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平成20年産さつまいも(無マルチ栽培)生育概況について

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最終更新日:2010年3月6日

でん粉情報

[2008年11月]

【生産地から】

鹿児島県農業開発総合センター 大隅支場


はじめに
前号において平成20年産原料用さつまいものマルチ栽培の生育概要を報告した。今回は、無マルチ栽培の9月時点での生育概要について報告する。


1 耕種概要

植 付:5月15日
収 穫:9月10日(生育期間118日間)
作 型:無マルチ栽培
栽植密度:90×40cm(2,780/10アール)
挿苗方法:8節苗水平挿し


2 気象概況

(1)平均気温
  4月〜6月は多少の高低はあるものの平年並みで推移した。7月以降は高めに推移したが、8月下旬は平年より低かった。


(2)降水量、日照時間
  4月は降水量が少なく、日照時間もやや少なかった。5月は降水量は平年並で晴天の日が多かったので日照時間は多かった。6月は降水量、日照時間共に平年よりも多かった。7月は梅雨明けが平年より早かったため、降水量は少なく、日照時間が多かった。8月は降水量、日照時間ともに多かった。


3 生育概要

(1)生育状況
植え付け3日後に降雨があり、活着は順調であった。梅雨明け後は、降水量が少なかったため、地上部の生育は緩慢であったが、8月は平年よりも降水量は多かったので、地上部生育はやや回復した。


(2)上いも(1個50g以上のいも)個数
  個数型品種のシロユタカ、ダイチノユメの上いも個数は、それぞれ1アール当たり1,244個(平年比107%)、1,368個(同108%)と平年よりも多かった。しかし、個重型品種のシロサツマ、コナホマレの上いも個数は、それぞれ537個(同72%)、777個(同76%)と平年よりも少なかった。また、中間型品種のコガネセンガンは1,091個(同110%)となった。


(3)上いも収量
  1アール当たりの上いも収量は、シロユタカ228キログラム(以下、kg)(平年比115%)、ダイチノユメ225kg(同117%)は平年よりも多かった。しかし、コガネセンガン152kg(同87%)、シロサツマ88kg(同61%)、コナホマレ150kg(同86%)は平年よりも少なかった。平年との収量差の要因は、シロユタカとダイチノユメでは、収量構成要素であるいも個数および1個重とも平年より優れていたのに対し、シロサツマは両要素が劣り、また、コガネセンガンは1個重が、コナホマレはいも個数が平年より劣ったことによる。


(4)でん粉歩留
  コガネセンガン20.3%(平年比88%)、シロサツマ19.0%(同84%)、シロユタカ21.6%(同94%)、コナホマレ24.3%(同96%)、ダイチノユメ24.6%(同102%)で、ダイチノユメ以外の品種は平年よりも低かった。ただし、8月調査時点よりは平年値に近くなった。




※平年値
平成8年〜20年の平均値ただしコナホマレは平成14年、ダイチノユメは平成16年から20年の平均値

図1 各品種の上いも収量および個数

おわりに
5月植え無マルチ栽培については、品種によって違いがあったが、でん粉原料用さつまいもの主力品種であるシロユタカの生育は順調である。
  前回はマルチ栽培、今回は無マルチ栽培について生育概要調査結果を報告したが、無マルチ栽培はマルチ栽培に比べて生育初期に降雨が少なく、地上部の生育が緩慢であったことなどから品種によっては収量がやや少なくなった。
  この調査は11月まで実施する予定であり、今年度の結果については、今後機会を見て掲載する予定である。