん粉についての価格調整制度の導入

砂糖と同様、国民生活において重要な位置づけを有するでん粉については、原料となるかんしょ・ばれいしょが、その主要な生産地域における基幹作物であることにかんがみて、その原料用いもを含めた安定的な供給を図るために、農産物価格安定法による価格保証や、輸入でん粉及びコーンスターチ用輸入とうもろこしと国内産いもでん粉との抱合せ措置が講じられてきたところです。しかしながら、食料・農業・農村基本計画にもうたわれているように、今後の農業の目指すべき方向として、需要に応じた生産の促進を図ることが重要とされている中で、
1)市場のシグナルが生産者に的確に伝わるとともに、産地のさまざまな努力も反映される仕組みが求められていることや、
2)国内産いもでん粉と輸入でん粉等との間の大きな内外価格差の存在及びさらなるコスト削減への要請、また国際規律の強化に対応し、より透明性の高い制度の構築が求められる状況を踏まえ、
今後の国内産いもでん粉や原料用いもの生産・供給を安定的に行っていくためには、これらに対応しうる新たなスキームが必要となります。
このため、今般、でん粉について、実需者負担の下に講じられてきた抱合せ措置に代えて、新たに砂糖と同様、法律に基づく調整金制度を導入するとともに、原料基準価格等の価格保証制度を廃止することとしたものです。


(2)価格調整の具体的な手法

新たな価格調整制度においては、糖化用・化工でん粉用の輸入でん粉及びコーンスターチ用輸入とうもろこしであって、関税割当を受けて無税で輸入されるものが価格調整の対象となります。これら輸入でん粉等については、本邦に輸入される際に、輸入者が機構へいったん売り渡し、買い戻すことを通じて、その売買差額が調整金として徴収されることとなります。その調整金の額については、砂糖における価格調整制度にならい、国内産いもでん粉について、特に効率的にでん粉が生産されている場合の全体コストを、でん粉調整基準価格として設定し、この価格と、国際的なでん粉の市価から四半期毎に算出されるでん粉の平均輸入価格との差額に、一定の率(調整率)を乗じることにより算出する旨が、砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律施行令(以下「政令」という。)において規定されています。
また、このようにして徴収される調整金を財源として、以下に記述するような国内産のでん粉原料用いも及びいもでん粉に対する政策支援を行うことにより、内外コスト格差の調整を行うこととなります。


(3)でん粉原料用いも生産者への支援(でん粉原料用いも交付金)

でん粉原料用いもについては、これまで、農産物価格安定法に基づき政府が原料基準価格を定め、この価格に基づいた取引が行われることにより、原料用いもの生産者手取りを保証する仕組みがとられていました。
この価格保証の仕組みの下では、砂糖と同様、でん粉市場の状況が生産者に伝わりにくいといった問題点があることから、今般の改正によりこれを廃止することとしました。一方で、でん粉原料用いもについては、我が国内外の生産条件格差に起因する不利を生産者の努力のみで補うことが困難であることから、その安定的な生産を確保するため、その生産コストのうち、原料用いもの取引価格(原料代)として生産者に対し支払われる額をもっては賄えない部分について、機構の予算内で直接交付金を交付することとしています。
ただし、でん粉原料用ばれいしょについては、今般新たに導入された品目横断的経営安定対策の対象品目として位置づけられ、麦や大豆とともに横断的な施策へ移行することとなることから、実際に糖価調整制度に基づく交付金が支払われるのはでん粉原料用かんしょのみとなります。
具体的には、砂糖と同様、でん粉原料用いもの栽培適地として農林水産大臣が指定する地域内で、施行規則に定める要件を満たす生産者が国内産いもでん粉製造事業者に売り渡したいもであって、同じく施行規則に定める用途を満たすものについて、でん粉原料用いも交付金が支払われることとなります。
この交付金の対象となる生産者の要件についても、かんしょの栽培に係る作業の集約化を促進し、安定的な生産を維持する観点から、さとうきびと同様の要件が課されていますが、でん粉原料用かんしょ独自の要件として、特に国内産いもでん粉製造事業者との契約栽培を行っていることを求めています。また、作業委託の受け手や共同利用組織が確保できない場合についても、さとうきびと同様に平成19年度から平成21年度までの特例が設けられています((1)(1)ア)参照)。


(4)国内産いもでん粉製造事業者への支援(国内産いもでん粉交付金)

国内産いもでん粉製造事業者については、でん粉原料用いもの産地近くに立地し、国内産いもでん粉の安定的な供給のみならず、でん粉原料用いも生産者と車の両輪のように、一体として地域経済を担う存在となっています。この位置づけにかんがみ、今般新たに、国内産いもでん粉製造事業者に対しても、機構の予算の範囲内で支援を行う仕組みを導入しました。
具体的には、砂糖において導入される仕組みにならい、国内産いもでん粉の原料代とでん粉の製造コストの合計のうち、でん粉の販売価格をもっては賄えない部分について、国内産いもでん粉交付金が支払われることとなります。
この国内産いもでん粉交付金を受けることができる製造事業者についても、一定の要件が課されることとなります。具体的には、国内産いもでん粉の効率的な製造に必要な一定の設備を有していることや、でん粉原料用いも交付金の対象生産者に支払う原料代について、でん粉の販売収入を適正に分配することにより決定する旨を生産者と予め約定していること(委託加工によりでん粉が製造される場合は除く)が、施行規則に規定されています。
また、製造事業者による計画的なコスト削減を促す観点から、交付金を受ける際には、砂糖の場合と同様、生産性や財務内容の健全性の向上を内容とする経営改善計画を作成し、農林水産大臣による認定を受ける必要があります。これらの要件についても、生産者との適正な取引を確保するために必要がある場合や、認定を受けた経営改善計画の内容を正当な理由なく実施していない場合には、農林水産大臣から当該製造事業者に対し勧告が行われることとなるとともに、この勧告に従わない場合には、交付金の交付停止、返還に係る措置が講じられる旨が規定されました。
※政策支援の考え方については、図2参照。


(2)独立行政法人農畜産業振興機構法の一部改正について

以上のように、砂糖・でん粉に関する制度が改正され、さとうきび・でん粉原料用かんしょの生産者及び製造事業者に対する新たな交付金の交付や、輸入でん粉等からの調整金の徴収については、機構が実施主体となり、制度運営が行われることとなります。このため、独立行政法人農畜産業振興機構法において、これらの業務を法律上位置づけ、併せて、でん粉の価格調整制度の創設に伴い、徴収される調整金を区分経理するための勘定を新たに設けること等を内容とする改正が行われました。
また、てん菜及びでん粉原料用ばれいしょについては、新たに導入される品目横断的経営安定対策に移行するに当たり、この対策に基づき行われるてん菜、ばれいしょに係る支援の財源については、輸入糖や輸入でん粉等からの調整金の一部を充てることとされたことから、これを機構から国庫に納付する旨が規定されました。


図3 でん粉及びでん粉原料用いもに関する制度
図3 でん粉及びでん粉原料用いもに関する制度

(3)その他

以上の改正を内容とする法律、政省令が7月末までに公布されたことにより、新たな砂糖・でん粉制度へ移行するための法制的な枠組みが整うこととなりました。これらに基づく新たな諸施策については、平成19砂糖年度、同でん粉年度の開始からスタートします(法律自体の施行は平成19年4月1日)。それまでの間、さらに細部の運用設計について決定していくべき事項も多数あります。関係者の皆様方におかれましても、新対策への移行がスムーズに進みますよう、特段の御協力をお願いいたします。



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